第 四 章 目 次 4.1 実用数学とは 4.2 文章問題 4.3 y=ax → y=ux 4.4 三角関数
4.5 指数関数 y=ux 4.6 対数関数 logay=x 4.7 数学あとがき
4.8 数学公式集.pdf コーヒータイム(4)詰め将棋と魔方陣 執筆後記>
魔方陣とは正方形を縦横共に等分割しそのマス目に 1 からマス目の数だけ連続した数字を入れ、縦・横・斜めのいずれの列も、その数字の合計が同じになるもののことである。連続した数字を使うから
2×2 のマス目は 1、2,3,4 となり、これはどうやっても和が同じにならないからこれは魔方陣が成立しない。故に最小の魔方陣は図1の 3×3
となる。魔方陣は古くから知られており、その神秘的なことから、占いやお守りとして用いられたようである。マス目が 3×3 を三次魔方陣、4×というように
4 を四次魔方陣一段のマス目の数を次数とする。三次魔方陣の数字の入れ方は一種類しかない。回転したり裏返したりしても数字の相互の位置は変わらないから、それらは同じものであり、図1
のようになる。4 次の場合(B図)は 880 通りもあり、5 次の場合はなんと 2.7 億通り近くになるという。6 次はというと不明であるが、コンピューターの計算では 1.8×1019 つまり 1800 京にもなるらしい。
さて、奇数の場合の作り方は簡単である。
1. 最上段中央に 1 を入れる。右上に向かって数字を入れていく。
2. 上側で枠からはみ出すと一番下に入れる。そこからまた右上に入れて行くが右側 で枠外にでるとそこから左橋に数字を入れる。
3. そこから右上に行く。すでに数字が入っている場合は、入れた数字の下のマスに 入れる。
4. 対角線上ではみ出したときも、入れた数字の下に入れ、また右上に数字を入れて いく。
横ではみだせば左にいき、上ではみだせば下に行く。奇数であればマス目が増えても同じ方法でつくることができる。偶数の魔方陣の場合は
(A) 4 の倍数(4、8,12等)の場合と(B) 4 の倍数 +2(6、10、14等) の場合とがあり、それぞれ作り方が異なる。(A) の場合はA図のようにまず、数字を連続して入れて行く。入れ終わるとピンクのマス目の数
字をnとすると置き換える数=(マス目の最大数+1−n) とする。たとえば 4×4 の場合は 16 + 1−n となりA図の 5 の位置には 16
+ 1−5 = 12 となる。以下同じようにしてB図が完成図である。
8×8、や 12×12 の場合も同じように、A図を単位として考えれば、同じ方法でできる。8×8 の場合は 64 + 1-n = 65−n で置き換える。
A図を単位とするから、4 の倍数ということになる。図 3 にその実例を示す。このピンクのマス目の数を n として、すべてのピンクのマス目だけを計算して入れ替える。他はそのままにする。
図 4 が完成図である。同じ方法で 12 次も作成できる。これでどうして和が同じになるかと問われても答えることができない。尚(B)の 6、10,14
等はちょっと面倒である。
詰将棋の詰め手数は通常は 5 から 15 手位、ながくて25前後の手数が多い。3 手、5 手詰等は当然やさしいが、十数手になると、一筋縄ではいかない。まして
30 手を越えると最初から諦める事になる。数学の場合は問題を作るのはやさしく解くのが難しい場合がある。しかし詰将棋の場合は作るのは解くよりはるかに難しい筈である。それなのにプロともなれば、常人にはとても信じられないほどの詰将棋を作る。その一つが右に示した「ミクロコスモス」である。駒全部を使い、詰手数はなんと
1,525 手である。通常指し将棋一局の指し手数は 100 手前後である。こんな長手数の詰将棋はどんな形で積み上がるか想像もできない。初手は4一歩成りである。そして王は7二
と 1二 の間の往復を何回も繰り返し、その間に 9九 の馬が働き、王は 1九 にきて、金打ちでしとめられる。将棋そのものの歴史は古く江戸時代以前からある。

そしてこれまで指された対戦総数は、膨大であるが、同じ棋譜というのはあり得ない。これからも世界中の人が毎日対戦しても同じ結果には決してならない。これは囲碁も同じであり、どれだけ多く対戦しても、指し尽くされ、打ち尽くされる事はない。前頁で紹介した魔方陣の中で
5 次の場合は約 2.7 億通りであり、6 次では 1.8×1019 通りである。これを将棋盤の 9×9 の 9 次になるともう計算不可能であろう。奇数であれば先に紹介した方法で、どんな次数でも作れる。これが将棋盤のマス目ならどうなるか、作ってみた。右下の図は先に紹介したのとは別の方法で作ったものである。つまり最初に記入する
1 の位置により記入方法が異なる。斜め上に書いていくのは同じであるが、すでに数字が書かれているときと対角線の時が前の場合と異なる。(赤字で示す)
1. 対角線の交点の一つ上に1を書く。
2. 右上に順に数字を書いていく。
イ、上段の枠外に来たら右下に書く、
ロ、右辺にぶつかれば、一つ上の左端に書く。
ハ、すでに数字が埋まっている場合は、一つマスを飛ばして 上に書く。(右図で9の先には1があるので 10 の位置 になる)。
ニ、対角線の右上に来たら(図の45)同じ欄の空いている一番下のマス目に書く。
この方法も奇数であればどんな次数でも可能である。将棋にしても、魔方陣にしても、ルールがあり、種類は大きく制限されるはずであるが、それでも計算できないほどの数が存在する。わずかの駒やマス目でこれだけの数になるとすれば、地球に存在する元素の種類は100近いから、それらが組み合わさってできる物質の数は想像を絶する程になるのは当然かも知れない。人知もさることながら、自然もまた神秘の極致である。
1. 無理に使わなくても
「二次方程式は分からなくても、生活に不自由はしない」と言うようなことを曾野綾子氏がいったとか。私自身も他の人よりは比較的に二次方程式が必要とされるであろう職場にあったが、それでも二次方程式を必要とするケースに遭遇することはなかった。ましてもっと高度な数学には当然出る幕はない。これほどまでに使用されない数学なら「教える必要はない」というのもうなずける。
二次方程式程度でも殆ど使われない理由は本文に述べているが(4.1.2、4.2.2)、日常の数学(算数)は四則演算の利用が圧倒的に多いであろう。とすれば高等?な数学は学校で教える必要はないということになる。数学者はこれに異論を唱えるかもしれない。数学は大切だ、科学技術の基礎をなすものだ、現代の科学技術は数学無くして成立しないなどと言うであろう。それはそうとしても、ごく一部の人にしか使われない数学を普通の教科科目にするのとは問題が別のような気がする。
数学の書籍は数多く出版されているが、「数式が一つ増えるだけで本の売上げが半減する」ということであれば、数式だらけの数学書は一冊も売れないことになる。
これらを踏まえて、本章を書いて見た。これも型破りであり、他の数学書にはない内容である。
最初に文章問題を取り上げて解説した。小学高学年から中学生程度の問題である。全問正解できる人はどれほどいるであろうか。前述の「大人の科学知識」の調査から推定するとかなり低い数字になると思われる。これらの内容は殆ど一次式の連立方程式であり、方程式として提示されれば、計算は四則演算に過ぎないから殆どの人が正解を出すと思われる。文章問題になると途端に難しく感じるのは、式を立てる推理力と文章の理解力にも関係するからかも知れない。
2. 数学の発展
数学が実用化に向かう大きな転換となったのがデカルトの解析幾何学(1637年、方法序説)とされている。まだグラフ用紙もなかった時代に、デカルトは、x軸という水平の線とy軸という垂直の線とを公差させることで座標という概念を提示した。これは大きく発展し三角法や対数に大きな影響を与える。y=sinx
がグラフになり、無限に続く交流の電波が見える形になった。またジョン・ネーピアは「方法序説」発表の40年前から対数のアイデアを思いつき20年間計算を行い、対数表を作った。これもまたy=logxとして図表で表せるのである。
x2+y2=a のグラフは円となり、(x2+y2+ax)2=b2(x2+y2)のグラフはかたつむりの形になる。
どんな数式もグラフにすることができ、また逆にどんなグラフも数式にすることが出来る。そうして生まれてきた変数とか関数という概念、それは自然界のどんな変化や動きも方程式になり、曲線にして考察することが出来る。デカルトが1650年、54歳で生涯を終えたとき、ニユートンは8歳であった。のちに彼はこの解析幾何学を微積分学へと大きく発展させる。
(タイムライフ刊、人間と科学シリーズ、数の世界)
さて この章ではもっとも使用されることが多いと思われる前述の関数(一次関数、二次関数、三角関数、指数対数関数)について簡単に解説する。特に対数に関しては、この書のなかでも対数グラフを多用していることもあり、応用出来るように解説したつもりである。難しく感じるかも知れないが、基本はy=ax
から出発しており、それが y=xa になっただけのことである。難しい数学は抜きにしてやさしい事柄の理解に徹することで、応用の幅が大きく拡がることを知って欲しい。