第 四 章 目 次
4.1 実用数学とは 4.2文章問題 4.3 y=ax → y=ux 4.4 三角関数 4.5 指数関数 y=ux 4.6 対数関数 logay=x 4.7数学あとがき 4.8数学公式集 PDF コーヒータイム(4)詰め将棋と魔方陣 執筆後記
「うちの子は 5000 円から 1000 円使うと 4000 円 と答えるのに、5000 から 1000 引くことがわからないの」と幼稚園の子供を前にして母親がいう。多くの人は不思議に思うことだろう。5000 円というのは具体的な物であり、単なる 5000 という数字だけでは何を意味しているのか子供には理解できないのかも知れない。「誰々の月収は50 万円である」とか、「あなたの血圧は 120 である」とか、日常使用される数字には必ず説明または単位がつく。それは極めて具体的であり現実に感覚として体験できるものである。それは決して数字単独で表せるものではない。数字には必ず物語性があり、よって来るところの氏素性がある。たとえば 米を10 kg 買うとか、私の身長は 170 cm というようにである。数字単独で存在するような場合でも、それには人々の暗黙の了解がある。たとえば道路の脇には 40 とか 50 の数字が丸い輪の中に書かれた標識がある。これは車の制限速度(km/h)であることをドライバーは認識している。また血圧が 120 などと言う場合も、その数字は誰それの血圧であり、その単位は mmHg ということである。電話番号や暗証番号、車のナンバーなどは数字を使っていてもこれは単なる記号であり、足したり引いたりの計算に使うことは決してない。3.14 もこれだけなら単なる数字であるが、円周率という名前がつくと、素性が明確な意味を持つことになる。5 とか 20 とか氏素性のない数字単独の存在は数学の世界だけでしか意味をなさない。だからまだ数学を知らない子供が 5000−1000 という抽象的な問いに答えられなくても至極当然のことと思う。人間社会で使用する数字には必ず具体的な意味があり、物や物性から離れた単独の数字は存在しない。裸の数字である「名無しの権兵」は数学という抽象世界でのみ活躍できるのである。
数字単独いわゆる裸の数字だけなら、規則通りに自由に計算できるが、現実の数字の扱いには制限がある。たとえば単位の異なる数字の足し算や引き算はできなことになっており、1 m + 1 kg のようなことは御法度である。それでは単位が同じなら何でもよいかということにはならない。砂 1 kg と米 1 kg を足し算する場合、数学的には問題ないにしても、それを行う理由がなければ意味がない。またかけ算やわり算は単位に無関係に行うことができるが、その場合でもその数値が何を意味しており、なぜその計算を行うかの目的が明確でなければ、ただ計算を行っただけに終わる。長さの二乗は面積であり、三乗は体積である。それでは質量の二乗や三乗は何か。また長さと質量の積は何か。よく二次方程式の根の式を使ったことがないという人に出会うがこれには理由がある。例えば y = ax2 + bx +c という式において各項の次元が一致しなければ足し算ができない。例えばxの単位を(m)とする。この式を足し算するには a を定数とすれば最初の項は二次式(m2)である。二項目もbを定数とすれば x は(m)となり、m2 と m では足し算ができないのである。さらにcも定数とすれば y=ax(m2)+ b(m)+ c となり、これでは全く計算が不可能なのである。このように三項すべてが同じ次元でなければ足し算は不可能であり、このような物理現象というのは極めてまれな事である。 二次方程式や三次方程式などもそれが利用できる物理現象がそもそも極めてまれなケースしかないということである。
ある数学入門書には堂々と「マイナスに対応する自然現象が存在する」と記したものがある。しかしこれは大きな誤解を招くものである。そんなものは決して存在しない。それらの例として温度計、海抜、財産と負債、家計簿の赤字などを上げているが、これらはすべて人間がそのように決めたのであり、自然現象がマイナスの状態になっているわけではない。「おれの貯金通帳はいつもマイナスだ、ちゃんとマイナスの現象があるではないか」とまじめに主張する科学者がいる。我々はマイナスの現金を見たことがあるであろうか。借金や赤字は自然現象ではない。ゼロの基準点をどこにするかは人間が勝手に決めたことであり、それによってマイナスを考えたのである。東京を起点にして東方向を
+ に、西の方向を−に決めれば西は全て−になる。だから−に対応する自然現象があるというのであれば全ての物理現象をマイナスに対応させることができる。
温度の表示にしても氷点を 0 ℃ に設定したからマイナスをつけざるを得なくなっているが、絶対温度の表示にマイナスはない。現実に存在しなくても矛盾がなければ、何をしてもよいのが数学である。
それをそのまま現実の現象に持ち込んでは間違いのもとである。繰り返すがマイナスに対応する自然現象は皆無である。まして「この世は虚数の世界」(ホーキング博士の提唱)などという宗教的表現は数学嫌いをいっそう助長する。現実に遭遇する常識的判断が実用数学では極めて大切である。
円周率の桁数を何十億桁計算したということが報告されるがこれは実用的には何の意味もない。「山があるから登る」といわんばかりに、桁数競争が行われている。これはコンピューターの性能を競うためと言われているが、数学とは何の関係もない。ある数学書には何頁をも費やして円周率の数字を印刷したものがある。こんなものをみると数学嫌いがますます増えていくような気がする。円周率の桁数は
4〜5 桁あれば実用上充分である。円の面積を求める場合など、直径の長さの測定精度が数桁でしかないからである。物理量というものを数字で表現する場合、必ず人間が測定した値を用いなければならずそれには精度の限界がある。精密にすればするほどそのための費用は大きく、必然的に経済的に引きあうところに落ち着くからである。計算が可能だからとしてそれだけを突出させても甚だしい無駄である。コンピューターがまだ存在しない時代に、円周率の桁数を求めるために人生の大半を費やした人がいる。現在もまた大きな桁数を暗記する努力をしたり、円周率にこだわって無駄な時間を費やしている人がいる。事の本質を見失っている行動であると言わざるを得ない。実用数学において使用する物理量の数字は特殊な場合を除けばせいぜい3〜4桁が多く、5桁にもなると測定機器によってはその信憑性を疑った方がよい。1970
年アポロ 13 号が爆発事故を起こしたとき、軌道修正の確認計算をするのにさえ計算尺(桁数精度は3桁)であったのだ(当時電卓など存在しない)。数学の公式を扱う場合、特別に制限を設けない限り、どんな大きい数でも、また負数でもよいことになる。しかし人間の生活に関わる物理量の数値の範囲はきわめて狭いのである。例えば前述したように物理量にマイナスはないから、どんなに大きくても通常は
10−10から 1010の範囲で収まるであろう。※1
キログラム原器の精度が 10 桁程度とされており、それ以上の精度は測定のしようがない。長さや時間も同様であり、これ以上の桁数は無意味なのである。
※1 10-10 はマイナスではない。後に述べるがこれは 0.0000000001である。
数学と実用数学との大きな違いはこのことにある。そしてこのことを誰も教えてくれない、というより誰も気づかないのかも知れない。数学に於いては答えを出すことが目的である。そこにどんな間違いも許されないし、間違えがなければ答えがどんな結果でも問題にしない。しかし実用数学では答えに多少の誤差があっても、それほど問題ではない。その答えが良いか悪いかが問題になる。たとえば売り上げの集計をする。これが数学なら結果が出た段階で終わりであり、集計が正しいかどうかだけが問われる。しかし実用数学では集計の正確さより目標数字に達したかどうかを問題にする。つまり答えに対しどういう行動を起こすかが重要な問題であり、答えから全てが始まるのである。計算結果の正誤(真偽)を問うのが数学であり、計算結果の善悪を問うのが実用数学である。それには必ず行動が伴う。目標値または希望値に一致または近いものが善い答であり、はるかに及ばないものは悪い答えである。結果の正確さより、その良否を問題にする、抽象という数学と実用数学との大きな違いがここにある。
「数学は絶対の真理を語る、なぜなら数学は論理的に組み立てられ全宇宙に適用されるからである。」と一部の数学者は考えている。しかし数学とは無関係に自然ははるか以前に存在しているのである。自然が数学に合うように誕生したわけではない。これまで科学に採用された数学は極わずかである。古代の数学は代数と幾何学が主であった。産業革命に貢献した解析幾何や対数、微分積分などは17世紀以降に発展したものである。そういう便利な数学がなくても、それ以前には現在でも驚嘆するような技術が存在した。 巨大な建築物や道路や橋、はては戦争の道具などすべて経験に基づいてつくられた。現在でも高度な技術力を誇る中小企業の製品には数学など無縁のものが多い。熟練した職人技に数学は不要なのである。科学技術の発展に数学は欠かせないが、数学だけが万能でないことも知らなければならない。
これまで数学が科学技術の発達に大きな役割を果たしてきたのは事実である。しかし一方でまた数学は重要だとされながらも使用されることの少ない学問であるのも事実である。本屋に並ぶ高級な数学書はいったい誰が読むのだろうか。「数学課」の学生でさえ必ずしも数学が好きではないと言う現実、そして「ものつくり」に使われるのもきわめて基礎的な数学でしかない。これは何も数学に限らない。「数式が一つ増えるだけで書籍の売り上げが半減する」といわれることからすれば、高等な学術書もまたほとんど読まれないのに等しい。そしてそこに説明されていることもまた利用されることがほとんどないということになる。純粋数学(高等数学)は一体誰が学ぶのであろうか。全人口のほんの一握りの人しか理解できない難しいことを、そしてその人達だけが知っていれば良いことを広く一般に教えようと言うこと自体ナンセンスである。多くの人が理解できるやさしいことを、そして十分に応用できることに限定して数学を教えるべきであろう。
実際のものつくりの現場で多く利用される数学は関数であろうと思われる。学校では1次関数、二次関数を勉強するが、その応用についてはほとんど学ぶことがない。y=ux
という極めて簡単な関数がどれほど広い範囲に応用されているか、本章を読んで驚くであろう。苦労して学んでも一生使われない数学も中にはある。例えば基本的な二次方程式の根の式など筆者も使用した記憶がない。必ず学ばされる、あるいは学ばなければならないとされているこの式がなぜ使用されないか、追々分かるであろう。与えられた計算式に関する問題は解答できても、その計算式の応用問題となるとさっぱり解けないということがある。ただ機械的に計算だけはできても理論的思考につながらないのでは、実用的価値がない。微分積分が重要だとされる。そうではあってもその理論そのものが「ものつくり」の現場で使用されることはまずないと思われる。なぜかというに、すでに必要な公式は著名な先達によって、微分積分を使用して導かれており、多くの場合その公式を使用するだけなのである。そういう公式がたくさんあって、そのうちのどれを選び、どのように応用するかということさえままならないのである。そして公式を使うだけなら、難しい数学の理論は不要なのだ。実験結果と数学理論を用いて公式を導き出しそれを使用するということは、公的機関の研究者が基礎研究で行う程度と思われる。公式が導き出せたとしてそれが正しいかどうか検証するのはさらに難しいかもしれない。故に公式を導き使用するのはほんの一握りの人達である。またそのようにして導かれた公式が「ものつくり」にすぐ必要になることは極めてまれなことである。
本章は純粋数学を述べているわけではない。筆者は数学者ではないし、少し高度な数学になるとさっぱり分からない。それでも「ものつくり」という現場で使う数学程度は何とかなるし、それで良いと思う。数学者がどんなにそれが科学技術に欠かせない大切なものだとして、やさしく解説してもやはり純粋数学の域を脱しておらず、視点が違うと思うのである。数学以外の知識と融合して応用の幅が広がるのであり、数学にだけ精通していてもそれは無用の長物になりかねない。言葉に精通していても必ずしも売れる小説が書けるわけではないのと同じである。この章には筆者の独断的意向が反映されているかもしれない。数学者の立場からすれば何とも乱暴で、とても容認できないと思われることもあるだろう。しかし現場の数学はあくまでも、ものつくりのための手段であり、道具なのである。そこに厳密な証明であるとか、正確さに欠けるとかそんなことはどうでも良いことである。数式を使って結果をだし、それを使用して「もの」が作れて安定して生産ができることが分かれば、数学の役割はそれで終わりである。たとえその数式がインチキくさくて、ごく狭い範囲でしか有効でないとしても、それが分かっているならそのことを認識してその範囲で使用すればよい。数式は数学のためではなく、ものの生産や開発に役立つためのものであれば十分である。
「分数や小数のできない大学生」が話題になって久しい。数学に限らず国語や理科などでも学力が低下し、憂慮すべき問題ではあるが、大学生が小学生の問題で試験される、そのこと自体が恥ずべきことだと思う。小学生レベルの知識がないまま高校を通り抜けて大学に入学できる、そのことも問題であろう。このことはさておいて、与えられた計算式、特に四則演算では練習さえすれば計算はできるようになる。しかし同じような内容を応用問題(文章問題)の形にすると途端に難しくなる。単に計算のスキルだけでなく、考える力が必要になるからである。それでもこれらの文章問題をまともな大学生に回答させたとして、どれほどの正答率が得られるであろう。数式の計算ができるということと文章問題が解けると言うことは別の問題である。日常必要とする計算は四則演算が圧倒的に多い。それらは分数や小数が入り交じった混合算であるが、それでも頭を悩ますような難しい計算は少ないであろう。だから分数ができなくても日常生活にはあまり支障はきたさない。しかし少なくとも「ものつくり」という環境では、それではあまりお粗末過ぎる。
文章問題は単なる四則演算であり、一次の連立方程式の応用である。それらには、昔から旅人算、植木算、鶴亀算などと呼ばれたものである。これらは中学生の問題であり直線や面積の図解で説明され、それで理解できる程度の易しさである。しかし二次方程式の問題は解けても、これらの文章問題には手こずるかも知れない。問題のための問題であり、日常的であるようでいて実際に直面することは少ない事例である。しかしそうではあってもこれらはやはり基本的に解けるということが望ましい。中学生向きの問題であるが、それをレベルアップし解答も文字式を使い方程式で解いてみる。数字が意味を持つためには単位(名前)がついていなければならないことはこれまで何回も述べた。このことにも重複をいとわず述べる事にする。
チョコレート12個を3箱に分ける場合、 @ 12個÷3箱=4 A 12個÷3個/箱=4 となる。これは小学生に割算を解説したある説明書である。前者を等分除、後者を包含除というのだそうである。いつからこういう言葉が使われ出したのか知らないが、割算には一つの意味しかないのであり、説明を聞いてもよくわからない。@の場合正確には 12個÷3箱=4個/箱であり、Aは 12個÷3個/箱=4箱である。単位をつけた計算なら、等分除とか包含除などの意味は吸収されてしまい差別する必要はないであろう。後に述べるようにこれらは xy=z の変形に過ぎない。詳しく説明されればされるほど、混乱して訳が分からなくなる。
単位のついた数字を足し算するには単位が同じでなければならないが、しかし常にそれが可能なわけではない。たとえば速度の加算においては、動く船の上での移動については船の速度とその上で移動する物体の速度は加算できるが、計算例10の場合(次項)のように平均値を算出する場合はそのまま加算はできない。また平均値が数個与えられて再度平均値を求める問題も、単に足算して再平均値を求めることはできない。ほかにも単位によっては、加算が可能な場合と不可能な場合がある。
数字に単位が必要なことは何度も述べてきたが、文章問題ではほとんどこれは考量されていない。たとえば二次方程式の応用例として次のような例が説明されたものがある。
問『単価 40 0円を10円上げたらそれまで600個売れていた製品が10個減少した。さらに10円上げたらまた10 個減少した。売上金額を最大にする値上げ金額を求めよ。』
(解答:売上金額をA(円)とし、値上げ分をx(円/個)とすると、これらの関係式から、単価は
(400+x)円/個、売上の個数は(600−x)個、故に売上金額A(円)は(単価×個数)
だから A=(400+x)(600−x) となり、これよりAが最大となるxを求める。以下略)
というものである。なるほどと読み過ごしてしまうところであるが、これには明らかな間違いがある。
この式で単位を検証してみよう。
(400+x)は (400円/個+x円/個)で、この項は問題ない。
(600−x)は (600個−x円/個)で、これは単位が違っており、御法度の式である。
600 個から x円/個 のように異なる単位をプラスやマイナスはできない。つまりこの場合このような式が成立しないのである。この例ではたまたま
10 円と10 個が数字的に一致したため求める値に矛盾はないが、結果オーライであれば良いわけではない。また値上げに対する売上減少は、人の意志で変わるのであり、それを物理現象のように考えること自体数式にはなり得ず、問題の事例としてふさわしくない。仮に、これら数式の関係が成立するとしても、その場合の式は次のようでなければならない。
売上金額を Z とすると
Z =(400 + x)(600−y)
Z:売上金額(円)、x:値上げ金額(円/個) 、y:売上減少個数(個)
つまりxの二次式ではなく、3 変数関数であり、x と y は独立変数となり、比例するとは限らない。
数式を作る場合、単位関係に矛盾がないかを検討することは非常に重要なことであ。
数字の表現法と数学嫌い
数字を文字か記号で表す場合、一、二、三と横棒を並べて数の増加と共に本数を増やしていくという発想はどこの国でも同じようである。しかしこれが四以上になり、数が増えていくとこの方法は直ぐに行き詰まり、何か別の表現方法が必要になる。それが現在の算用数字であるが、しかしこれも9までであり、二桁や3桁の数字に一つづつ1文字を割り当てていてはキリがない。そこで考えられたのが位取りであり、ゼロ(0)という文字が必須になってくる。それによって現在の1〜9までと0の文字でいくらでも大きな数を表せる。しかしこれも天文学的数になると限界が来る。たとえば1兆という数を表すのに毎回
1,000,000,000,000 という風に書いていては能率が悪すぎる。故にこの場合は 1012 というように表現する。現在の所この表現法で問題はないようである。
このように単に数の大きさを表現するだけで、多くの工夫が必要であり、単に数字を横に並べるということだけで数世紀の長い歴史がある。10進法が工夫されたのは5世紀頃インドでなされ、9以上の数字を表す文字が廃止された。このときでも0の記号はなく、これを広めたのは825年頃アラビア人のアル・フワリズミと言われているが、これも直ぐには受け入れられなかった。小数点の発想はもっと後であり、1617年対数の発明者ジョン・ネーピアが「十進法」という書物の中で最初に使用している。負数については13世紀にすでにレオナルド・ダ・ピサ(レオナルド・フィボナッチ)が借金の計算に負数を考えている。しかし16世紀まで数学者は負数を信じなかったし、さらに虚数になると19世紀になるまで認められなかった。単に数の大きさや種類を表現するだけで、膨大な時間と多くの人々の努力が費やされてきた。それを我々は極端に短い時間でそれを学ぼうとしている。
これはすごいことである。しかし数学が嫌いという人は多い。それは数学の「基礎が疎(おろそ)かにされている」ということに尽きるのではないかと思われる。中学生で数学が嫌いになれば小学生の基礎からやり直す。高校で解らなくなれば中学生に戻って勉強し直す。それが一番の早道であり好きになれると思われる。数学の問題が解けなくても、昔の数学者も長い間悩んだのだと思えば、悲観することはない。時間がかかってもあきらめない事である。別に数学者になるわけでなく、普通の人が普通に理解できていることなのだと思えば気楽に学べる筈である。
ボールペンが 100 本、鉛筆が68本、色鉛筆が44本ある。これらの筆記具のそれぞれを等分にある人 数に分配したら、いずれの筆記具も同じ数だけ余った。ボールペンは100 円/本、鉛筆は50円/本、色鉛筆は 80 円/ 本である。次の問に答えよ。 1. 人数は何人か。 2. 配布した筆記具は一人分何円になるか。
ミカンを袋詰めにしようとビニール袋何枚かとミカンを用意した。ひと袋にミカンを 4 個詰めにすると袋が5袋とミカン2個が余った。詰め 直そうとミカンを取り出すと傷み始めたミカンが5個見つかったのでそれを捨てて3
個詰めにし、袋が不足したのでさらに 1 袋を追加して3個詰めの袋を完成させた。最初の時の袋の数とミカンの数を求めよ。
A とB が持っているお金は 7 : 3 である。A とB は 3 : 1 の割合でお金を出し合いある商品を購入し た。すると A,B ともに残りは同じ3000 円になった。問 1. 商品の価格はいくらか。 問2. A の最初の所持金はいくらか。
たくさんの草が生えている牧草地があり、牧草は毎日一定の量だけ生えてくる。どの牛も毎日同じ一定量を食べるものとして、12 頭の牛なら10 日で、18 頭の牛なら 6 日で牧草を食べ尽くす。この牧場の牧草を23 頭の牛なら何日で食べ尽くすか。
ある井戸には一定の水量が貯まっており、そこに毎分一定の水量が流れ込んでいる。これを 1台のポンプでくみ出すと15 分 後にからになり、2 台だと8分後にからになる。3 台なら何分後にからになるか。
ある列車が 1200 mのトンネルに入ってから出終えるまでに 40 秒かかり、また、200 m の鉄橋を渡り終えるのに 15 秒かかった。このときの列車の長さを求めよ。
長さ 8 m のトラックが 2台 一定の間隔を置いて同じ速さで走っている。これを長さ 12 m のトレ ーラーがこの2台のトラックを追い抜いた。その場合1台目を追い抜くのに5 秒、さらに 2 台目を追い抜くのに 20 秒かかった。2 台のトラックは何メートル離れていたか。
14 両編成の急行電車が駅のホームを、15 秒で通過していき、また、近くの電信柱を 4 秒で通過した。 そしてこの急行電車は、同じ方向に行く、10
両編成で時速52Kmの普通電車を追い越す。
電車 1 両の長さをいずれも 8 m とするとき、次の問に答えよ。
(1) ホームの長さを求めよ。 (2) 急行電車が普通電車を追い抜くのにかかった時間は何秒か。
長さ 120 m の動く歩道がある。歩道は秒速 0.8 m の速さで A から B へ進む。乙氏は、この歩道を A から B へ一定の速さで歩きはじめ、同時に甲氏は B から秒速 2.5 m の速さで走りはじめ、B から80 m のところで2 人は交差した。乙氏の歩く速さは、秒速何 m か。
A 地点から B 地点まで行きは 100(m/分)、帰りは 140(m/分)で往復した。このときの平均速度はいくらか。
12 % の食塩水 2 kg が 大きな容器に入っている。この食塩水すべてを別の容器 A、B 二つに分けて、A では 2 倍に B では 4
倍に薄めて、もとの容器に戻した。元の容器にもどった時の濃度は 4.8 % になっていた。
問 1. 元の容器に戻したときの食塩水は何kg か。 問 2. B の容器に移された食塩水の量は何 kg か。
A が一人で行うと 72 時間、B が一人で行うと 90 時間、 A、 B、C 三人で行うと 24 時間で終わ る仕事がある。C が一人で行うと何時間になるか。
A が一人で行うと 24 時間、B が一人で行うと 36 時間かかる仕事がある。
問1. 二人一緒に行うと1時間でできる仕事量はいくらか。
問2. 二人一緒だと何時間で終わるか。
問3. A と B 二人で行いそのうちBは何時間か休んだが 18 時間で終わった。B が休んだのは何時間か。
ある仕事をするのに、AとBだと 7日、BとCだと12日、AとCだと 8 日 かかる。この仕事をA、B、C の 3人で一緒にすると何日で終わるか。
ある仕事をするのに A が 21 日 間行い B が 17 日 間行うと完成する仕事がある。これを A とB がともに 18 日 間行うと全仕事量の1/35 が残る。この仕事を A が一人で全部行うとすれば何日かかるか。
1日に 6 人で働くと 20 日かかる仕事がある。はじめの 10 日間は 8 人で働き、残りを 5 人ですると ことになったが、それは何日かかるか。
【計算例 1】(分配算)
ボールペンが100本、鉛筆が 68 本、色鉛筆が44本ある。これらの筆記具のそれぞれを等分にある人数に分配したら、いずれの筆記具も同じ数だけ余った。ボールペンは 100円/本、鉛筆は 50円/本、色鉛筆は 80 円/本である。次の問に答えよ。 (イ)人数は何人か。 (ロ)配布した筆記具は一人分何円になるか。
【解】
未知数をxとするのが常識である。故にこの場合人数を x (人) とし、余りの数を A(本)とする。
配布したボールペンの数を B(本/人)、同じく鉛筆をE(本/人)、色鉛筆をI(本/人) とする。
問題に従って次の式を立てる。
ボールペンについて @ Bx + A = 100 (本)
鉛筆について A Ex + A = 68 (本)
色鉛筆について B Ix + A = 44 (本)
題意から、これ以上式を作ることはできない。そしてこの式には未知数が5つある。連立方程式の場合は未知数と同じ数の方程式が無ければ解けないことになっている。しかしこの場合は例外である。この整然とした形から工夫次第で5つの未知数が解るのである。まず引き算をしてAを消す。
@− A で (B−E)x = 32・・・・・・・・・・・ C
@− B で (B−I)x = 56 ・・・・・・・・・・・D
A− B で (E−I)x = 24・・・・・・・・・・・ E
これでもまだ未知数は4個あり、方程式は三つしかない。それでもこの C、D、E の式を眺めただけで x の値が求まるのである。もっと解りやすく式を書き換えてみよう。
C (B−E)x= 32 = 4 ×8
D (B−I)x = 56= 7 ×8
E (E−I)x = 24 = 3 ×8
これならはっきり x = 8 とわかるであろう。 (イ) の答えは 8 人 である。
(ロ)の場合 @の x に 8 を代入して 8B + A = 100 となる。この式で 100 を 8 で割り切れる最大数を求める。B は 12
、故にボールペンは 12 本 である。同様にして 鉛筆(E)は 8 本、色鉛筆(I)は 5 本 となる。あまりは共通で 4 本となる。これから筆記具の一人分の価格は
12×100 + 8×50 + 5×80 = 2000 円/人となる。
【計算例 2】(分配算 2)
ミカンを袋詰めにしようとビニール袋何枚かとミカンを用意した。ひと袋にミカンを 4 個詰めにすると袋が 5 袋とミカン 2 個が余った。詰め直そうとミカンを取り出すと傷み始めたミカンが 5 個見つかったのでそれを捨てて 3 個詰めにし、袋が不足したのでさらに 1 袋を追加して 3 個詰めの袋を完成させた。最初の時の袋の数とミカンの数を求めよ。
【解】 最初の袋の数をx 袋、ミカンの数を y 個とする。未知数を決めるのは簡単だが、式を立てるのには工夫が必要である。袋の数にミカンの入数をかければ、袋詰めされたミカンの総数が表せる。4x
= y であるが、これでは題意を表していることにならない。4 個詰めの場合は 5 袋あまり、2 個あまった。これを式に表すには次のようになる。
4(x−5) = y−2・・・・・・・・・・・ @
3 個詰めの場合は 3(x+1) = y−5 ・・・・・・・・・・・ A
この連立方程式から x = 26 袋、 y = 86 個 となる。
このような答えで通常は終わりであり、納得してしまう。そこに何の疑問も持たない場合もある。しかし@や A 式において x の単位は袋であり、y
の単位は 個である。単位の違う文字が等式で結ばれる事はなく、左右の単位は同じでなければならない。この禁を決して破ってはいけない。ではこれらの式はどうなっているのか。実は式中の
4 や 3 には表示していないが 4 個/袋、3 個/袋 という単位が隠されている。いや本来記入すべきなのであろうが、数字や文字の計算式に単位を記入していては、煩雑で扱いづらいから通常は数字と文字だけで最後の答えのみ単位を書く。
実際は @ 式は 4 個/袋 (x 袋 −5 袋)=y個−2個 なのである。
【計算例 3】(割合算)
A と B が持っているお金は 7 : 3 である。A とB は 3 : 1 の割合でお金を出し合いある商品を購入した。すると A,B ともに残りは同じ3000
円になった。
問 1. 商品の価格はいくらか。 問2. A の最初の所持金はいくらか。
【解】これを説明するのに、方程式を使わず線分や面積図を用いて説明する場合、かえって理解しずらい。 未知数を文字で表し題意通りに式を立てれば、後は計算だけであるが、この場合も方程式を立てる段階で十分、題意を理解していなければならない。
商品の金額を x 円とする。 A とB が出した金額は 3:1 だから A は 3/(3+1)つまり 3x/4 、B が出 した金額は同様に
x/4 である。故に最初に A が所持していた金額は (3x/4) + 3000 であり、B の所持金は (x/4) + 3000 である。この比が
7:3 であるから次の式が成立する。
{(3x/4) + 3000} :{(x/4) + 3000 )} = 7:3 これを整理すると
3(3x + 4×3000)=7(x + 4×3000) この式から x=24,000 円
故に商品の価格は 24,000 円
A の所持金は 3×24000/4 + 3000=21,000 円
(B の最初の所持金は 9,000 円 故にその比 は 21000 /9000 = 3000×7/3000×3=7/3)
この計算例では単位が(円)の比率だけだから 単位はこれ以外にない。
【計算例 4】(ニュートン算1)
たくさんの草が生えている牧草地があり、牧草は毎日一定の量だけ生えてくる。どの牛も毎日同じ一定量を食べるものとして、12頭の牛なら10日で、18頭の牛なら6日で牧草を食べ尽くす。この牧場の牧草を23頭の牛なら何日で食べ尽くすか。
【解】最初からあった草の量を A (kg)、 1日に生える草の量を B (kg/日)、牛一頭が1日に食べる草の量を C (kg/頭・日)、 23 頭の牛が食べ尽くす日数
X (日)、このように設定すると、次のような式が成立する。
最初からあった草の量 A(kg)と 10 日間に生える草の量 10Bは 12 頭の牛が 10 日間に食べ尽くす量は12C×10 に等しい。
A + 10B =12 ×10C・・・・・・・・・・・・・・・ @
同じく 18 頭の牛では A + 6B =18×6C ・・・・・・・・・・・・・・・・A
最初の草A(kg)とX日で生える草の量 A + XB は 23 頭の牛がX日で食べ尽くす量 23XC に等しい。
A+XB = 23XC・・・・・・・・・・・・・・・・・・ B
この場合も 4 つの未知数に対し 3 個の方程式しか作れないが、まずは解いてみよう。
@ − A 4 B =12 C より B=3C
・・・・・・・・・・・・・・C
@ −B 10B −XB =120C− 23 XC B(10−X)=C(120 −23X)・・・・・
D
D に C を代入して 3C(10−X)=C(120−23X) ここで C が消えて
30−3X = 120−23X 故に答えは X=90/20
=4.5 日
通常 この計算では C を 1 と決めてしまう。あるいは 2 でも 3 でも消えるから適当な量でよいのである。
牛が1日にどれだけ食べようとそれはいっこうにかまわない。牛が大食いであればそれだけ A も B も比例して増える計算になるからである。C を
1 と決めれば極めて簡単になってしまう。また答えは4.5日となっているが、最初から(日)と決めて式を構成したのである。X は一見単位のない無名数になるようであるが、分子の数字
90 の単位は(頭・日) であり、分母 20 の単位は (頭) である。故に X=90/20 は (頭・日) /(頭) となり 単位(日)だけが残るのである。(数字に単位をつけて、計算結果をたどっていくとはっきりする)
【計算例 5】(ニュートン算1)
ある井戸には一定の水量が貯まっており、そこに毎分一定の水量が流れ込んでいる。これを1台のポンプでくみ出すと 15 分後にからになり、2台だと 6分後にからになる。3 台なら何分後にからになるか。
【解】表現が異なるだけで前例と同じ形式である。
最初からあった水の量を A (kg)
1 分間に流れ込む水の量を B (kg/分)
1台のポンプの排水能力を C (kg/台・分)
3台のポンプでからになる時間 X (分)
このように設定することで、次の式が成立する。
A+15B = 15×1C・・・・・・・・・・@
A+6B = 6×2C・・・・・・・・・・・A
A+XB = X×3C・・・・・・・・・・ B
前例にならい @− A から 9B =3 C となり、C = 3B・・・・・・・ C
A−B から B(6−X)=3C(4−X)・・・・・・・D
C = 3 B を D に代入して B(6−X) = 9 B(4−X)となり、B が消えて X = 30/8 = 3.75(分)となる。この例題でも
A、B、C が不明でもそれを素通りして、求めることができる。つまり最初の水の量がどれだけあろうと、どれだけわき水があろうと、ポンプの能力がどうあろうとそれらは問われてはいない。題意の比例関係においてそれらは任意に決定できる。たとえば
B を1(kg/分)と決めれば、C は3であり、A は@ 式から A = 30(kg)となる。B を 2 とすれば、C は6となり、A は 60
となる。
【計算例 6】(通過算)
ある列車が 1200 m のトンネルに入ってから出終えるまでに 40 秒 かかり、また、200 m の鉄橋を渡り終えるのに 15 秒 かかった。このときの列車の長さを求めよ。
【解】これは単純な速度の計算である。まず列車の長さをx(m)とすると、列車の速度は常に一定であるから、トンネルを抜けた速度と鉄橋を渡った速度は一致する。また通り抜けるということは列車自体の長さも加わることになるから、次式が成立する。
(1200+x)/40 =(200+x)/15
これをとくと x = 400 m となる。
【計算例 7】 (通過算2)
14両編成(1両が8m)の急行電車が駅のホームを、15 秒で通過していき、また、近くの電柱を 4 秒で通過した。そしてこの急行電車は、同じ方向に行く、10 両編成(1 両が8m)で時速 54 km の普通電車を追い越した。(1) ホームの長さを求めよ。(2)急行電車が普通電車を追い抜くのにかかった時間は何秒か。
【解】まず電車の速度を求める。電車の全長さは 8×14=112(m)である。電柱を4秒で通過したからこの電車の速度は 112/4=28(m/秒)、ホームを通過するということはホームと列車の長さの和の距離を走ることである。ホームの長さをxとすると次式から得られる。 (x
+ 112)/15 =28(m/秒)
(1)これよりホームの長さは x = 308(m)となる。
また普通列車の長さは 8×10 = 80(m)である。この普通列車と急行列車の速度差で互いの列車の長さを通過することであり、距離をその速度差で割れば追い抜く時間を求められる。
時速 54 km は秒速に換算すると 54×1000/60×60=15(m/秒)であるから
(2)の解は (112 + 80)/(28−15)= 198/13 = 15.2 秒
【計算例 8】(通過算3)
長さ 8 mのトラックが 2台 一定の間隔を置いて同じ速さで走っている。これを長さ12 m のトレーラーがこの 2 台のトラックを追い抜いた。その場合1台目を追い抜くのに 5 秒、さらに 2 台目を追い抜くのに 20 秒かかった。2 台のトラックは何メートル離れていたか。
【解】トラックの間隔を x m とする。こういうふうに、機械的に未知数を決めても内容を理解していなければならない。この場合はトラックの長さで距離が分かりそれを通過する時間から速度が求められる。この同じ速度で2台目のトラックを追い抜く時間から距離が求められる。一台目を追い抜くためには
8 m のトラックとトレーラーの長さの合計値 20 m を 5 秒で走ることになる。さらに2 台目のトラックを追い抜くためには図に於いて青い色の寸法線の距離(これは赤の寸法線と同じ距離で
ある)を20秒で走る事になる。この場合距離を時間で割れば速度になるが、この速度はトラックとトレーラーの速度差であり、それは一定して変わらない。故に次式が成立する。
20/5 =(X−12 + 20)/20 これより X = 72 m となる。
(別解) 一台目を追い抜くのに5秒かかる。この間に進んだは距離は 8+12 = 20 m 。
故に 20/5 = 4(m/秒) の速度差である。この速度差で2台目を追い越すのに20 秒 だから1台目と2台目との距離は速度に時間をかける、すなわち
4(m/秒)×20(秒) = 80 m となる。上の図に於いて 青の寸法線である。但しこれには トラックの長さが含まれているのでその 8 m
を引いて 80−8 =72 m となる。
【計算例 9】(流水算)
長さ160 m の動く歩道がある。歩道は秒速 0.8 m の速さで A から B へ進む。乙氏は、この歩道を A からB へ一定の速さで歩きはじめ、同時に甲氏は B から秒速 2.4 m の速さで走りはじめ、B から 80 m のところで 2 人は交差した。乙氏の歩く速さは、秒速何 m か。
【解】速度は距離を時間で割ったもの、速度に時間を掛ければ、距離になるというあたりまえのことを式にすることで、解が得られる。まず甲氏の条件から両者が出会ったときの時間を求める。
甲氏は動く歩道を逆に歩いているから、その速度差で距離を割る。
両者が出会った時間は 80/(2.4−0.8)=80/1.6 = 50 秒
次に乙氏の歩く速度をxとすると移動速度は x + 0.8 である。
乙氏が歩いた距離は 160−80 = 80(m) 故に次式が成立する。
50(x+0.8)=80 これより x=0.8 (m/秒)
【計算例 10】(速度算)
A 地点から B 地点まで行きは 80(m/分)、帰りは 120(m/分)で往復した。このときの平均速度はいくらか。
【解】平均値だから(80 + 120)/2=100 としてはいけない。速度はあくまで、距離を時間で割ったものであり、この場合走った距離を考慮して計算しなければならない。しかし題意からは距離を知ることができないから、これをx(m)と置く。距離を速度で割れば時間になる。そして行きと帰りの時間を足したものが全体の時間であり、それで往復の距離
2x を割れば、平均速度になる。

ここではxが消えてしまう。つまり距離は無関係なのである。行きと帰りに速度差がある、それは距離に関係なく決まるのである。これを単位に言及せず、速度の最小公倍数を距離とするなどと説明している場合もあるが、それでは理解不能である。これは
1 でも良く、最小公倍数にこだわる必要はない。
【計算例 11】(濃度算)
12 %の食塩水 2 kg が 大きな容器に入っている。この食塩水すべてを別の容器 A、B 二つに分けて、A では 2 倍に B では 4
倍に薄めてもとの容器に戻した。元の容器にもどった時の濃度は 4.8 % になっていた。
問1. 元の容器に戻したときの食塩水は何 kg か。
問2. B の容器に移された食塩水の量は何 kg か。
問 1の解: 溶液をどんなに薄めても、その溶質量は変わらない。故に最初の溶質の量は
2 ×0.12 =0.24 kg この溶質量が 4.8 %であるから 全体量は 0.24/0.048
= 5 kg である。
問 2 の解: A に入れた量を x kg 、B に入れた量 を y kg とする。題意により
x + y = 2、 2x + 4y = 5 となる。この連立方程式を解くと、B に入れた量は 1.5
kg である。
【計算例 12】(仕事算 1)
A が一人で行うと 72 時間、B が一人で行うと 90 時間、 A、 B、C 三人で行うと 24 時間で終わる仕事がある。C が一人で行うと何時間になるか。
【解】この仕事算は文章問題の中でも特に内容を把握するのが難しい。小中学生用の説明文は理解しにくいものが多く、なぜそうなるのかくどくどと説明されればされるほど混乱しそうにある。文字の使用を教えられていないから、なおさら複雑になり低学年に理解させるのは至難の業と思われる。ここでは文字を使用し、方程式を説明する。その方が理解しやすいと思われる。
さて 通常は仕事量全体を 1 とすると説明している。それでもいいのだが、ここでは それを W と置く。
単位は題意にないから決められないが、例えばものを作る事を想定して kg、m、m3 など適当に選んでよい。ここでは (kg) とする。A が 72 時間で全仕事を終えるのであるから 1 時間につき W/72 (kg/h)の仕事をする。同じようにして
B の仕事量は W/90 (kg/h) である。C の時間は未知数だから これをx (h)と置くと C の仕事量は W/x (kg/h) となる。三人で仕事をすれば
24 時間で終わるので時間当たりの仕事量は W/24 (kg/h)となる。故に次の式が成立する。
W/72 + W/90 + W/x = W/24
せっかくWを用いたのだが、この式を眺めると、W は消しても良いことになり、結局
1/72 + 1/90 + 1/x = 1/24 となる。
この式から x を求めればよい。すなわち x = 60 時間 である。
ここでは W は用無しになったが、これ以降の計算例ではこれが意味を持つようになる。
【計算例 13】(仕事算 2)
A が一人で行うと 24 時間、B が一人で行うと 36 時間かかる仕事がある。
問1. 二人一緒に行うと 1 時間でできる仕事量はいくらか。
問2. 二人一緒だと何時間で終わるか。
問3. A と B 二人で行いそのうち B は何時間か休んだが 18 時間で終わった。B が休んだのは何時間か。
問1. 全仕事量を W (kg) とすると A が一時間に行う仕事は W/24 (kg/h)、B が一時間に行う仕事は W/36
(kg/h) だからこれを足せばよい。
W/24 + W/36 = 5W/72 =0.069W (kg/h)・・・・・・・・・・ @
問2. 問1.で 0.069W (kg/h)が得られている。これの逆数 1/0.069W(h/kg)が二人一緒の時間 14.5h/kg である。
つまり W が 1(kg) なら、二人一緒の仕事量は 5/72(kg/h) であり、これの逆数 1/0.069= 14.5(h/kg)
となる。また W を3 kg と多くした時仕事の能力は 3×5/72 = 0.208(kg/h)と大きくなり、この逆数は 4.8 h/kg と時間は短くなる。このような問では仕事の量の大きさは問題にされていないから、W
が大きくなれば能力も大きくなり、要するに答える必要のない要素なのである。
問3. 二人が休みなしで仕事をした時間は 1. の答えで出している。@ の式からW を消すと
1/24 + 1/36 = 5/72・・・・・・・・・・・・・・・・ A
となる。
この式で 72/5 をY(h)とおくと 1/24 + 1/36 =1/Y ・・・・・B となり、
(問2.)の場合には、この式から直接答えがだせる。しかしB が休んだ場合その時間はどうするか。
B 式を変形して次のようにしてみる。両辺にY をかけると
Y/24 +Y/ 36 = 1・・・・・・・・・・・・・・・・・
C
このC 式は 全体の仕事量 を 1 としたものである。 そして Y の単位も(時間)であり、24 も(時間)である。この式における単位は無名数になっており、Y/24
は全体の仕事量 1 に対するAの仕事の割合であり、同様にY/36 は B の仕事の割合である。Y が何時間か休んだとしても全体の仕事量は変わらない。だから B
が休んだ時間を x(h)と置くと C 式は次のようになる。
18/24 + (18−x)/36 =1 ・・・・・・・・・・・・・・・D
故に x= 9 時間となる。 〔ちなみに 18/24 +(18−9)/36 =1 は 0.75 + 0.25 =1 である。
〕
【計算例 14】(仕事算 3)
ある仕事をするのに、A と B だと7日、B と C だと 12日、A と C だと 8日かかる。この仕事をA、B、C の 3 人で一緒にすると何日で終わるか。
【解】 仕事算に精通しただけでは解けない問題であり、題意から特別の工夫が求められる。A や B など一人分の日数の答えは求められていないので、ここでは
3 人一緒にまとめて面倒を見ることを考える。まず二人で行う日数を全部合計してみよう。すると A+B と B+C と A+C の 6 人分の仕事になる。またこの場合は
(A+B)+(B+C)+(A+C) = 2A+2B+2C
= 2(A+B+C) となり、3人一緒のちょうど 2 倍の人数である。
その時の日数Xは次式で得られる。(計算例 12 参照)
1 / 7 + 1/ 12 + 1/ 8 =1/X・・・・・・・・・・・・・・・
@
このXの値は 6 人でするから日数は少なくなる。逆に 3 人なら日数は多くなる。つまり人数は 1/2 になるからXの値を 2 倍にすればよい。さて@
式から 通分してXを求めるのは結構面倒なので、ここでは電卓を使用し小数にして計算してみる。
1/7 + 1/12 + 1/8 =0.14286 + 0.083333 + 0.12500 =0.35119 =1/X
故に X=1/0.35119 = 2.83 日 これは 6 人で行う日であるから 3 人の場合は倍の日数になるので 2 倍 して 5.7 日
となる。
【計算例 15】(仕事算 4)
ある仕事をするのに A が 21 日間行い B が 17 日間 行うと完成する仕事がある。これを A と B がともに18 日 間行うと全仕事量の 1/35 が残る。この仕事を A が一人で全部行うとすれば何日かかるか。
【解法 1】この問題は文字式を使わないと理解困難な説明になる。しかし文字を使用する場合、未知数をどのように設定するかで式の構成が異なってくる。1/35 という仕事量は無名数であり、単なる割合でしかない。これを日数その他でどう表現するかが問題となる。また通常仕事量全体を
1 とするのであるが、これは 2 でも 3 でも適当な数字でよい。単位も適当に、例えば kg、m、m3、などなんでも良いのである。
(計算例4)と同じように仕事量全体はどうでも良く、それを問題にしているわけではない。全体の仕事量が大きくなれば、A や B の行う1日当たりの仕事量も比例して大きくなるだけのことである。故に、ここでは理解しやすくするために(kg)を選ぶと
1/35 の単位も(kg) となる。それで A が行った仕事の、のべ日数は21 日であり、B が行った仕事はのべ 17 日 である。仕事全体を
1(kg)とするから A の仕事量を X(kg) 、Bの仕事量を Y (kg)と置くと、
X + Y =1 (kg)・・・・・・・・・・・・・・・・ @ である。
また A が 21 日の仕事に対して 18 日だけした場合の仕事量は 18X/21 (kg) となり、Bが 17 日の仕事に対し 18 日した場合の仕事量は
18Y/17 (kg) となる。これは単に比率の計算である。日数の割合(無名数)をかけるから、単位は(kg)で変わらない。これらに残りの 1/35
(kg) を加えると次式が成立する。
18X/21 + 18Y/17 + 1/35 = 1 (kg)・・・・・・・
A
この二つの式から X と Y を求めることができる。 @ 式を変形し Y=1−X としてA に代入する。
18X/21 + 18(1−X)/17 + 1/35 = 1 (kg)・・・・・・
B
これを整理して計算すると X=0.4333 (kg) となり、@式から Y=0.5666 (kg) となる。
要するに @ 式は
0.4333 (kg) + 0.5666 (kg) = 1 (kg) である。
このXの値は先ほど決めたようにAが 21 日間で行う仕事の量(kg)であるから、これを 21 で割ると 1 日分の仕事量が得られる。 X/21=0.43333/21
= 0.02063 (kg/日) である。さて全体の仕事量を 1 (kg)としたのであるから、その全体量を 1日の仕事量で割ると必要な日数が得られる。要するに逆数である。
故に全仕事をA が一人で行う時の 日数は 1 (kg)/ 0.02063(kg/日) = 48.5 (日)
となる。
ちなみに B が一人で行えば 1/ 0.5666/17 = 30 日 である。
【解法 2】今度は直接、求める日数を未知数にしてみる。1/35 は 比率だから、日数を使う場合も比率で表すことになる。A が全部を一人で行う日数を X (日/kg)、B
が全部を一人で行う日数を Y (日/kg)とする。故に実際に仕事をする日数を X や Y で割ればこれも 無名数の比率になる。これらを式で表すと
21/X + 17/Y = 1 (kg)・・・・・・・・・・・・・・
@
さらに 18/X + 18/Y + 1/35 = 1 (kg) ・・・・・・・・・・ A となる。
これを解いて X = 48.4 日、 Y = 30 日 となる。
ちなみに 比率は 21/48.5 + 17/30 = 0.433 + 0.566 = 1 である。
【計算例 16】(仕事算 5)
1日に6 人で働くと20日かかる仕事がある。はじめの 10 日間は 8 人で働き、残りを 5 人ですることになったが、それは何日かかるか。
【解】これまでの例は一人が何日の仕事をするかに関係するものであったが、この問題には人数が関係してくる。これまでの例では仕事量全体を 1 としたが、この問題では一人の人が
1 日で行う仕事量を 1 とする。仕事量全体をW(kg)とし、一人 1 日の仕事量をzとすると単位は(kg/日・人) となる。従って仕事量 W
は
W(kg)= z(kg/日・人)×日数×人数 となる。
ここで前例と同じように z が 1 でも 2 でも、どんな数でも良い。一人が 1 日 に行う絶対量は問わないのである。zの増減が比例して W
に反映する。ゆえに題意より残り 5 人 で行うときの日数を x (日)とすると次式が成立する。 W = 6×20z =(10×8 + 5x)z
・・・・・・・・@
この式でWは不要、z も消えて @ 式は 6×20 =(10×8 + 5x) となる。
これを解いて x= 8 (日) となる。