3.1 国際単位系 3.2 法定計量単位 3.3 法定基本量 3.4 時空、力学関係単位
3.5 材料力学関連の単位 3.6 熱関連の単位 3.7 電磁気関連の単位 3.8 光関連の単位
3.9 放射能関連の単位 3.10 その他の単位 3.11 特殊な単位 3.12 非SI単位
3.13 各種単位換算表 3.14 SI単位関係史 コーヒータイム(3)青春 執筆後記(第三章)
旧計量法では騒音レベルと称していたように、騒音を対象にした単位である。音の発生源には関係なく人が騒音を感じる場所での測定値である。人の音感は目の感覚と同じように物理的量とは一致しない。そして人間の音に対する感覚は音の大きさが
10 倍になっても人は2倍程度にしか聞こえない。人の可聴範囲は周波数で 20 Hz〜20000 Hz であり、音圧では 0.00002〜60(Pa)と非常に廣い。騒音の程度を表すのにこの音圧をそのまま使用するのでは極めて不便な数値である。血圧のように
60〜160 程度で表現できれば都合がよい。それがデシベルという表示方法である。まず最低音圧(0.00002 Pa)を基準にして指数化する。目的の音圧を
P とすると基準値 P0 (0.00002 Pa)で P を除し、その対数をとれば指数化したことになる。このままではまだ小さくなりすぎるので全体を 20 倍する。これを式で表すと音圧レベル
Lp (dB) は次のようになる。
Lp = 20 log 10(P/ P0)・・・・・・・・・・・・・・・ (56)
この式から P が最低音圧であれば P/P0 は 1 となり、その対数は 0 だから L も 0 デシベルになる。木の葉のふれあう静かな音圧は 0.0002 Pa であり、これは 20 デシベル、普通に会話したときの音圧は 0.002
Pa 程度であり、これは 40 デシベルとなる。さらに飛行機のエンジンのような最高にうるさい音は 20 Pa であるが、これでも 120 デシベルである。つまり音圧レベルは人間の耳に対して
0〜120 程度の数字ですべてカバーできるということである。 (対数については 4章6.節、音圧の比較は 5 章 11 節を参照)
音は空気の振動(従波)によって伝達するエネルギーであるからこれを「W」で表示することが出来る。
従って、音響パワーは「ある面を 1 秒間に通過する音によって生じる力学的エネルギーが 1 ジュールの仕事に相当する音響パワー」であると定義されるエネルギー「W]
である。音圧レベルは騒音原から離れた所、耳の位置での測定値であり、その環境や測定位置の明記が必須となる。そのような間接でなく機械自体が発する騒音の音圧を直接測定するのが音響パワーである。発生源の装置に固有の値とするために、音源を完全に取り囲んだ閉曲面を
1 秒間に通過する全音響エネルギーを示すものである。
音の強さをエネルギーで表しても、範囲は大きくなることに変わりはない。これも音圧レベルと同じく比を対数で表すことで、小さな幅に変えることができる。
目的の音響パワーを P とし、基準の音響パワーをP0 とする。
P0 = 1 pW とし、その比の対数を 10 倍にしたものである (pW=10−12 W )。
LP =10 log 10 P/P0 ・・・・・・・・・・・・・・・(57)
これらの関係は紛らわしいので略称で区別する。音圧レベル(Sound Pressure level)を SPL、
音響パワー(Sound Power levele)は PWL、音響パワーレベル(Sound Intensity levele)を IL とす
る。
なお IL は音の強さのレベルともいう。
参考 15 ドップラー効果
音源とこれを聞く側の距離が近づけば高い音に聞こえ、遠ざかると低く聞こえる。この現象をドップラー効果という。この場合、観測される振動数
f(Hz)は次式で表される。
ここで f0 (Hz) :音源の振動数 V (m/s) :音源の速度
u (m/s) :観測者の速度 v(m/s) :音源の速度
(音源から観測者に向かう方向を +、この反対を−とする。)
振動は騒音と共に日常生活に関係の深い公害問題となる。それは各種機械や交通機関の大形化、建設工事機械類の大形化などにより生じて来た現象である。振動の大きさは加速度([G]、[Gal]、[m/s2])、速度([m/s])、変位([m])などで表される。この内の加速度について、一般に人間が全身で感知できるとされている周波数範囲(1〜80
Hz)の値を、対数表示したのが振動加速度レベルである。測定した振動加速度の実効値 P を、基準値 P0 ( 10−5 m/s2 ) で除し、その比の対数の値を 20 倍したものである。単位はもちろん dB(デシベル)である。
Val = 20 log 10 P/P0 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(58)
人が感じる最小の振動加速度は 10−2 m/s2 であり、これを振動加速度レベルで表すとVal = 60 dB となる。
糸類のサイズ(太さ)を表す単位であり、単位長さ当たりの質量(テックス、デニール)、または単位質量当たりの長さ(番手)で表す方法がある。
テツクス(tex)は 1000 m 当たり 1g の単位であり、数字が大きくなるほど太くなる。この他にもたくさん繊度の単位があるが、だんだんこのテックスが主流になる。これの1/10
をデツクスとして用いられる。
(1 tex = 10 dtex、 1 tex = 1 mg/m)
デニール(D) は 9000 m 当たり 1 g の繊度であり、主に絹や化学繊維のフィラメントに用いられている。数字が大きくなるほど繊維は太くなる。50 デニ−ルとは、9,000
m で重量が 50 g ある場合であり、50 D または 50 d のように表記する。
番手 紡績した糸の太さを表わす単位で、一定の質量に対して長さがいくらあるかで表わし、メート ル番手、綿番手、毛番手、麻番手などがある。数字が大きくなるほど細くなる。繊維には長い歴史
がある故にこの番手には多くの単位がある。1000 m/kg(メートル式)、840 yd/lb(英式、綿糸、絹紡糸用)、2000 m/kg(仏式、絹紡糸用)、300
yd/lb (英式、麻糸用)等である。
メートル式では 1 kg に対して1000 m を 1 番手、 綿番手の 1 番手とは重さが1ポンド(453.6g)で長さが 840
ヤ−ド(768.1 m )あるものをいい、840×2 ヤードであれば 2 番手 となる。
あるものを溶かしている物体を溶媒といい、溶けている物質を溶質という。例えば食塩水は水が溶媒であり、食塩が溶質である。溶質と溶媒との単位の取り方で多くの濃度単位がある。
mol/m3 、 mol/L 溶液 1 L 当たりに溶けている溶質の物質量(mol)で示した濃度をモル濃度 (記号>c,cB)という。c(mol/L) = n(mol)/V(L),1 mol/L=103 mol/m3
mol/kg 溶媒 1 kg に溶けている溶質の物質量(mol)で示した濃度を特に 質量モル濃度(m,mB)といい 、モル濃度と区別する。単にモル濃度というのは体積モル濃度である。
kg/m3 を溶液 1 m3 当たりに溶けている溶質の量を kg で示す濃度を質量濃度(記号ρB)という。
全体の物質 W のなかに含まれる成分 Wb の比に数値 A を乗じた値である。ここで A は 百、千、百万(106),10億(109),1兆(1012),千兆(1015)等とする。たとえば質量分率 w は次式で与えられる。 w = A×Wb/W これらの質量分率は次のように表現される。気体の場合は体積と体積の比になり、体積分率となる。溶媒が液体の場合は水が殆どであり、質量と同じであり mg/L は ppm と同じである。
%:百分率、 ‰ : 1/1000 (千分率 )、 ppm : 1/106 (百万分率) 、ppb : 1/109(10億分率)
ppt : 1/1012 (1 兆分率)、 ppq : 1/1015 (1千兆分率)
例: 鉄分濃度 3 ppm の地下水 500 ton にはどれだけの鉄分があるか。
解: 題意から 次式が成立する。 3 ppm = 106×Wb/W
ここで W =500 ton =500,000 kg
全鉄分量を Wb とすると Wb = 500000 ×3/106 = 1.5×106/106 = 1.5 kg
水(H2O)は純水であっても、ごくわずか水酸イオン(OH−)と水素イオン(H+)とに分離している。
そして、温度が一定であれば、どのような水溶液でも、つねに、〔OH−〕と〔H+〕の濃度はともに1.0×10−7[mol/L]であり、これらの積を水のイオン積といい Kw で表す。25℃ においてKw は次のようになる。
[OH−][H+]=(1.0×10−7)2 = Kw = 1.0×10−14
この水に酸性物質やアルカリ性物質が溶けてもこの水のイオン積は不変である。故に水溶液が酸性であるかアルカリ性であるかは、水素イオンの濃度 [H+](mol/L) で決まる。[OH−]と[H+]の積は常に一定であるから一方が大きくなれば他方は小さくなる。この濃度は非常に小さいのでこれを簡単な数字で表すのに対数を用いる。つまり水素イオン濃度の対数をとり、それにマイナスをつけ、次のように定義する。
pH =−log10 [ H+]
これによると純粋の場合は pH =−log10 10−7 =7 log1010 = 7 となりこれは中性を表し、7より小さいと酸性であり、大きいとアルカリ性を表す。たとえば塩酸の 0.1 mol/L の溶液は完全解離して、濃度と同じ水素イオン濃度となるから、この溶液の
pH は次のようになる。
pH =−log100.1=−(−1)=1
つまり水素イオン濃度 0.1(mol/L)は(pH=1)と簡単な表現になる。
尚 pH は以前はペーハーとドイツ読みをしていたが、今はピーエッチと読む。
質量を体積で割れば密度となる。純粋な物質についてはすでに測定され、多くのデータがある。故に密度を測定することが必要なのは混合物質であろう。液体ならば次の項の浮ひょうを利用する。複雑な形の固体ならば水の浮力を利用することも出来る。空気中の質量を m、水中での質量を m1 、水の密度をρwとすると密度 ρ は
ρ = mρw /(m−m1)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (59)
で表せる。これはアルキメデスの原理である。水より軽い場合は、重りを追加しそれを補正する。固体の場合は形状が多様であり、かさ密度、見かけ密度、粒子密度その他の呼び方がある。密度は温度によって変化するので、温度の明記が必要である。濃度もこれと同じ単位で表すが、これについてはすでに前節で述べている。
(5章14節、密度も参照)
(1)比重 (無次元)
水と同じ体積の質量を比較した値であり、kg/Lと同じ数字になる。4℃、1 気圧の 水(要するに1である)と質量を比較するから単位がなく、従って無次元量である。
(2) 重ボーメ度
Bh 水より重い液体の比重を測定するための単位である。15% の食塩水を 15 度、水を0 度として 15 等分と定め次の式より求める。重ボーメ度を
Bh、比重 を d としたとき Bh = 144.3(d−1)/d または d =144.3/(144.3−Bh)
浮ひょうを利用し、食塩水や珪酸ソーダ液など比重 1 より大きい溶液の小さい濃度変化を拡大して管理できる方法である。
(3) 日本酒度
日本酒の甘口辛口を見分ける方法とされているが、本当はアミ ノ酸や糖分の濃度を測定しているのである。それら混合物をひとまとめにして比重で測定するのだからあまり科学的ではない。この測定もやはり浮ひょうを用い、水より軽い液体の比重を 15 ℃ で拡大表示する方法である。15℃ で 4 ℃ の純粋の水と同じ重さの酒(比重 = 1)は日本酒度 ±0
で、それより軽いものは辛口となりプラス(+)、重いものは甘口となりマイナス( −)で表示される。日本酒度を S 、比重を d とすると S = 1443(1−d)/d となる。
新計量法では「ある物質が通過することができる最小の方形網目又は円形網目の 1 辺の長さ又は直径が 1 メートルであるときの粒度」と定義されている。網目が
1 m などということはあり得ない、これなら粒体ではなく岩石である。以前の計量法では mm であった。つまり単位を統一すればこういう表現にならざるを得ないのであり、そのまま適用できないから、実際は(μm)または(nm)で表示される。逆に圧力の単位
Pa は小さすぎるから、実用的には MPa が使用される。粒度の場合は(m)以外に、砥石やその関連ではメッシュが使用されている。メッシュとは1インチ(25.4mm)の間隔を分割する数であり、数が多いほど小さくなる。それらの関係は次のようになる。
メッシュ 32 42 60 80 100 200 250 325
μm 500 355 250 180
150 74 63
44 (詳しくは5章19参照)
これも新計量法では「空気中の水蒸気の分圧のその空気と同一の温度の飽和水蒸気の圧力に対する比の百倍が1 である湿度」となっている。空気中の水分は温度によって飽和する量(m)が決まっており、現在の空気中にある水蒸気量(n)の 100 分比であり、これは相対湿度ともいう。 H =(n/m)×100
これに対して、1 m3 または 1 kg 中に含まれる水分量をkgで表した、kg/m3 や、kg/kgair の単位で表現したものを絶対湿度という。また気体の温度が下がって行き、ある温度に達すると、気体中の水蒸気は凝結する。このときの温度を露点と言い湿度を温度で表す一つの手段となる。
これを単位とするには気が引ける。ある単位をそれと同じ単位で除したものであるから、単位が消えて無次元となる。しかし単位がなくてもその数字には名称がつく。このような名前だけついている無次元数は作るつもりならいくらでも作れる。そしてそれらは
% や 1000 分率とか ppm、ppb などでも表される。
回路に電流を流すとき、電流と電圧の位相差を ψ とするとき, cosψ を力率 λ という。またこの力率 λ は電力の効率に関するものであり、皮相電力 S(供給された電力、電源回路を流れる電力)に対する有効電力P(実際に負荷側で消費された電力)の割合である。
λ=P/S
電圧と電流の位相のずれより生ずるので、コンデンサーを使用することで改善することができる。
屈折度は媒質の屈折率をレンズ(主として眼鏡用)の焦点距離で割った値であり、単位はディオプトリ(Dptr)である。メートルの逆数で
D = 1/f
となり、焦点距離が短いほど屈折度は大きくなる。故に眼鏡の場合「度が強い」と言うのは D が大きいと言うことである。だがこの「度」というのはメートルの代わりにインチを用いた単位であり、 1インチ = 0.0254メートルなので、1
Dptr = (1/0.0254)度 = 約 39 度となる。似たような言葉に屈折率があるが、これは直進する光線等が異なる媒質の境界で進行方向の角度を変える割合のことであり、
屈折率 = sini/sinr である。
これは「長さ」や「質量」と異なり、厳密な物理量ではなく単位もない。硬さの数字があるからと言ってそれを何かの数式にいれて、設計するなどと言うことはできないのである。それでも重要な指標なのである。にもかかわらず理論的に統一的な説明ができず、試験方法も様々である。それらの方法による換算値も概略でしかない。これらの硬さ試験の数値を相互に換算することはできない。無理に換算しても概略値にしかならない。それでも試験法はJISに決められており、それらを次に示す。
焼き入れした鋼球(直径 10、5、2、1 mm 等)の圧子を試験片に押しつけ、永久くぼみをつけ、圧子を取り除いたのち、荷重をそのくぼみの直径から求めたくぼみの表面積で割った値。圧子が 鋼球のとき HBS、超硬合金球のとき HBW の記号を用いる。
対角面が 136°のダイアモンド正四角すい圧子を用い、試験片にくぼみをつけ圧子を取り去ったときの圧子と試料との接触面積で荷重を割った値に一定の係数を掛ける。
荷重が 0.49〜9.8 N 程度と非常に小さいから微少という。しかし市販品は0.49 N 以下が多いようである。圧子はビッカース圧子と同じものと、他にヌーブ圧子という縦と横の長さ が異なる菱形の形状を使用する。試験器の構造はビッカースとほぼ同じである。
圧子は曲率半径 0.2 mm を頂点とした円錐形(120°)のダイヤモド圧子と直径 1.58 mm の鋼球の 2 種。 荷重をかけた状態で押し込み深さを直読するので測定速度が速い。
先端にダイアモンド圧子をつけたハンマー(直径 8 mm の円筒形)をある高さか ら落下させ跳ね上がる高さで測定する。同一材料の比較に適する。
耐火度とは「それを測定するための標準の三角錐が、一定条件で加温されたとき軟化変形する標準温度錐に付された番号」である。この三角錐とは底面が
8×8×8.5 mm2、 上面が 2.5×2.5×3 mm2、 高さ 30 mm (2種)及び 60 mm(1種)の小さなものであり、ゼーゲルコーンという。これを 80°に傾斜させ底面を固定して炉の中に入れ温度を加える。ある時間経過すると、軟化し頭部が下につく。このようにして温度毎に耐火度を測定するために、用意した各種三角錐に付与した番号を耐火度という。
たとえば、耐火度 SK10 は溶倒温度 1300 ℃、SK20 は溶倒温度 1530 ℃ という具合である。温度だけなら別に精密な測定器がある。しかしこの場合温度とともに時間も関係する。サウナなら
80 ℃ でも平気だが、風呂が 80 ℃ では瞬時でも入れない。しかしサウナでも長時間は無理である。これがゼーゲルコーンを必要とする理由である。ゼーゲルコーンは粘度で作られ、耐火度は陶磁器や耐火建材の製造に利用されている。
衝撃試験機(シャルピー、アイゾット)によって得られた値であり、試験片の衝撃破壊に消費されたエネルギーの大きさを表す数値である。試験片は断面が10mm 角の棒にフライスカッターで小さな溝を入れたものである。このエネルギーを吸収エネルギーと呼び,この値が小さいほど材料は破壊に対する抵抗が低いことを示す。例えば、120°の高さから振り下ろしたハンマーが、試験片に衝突して80°の高さまで振り上がったとすれば、この差である 40 °分の位置エネルギーが材料に吸収されて、その破断のためのエネルギーとして用いられたとする。