第 四 章 目 次 4.1 実用数学とは 4.2文章問題 4.3 y=ax → y=ux 4.4 三角関数
4.5 指数関数 y=ux 4.6 対数関数 logay=x 4.7 数学あとがき 4.8 数学公式集pdf
コーヒータイム(4)詰め将棋と魔方陣 執筆後記
さて今度はy=ax から少し進んだ関数式
y = ax ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(17)
という指数関数を調べることにする。この式でxを指数といい、
aをx回掛け合わせることである。a をyのx乗根(累乗根)という。つまり a=a1 、a×a=a2 、a×a×a=a3 である。
具体的数字をいれてみると
2×2=22=4、 2×2×2×2=24 =16
10×10×10×10=104 =10000 等となる。
図17は 最も簡単なy=2x のグラフであり、曲線である。
この指数関数も a を定数でなく変数として u と置けば、3変数関数である。
y=ux ・・・・・・・・・・・・・・・・ (18)
前述したy=ux の場合と同じように、この場合も縦軸や横軸にどの変数を割り当てるかは自由である。
図17ではx軸に指数xを配置したが、xとuを入れ替えて u を指数とすると y=xu となる。これは u が 2 のときは x の 2 次関数であり、3 なら 3 次関数となり、この場合も曲線になることはすでに教科書で学んだことである。
さて図17 から、さらに u の値を少し広げてつまり u を変数とみなして、関数電卓で求めた結果をグラフにしたのが 図18 である。これをみれば一目瞭然、u
= 1 は y = 1 における横軸であり、
u が 1 に近づくほど水平になり、u が大きくまたは小さくなるほど急に立ち上がる曲線になる。そしてyの値は決してゼロにはならない。指数関数に関して、大抵の参考書は曲線を当然としておりそれ以上の説明はないまま終わっている。
曲線のグラフを書くということは、手数のかかることであり、それだけに利用も制限されてしまう。直線なら 2 点が決まれば書ける。その便利さを利用するためにあえて直線のグラフを考えてみる。前節では分数関数という曲線のグラフでも(図4参照)、縦軸横軸への変数の配置によって直線になることを述べた。
この指数関数も u を変数にすれば 3 変数関数である。
二つの値が決まれば他は式に従って自動的に決まる。ゆえにまず横軸(x軸)の目盛りを決める。そして u をとりあえず 10 と定めて45°の直線を書く。これで
x と u の値が決まったからこれを元にして縦軸(y軸)の目盛りを書き込んでいく。それが 図19である。
y軸の目盛りは 10 倍単位で大きくなっていく。ここで問題なのは、y 軸の目盛りにおいて、1 と 10 の間や10 と 100 との間などの中間の目盛りが決まらないことである。x
軸の等分目盛りなら、中間値を決める方法は容易であるが、この場合のy軸の中間値はちょっと工夫が必要である。しかし指数関数を直線のグラフにすることで大きなメリットが得られるのであり、これに関しては次の対数の項で検討することとしよう。
u をn個掛け合わせたものをuのn乗といい、un と書き、nを指数という。uをn個掛け合わせたという場合、3回とか5回というのは理解できても例えば、0.7回とはどういうことか。
80.7は 8 を0.7 回掛けるということである。電卓を使用すれば80.7=4.28709と簡単に求められる。理論的には
ということであるが、8を7回掛け合わせ、それの10乗根ということである。しかし10乗根というのは計算で平方根を開くような方法では不可能である。例えば
であり、平方根を 3 回続けて求めればよい。しかしこれを4 回行うと
となり 16 乗根になる。単純に平方を繰り返すだけでは求められないが、これを可能にする方法を検討する。まず指数の法則 am+n = amanを利用することにし、その準備として指数0.7を分解する。
0.7=0.5+ 0.2 =1/2 + 0.125 + 0.075
= 1/2 + 1/23 + 0.0625 + 0.0125
= 1/2 + 1/23 + 1/24 + 0.00781 + 0.00469
= 1/2 + 1/23 + 1/24 + 1/27 + 0.0039+0.00079
= 1/2 + 1/23 + 1/24 + 1/27 + 1/28 +1/210
この 2 の指数の数字はルートの回数を意味するので、これをルート記号で表すと次のようになる。
これで電卓で計算できる。ここに示された 2 の回数だけ 8 の数字にルートを押す回数である。
故に 80.7=2.82843×1.29684×1.13879×1.01638×1.00815×1.00203 =4.28881
80.7を電卓から直接求めた値 4.28709 より若干大きいが、これは最後の項の誤差による。これでもピンとこないかも知れないが、要するにどんな指数に対してもその答えはあるということである。
図19 をみても分かるように、y=10x のグラフは連続している直線である。ということはどんなxの値にもyは存在しているということである。つまりxは整数や小数などの有理数だけでなく、無理数でもよいことになる。
y = ux でこれらを他の文字に置き換えても、たとえば R=St となっても指数関数に変わりはない。 y= ax のグラフに置いて x=2 はわかるが、u=2 はなんだか分からないというのでは困る。xやy以外の文字になれるようにしよう。またこの
3 変数を物理量とすればそれが負数をとることはない。指数に−がついても、これは 例えばs−t は 1/st ということであり、負の物理量ではなく、その減少を表しているのである。
a>0, b>0, で m,n,p が整数のとき次式が成立する。
上の式から次の式が導ける。

曽呂利新左衛門の逸話がある。秀吉から是非に褒美を受け取れと言われた新左衛門は米粒を初めの日に一個、二日目に2個、3日目に4個、というように一日毎に倍にして、ひと月分の合計を希望した。
逸話の内容はさまざまであり、この一月分が、将棋の升目(81)であったり、百畳の畳であったりする。
ここでは30日としておこう。(この計算には下欄の等比級数の和を利用する)
米粒の全数量 Sn は最初の日からの合計であるから
Sn = 1 + 2 + 22 + 23 + 24 +. . . . . . + 229 = 230−1 = 1.07×109 粒
この場合 初項 = 1,項比 = 2 、 n = 30 であるから
Sn=1(230 −1)/ (2−1) = 230 −1 = 1.07×109 粒となる。
米粒は 1g で 50 粒、故に 1.074×109 / 50 =2.15×107g=21.5 トン となる。
仮に2 ヶ月 にすると Sn =1(260 −1)/(2−1)=260 −1=1.15×1018 粒
1.15×1018 / 50 =2.3× 1016 g=230 億トン になる。
これが100日だととんでもないことになる。
Sn =2100 =1.27×1030 粒 、 1.27×1030 /50 =2.53×1028 g =2.58×1022 トン
日本の米の総生産量は 1340 万トンである。 30 日とするのが妥当のようである。
【この計算は等比数列の和の公式を使用している。 初項a 、公比rの等比数列の初項から第n項までの和 Sn は次のように求める。
Sn = a + ar + ar2 + ar3 + . . . . . . . . + ar n-1 . . . .. . . . . . . . @
両辺にr を掛けると
rSn = ar + ar2 + ar3 + ar4 +. . . . + arn-1 + arn . . .. . . . . . . . . A
@ から A を辺々引くと
Sn −rSn = a−arn ∴ Sn (1−r) = a(1−rn)
故に r≠1 のときは Sn =a(1−rn )/(1−r)= a(rn−1 )/(r−1)
r = 1 なら Sn = a + a + a + a + . . . . . + a = na 】
次は貯金などの複利計算の例である。年の始めに A 円を預け、年利率r、1 年ごとの複利でn 年間貯金すると元利合計 S はいくらになるかという問題である。
1 年後は A + Ar = A(1 +r)
2 年後は A(1 +r)(1 +r)=A(1 +r)2
3 年後は A(1 +r)2 (1+r)=A(1 +r)3
故に n 年後は A(1 +r)n となる。
この計算では A が分からなくても利率が分かれば、(1+r)n だけの計算で、預けた元金がn年後に何倍になるかということが分かる。 年利率 6
%で 20 年だと(1+0.06)20 =3.207 倍となる。
仮に 50 万円預けると 50×3.207 = 160.35 万円となる。つまり S/A = 3.207 であるから、A か S かの一方を決めれば、他を求めることができる。これは貯金とは逆に借金した場合の元利合計にも当然適用できる。
トイチ という高利貸しの場合、10 日で10 % ということである。1 年放置すると(1 + 0.1)36.5 = 32.4 倍となる。借りた元金が
1 年で 32.4 倍になるということである。
今度は定額の積立貯金である。年の始めにA円を預け年利率r、一年ごとの複利でn年間 A 円を積立貯金をするとn年後の元利合計はいくらになるかという場合である。
積立金A 預ける期間 n n年後の元利合計 S
1年目 A n A(1+r)n
2年目 A n−1 A(1+r)n-1
3年目 A n−2 A(1+r)n-2
n年目 A 1 A(1+r)
従って、求める元利合計Sは
S=A(1+r)+A(1+r)2 +A(1+r)3 + . . . . . . . . . +A(1+r)n
=A(1+r)〔(1+r)n−1〕/(1+r)−1 (等比数列の和の計算)
まとめると S=A(1+r)〔(1+r)n −1〕/r
この場合も S/A =(1+r)〔(1+r)n−1〕/r とおけるので、利率と期間を設定した場合
A か S のいずれかを任意に決めて他方を求めることができる。
最後の例として、ローン返済の場合を考える。年利r、1年毎の複利とする。
年の始めにP円を借りて、毎年末に定額A円を返済し、n年で完済する。
この場合、計算の根拠として次のように説明される場合がある。
まずPを返済なしでn年間借りた場合の元利合計S1を算出する。次にA円を毎年(年末)に積み立てたときの元利合計S2を求める。S1とS2を同じとしてA円を求めるのである。
S1=P(1 +r)n S2 =〔A(1 +r)n −1〕/r
S1 = S2 =P(1 +r)n =A〔(1 +r)n −1〕/r
故に P/A=〔(1 +r)n −1〕/r(1 +r)n
前例の貯金の場合は、年初にあずけるから年末に利息が付く。しかしこの返還の場合は年末に預けるとするから利息に 1 年の差がつき、同じ等比数列の和の計算であるが、S2 には(1+r)がない。このことよりも
S1 とS2 が同じであるということはすぐには理解できない。結果が同じになるにしても、次の計算方法から求めるのが分かりやすいであろう。
1 年目の残高 P(1+r)− A
2 年目の残高 〔P(1+r)−A〕(1+r)−A=P(1+r)2 −A〔(1+r)+1〕
3 年目の残高 {〔P(1+r)2 −A〔(1+r)+1〕}(1+r)−A=P(1+r)3 −A〔(1+r)2+(1+r)+1〕
n年目の残高 P(1+r)n −A〔1+(1+r)+(1+r)2+(1+r)3・・・・(1+r)n−1〕
=P(1+r)n −A〔(1+r)n − 1 〕/r (等比数列の和の計算)
n年目に残高0だから P(1+r)n −A〔(1+r)n − 1 〕/r =0
故に P/A=〔(1+r)n − 1 〕/ r(1+r)n
結果は前述の式と全く同じである。
さて 元金を据え置いた場合、定額の積み立て、また元金償還の場合を計算してみる。年利率 0.06 %、
期間 20 年、100 万円を基準とする。 S/A または P/A を k という係数にする。
●(2)の据え置き貯金の場合 100 万円を 20 年預けたままのとき 元利合計S 、元金A とする。
S/A=k=(1+r)n=(1.06)20 = 3.207
S/100 = 3.207
S=3.207×100= 320.07 万に増加
●(3)の積立貯金の場合 定額を積立、20 年間で 100 万円にする金額 元利合計S、積立て金額A
S/A =k=100/A =(1+0.06)〔1+0.06)20−1〕/0.06 = 38.99
A=100/38.99 = 2.56 毎年
2.56万円の貯金となる。 積立総額 51.2 万円
●(4)ローン償還の場合 100 万円を借りて 20 年毎年定額返済、返済金額をA とする。
P/A=k=100/A=〔(1+0.06)20 −1〕/0.06(1 + 0.06)20 =11.47
A=100/11.47 100/11.47=8.72 毎年
8.72万円返済 返済総額は 174.8万円