3.1 国際単位系 3.2 法定計量単位 3.3 法定基本量 3.4 時空、力学関係単位 3.5 材料力学関連の単位 3.6 熱関連の単位 3.7 電磁気関連の単位 3.8 光関連の単位 3.9 放射能関連の単位 3.10 その他の単位 3.11 特殊な単位 3.12 非SI単位 3.13 各種単位換算表 3.14 SI単位関係史 コーヒータイム(3)青春 執筆後記(第三章)
m2 や m3 だけをみて面積や体積の単位だと断定することはできない。 長さの 3 乗は 3.5.4 で述べるように断面係数の単位でもあるからである。単位には必ず名前がついており、それが明示されて始めて意味がはっきりする。面積の定義は「1
m2 は辺の長さが 1 メートルの正方形の面積」となっており、正方形であるということが重要である。単に長さの二乗なら平行線もあり得るのでそれでは意味をなさなくなる。ではこの定義から右図(2)の長方形はどうなるか。定義は知らなくても、面積は常識的に0.5×2
= 1 m2 となる。しかしこれだと上の定義は合わなくなり、「長方形に対しては直角を構成する 2 直線の長さを m で表したその積」ということにでもなる。それでは(3)や(4)の円や不定形の面積はどうなるか。
これは定義する方法がない。円の面積は公式から πr2 であり、長さの二乗になることはわかるが、不定形の面積はどうやって求めるか。そしてなぜそれが長さの二乗になるのか。実はこの不定形の場合は、小さな小さな正方形の単位面積に仕切ると、その面積は計算出来るから、その単位面積の数を合計するのである。不定形の体積の場合も同じであり、小さな立方体に仕切り、それを合計する(4.3.2
参照)。前述の面積の定義は言ってみれば、拡大解釈が必要なのである。面積や体積などは至極簡単な例ではあるけれど、これから単位を考えていく場合にこれらは必要な事柄である。
距離を時間で割れば速度になる。前出(1)式の変形であり次式となる
v = L/t ・・・・・・・・・・・・・・(5)
速度はベクトル量である。同じような意味で「速さ」という言葉もあるが、これはスカラ量である。
速度の中で方向を考えない場合、速さという。単位は いずれも m/s であるが、日常的に km/h も使用されるが、それらの関係は 1 m/s
=3.6 km/h 、1 km/h =0.277 (m/s) である。
加速度 a は単位時間当たりの速度の変化量である。等速運動していても、方向が変われば加速度が生じている。速度や方向が変化するところには必ず加速度があり、数式で表すと次のようになる。
・・・・・・・・・・・・・ (6)
Δは微少を意味するが、どんなに小さくてもΔv やΔt は速度や時間であることに変わりがない。故に速度を時間で割れば 単位は m/s2 となる。(加速度に関しては 4.3.2.2 参照)
参考1. 等加速度直線運動
動の方向が一致しているとき等加速度直線運動という。このとき速度や変位は次の関係がある。
速度 v v = v0 + at・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (A)
変位 x x = vt0 + (1/2)at2 ・・・・・・・・・・・・・・(B)
加速度 a v2 +v02 =2 ax ・・・・・・・・・・・・・・・・・(C)
投げたボールが落下せずに永遠に飛び続けるなどと言うことは、経験上あり得ないことである。だからアリストテレスは物体に一定の速度を与えておくには一定の力を与え続けなければならないと結論した。しかしこの常識的考えは間違っていた。重力や空気抵抗もなく他の力が一切ないところでは、投げたボールは永遠に飛び続ける。このことを発見したのはガリレオである。彼は右図のように斜面を向かい合わせにした簡単な装置で実験しそのように結論した。(1)において
A の高さhからボールを転がすとBの傾斜では同じ
高さまで上がる。(2)では登りの傾斜をへらしても、距離は長くなるが最初と同じ高さBまで上がる。もっと傾斜を緩めれば長くはなるがはじめの高さまで上がる。(3)のように水平面だけの場合は初めの高さになることはないからボールは転がり続ける筈である。つまり水平面だけなら永遠に転がり続ける。この実験で抵抗をゼロにすることはできないから、いずれボールは停止する。それでもこの事実と思考によりガリレオは慣性の法則を発見した。永久に転がり続ける実験など不可能であるが、現実の複雑な実験結果を熟考し、理想化することで純粋な現象を抽出し彼は正しい結論に達することができた。それは物体に速度を与えれば永遠にその速度を保ち、静止している物体に力が働かなければ永遠に静止を続けるというものである。
そしてガリレオの慣性の法則を基礎にしてニュートンが運動の法則を発見し、数式で表現した。
3.3.2 節で紹介した式であり再掲する。
F = ma ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
F:力(kg・m/s2)、m:質量(kg)、a:加速度(m/s2)
極めて簡単な式であるが、内容は豊富で複雑である。(2)式において、力Fが働かなければつまりゼロなら左辺はゼロである。右辺もゼロでなければならないから、質量m
がゼロでないとすれば加速度がゼロつまり物体は動かないということである。静止している物は力が働かない限り永遠に静止していることになる。また動いている物体があるとする。それがどんなに低速や高速であろうと、運動している物体は永久に運動を続ける(運動の第一法則または慣性の法則)。また(2)式は物体に力が作用すれば力に比例した加速度を生じる、簡単に言えば「力は加速度に比例する」ということである(運動の第二法則)。
力の単位ニュートン(N)は「質量1kg の物体に1m/s2 の加速度を生じさせる力」と定義されている。つまり 1 N =1 kg・m/s2 である。ここで何回も顔を出す加速度とは 速さの変化をそれに要した時間で割ったものである( a=Δv/Δt)。 速さの変化だから、等速で運動している物体には適用されない。
速度変化があるところに必ず「力」が加わわった結果ということである。
地球上では 重力加速度g= 9.8 m/s2 が物体に作用する。故に質量 1 kg の物体には
1×9.8 =9.8 kg・m/s2 (9.8 N)の力が作用する。
逆に 1 N の力とは 1/9.8 = 0.102 ≒100g となり、リンゴ一個程度を手に受ける力である。
この重力加速度g は万有引力の法則から導かれて g = GM/R2 で求められる。
G:万有引力定数 6.673×10−11(N・m2/kg2)、M:地球の質量 5.974×1024 kg 、
R:地球の半径 6.378×106 m これらの値から g = 9.799 m/s2 となる。
g の値が少し異なるのはg の式が自転による遠心力は小さいとして無視したことによる。
参考2.重力質量と慣性質量
さて F = ma の式から 力 F と a が分かれば 未知の質量m が求められる。質量の大小は力を加えたときの動かし安さに比例する。式から分かるように物体に加速度(速度の変化)がなければ、力は働いていない、力が働かなければ速度は変化しない(加速度は生じない)のである。これを利用して求めるのが慣性質量である。重力質量の測定は重力だけで運動は不要、慣性質量は力を加えて加速度を測定するので重力は不要である。地球上の物体 m にはすべて引力が働いて力(重力)を生じさせている。加速度aが重力加速度g にかわり、F = mgとなり基準の物体(m1)と質量未知の物体(m2)を天秤で比較すれば 質量を求めることができる。m1g =m2g であり、ここで重力加速度g はどんな値をとっても同じ場所なら同じ値である。海であろうと山であろうと、月面であろうとかまわない。重力加速度は消えるから m1= m2であり、これが重力質量である。測定方法からすれば重力質量と慣性質量は何の関係もない。それなのに重力質量と慣性質量は同じであり、これを区別する必要はない。いずれも(2)式から得られるから当たり前ともいえることである。
参考 3. 重力質量の応用(秤)
最も簡単で、精度が良い質量測定は、むかしむかし(古代エジプトの時代)から使われてきた天秤はかりである。現在でもその原理は変わらない。そして右図の秤も(2)式の応用である。
L1m1=L2m2
L1の位置は固定されており、基準のおもりm2 を移動させる竿には重さの目盛りが刻んであり、位置で重さが分かるようになっている。測定する物をつり下げてフックでつり上げる。同時に基準のおもりの位置を調節してバランスをとる。つり合った位置の距離
L2 がそのまま測定物の重さになる。この場合の長さ×質量は何であろうか。実は質量という表現は間違いであり、正しくは重量(kgf)でなければならず、前述したようにこれは力Fで表現すべきものなのである。
長さ×力 = LF=T(N・m)
この T という物理量は、モーメント、トルクなどといわれ力学には頻繁に登場し、テコや滑車に応用されているものである。単位が(m2)や(m3)で表されればなんの疑問もなく面積や体積であると考える。しかしこの場合それぞれの長さは互いに直角であることが必須の条件である。
長さ a と b の積が直角以外であっても積は可能であるが、そういう思考は絶対にしないほど当たり前になっている。では天秤の場合はどうか。この場合も秤の竿に対して、力の方向は直角でなければならない。通常秤の竿は水平であり、力は下向きであるから、考えるまでもなく自然に直角になる。これが直角の場合のみトルクとか曲げモーメントとなる。
参考 4. 摩擦力
床に置かれた物体を水平方向に引く場合に物体の動きを妨げる力を摩擦力という。右図において
W = N 、 F = T であるが、W よりは F は小さいはずである。 それを次のような式で表す。
F=μN
μ を静止摩擦係数といい、1 より小さい。この値を求めるには、物体を傾斜面に置き傾斜を傾けて、物体が動き出す傾斜角を θ とすると μ = tanθ となる。
なお運動する物体の場合を動摩擦係数 μ´といい、F = μ´N である。
運動方程式から運動量(質量と速度の積)と力積(力と時間の積)が等しいことを導ける。
(2)式に(6)式を代入すると F = m(Δv/Δt) となり 次式に変形できる。
FΔt = mΔv ・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
FΔt が力積でありその単位は(kg・m/s2)s = kg・m/s 、 mΔvが運動量であり、当然単位は同じ
kg・m/s である。ここで Δ は微少(Δv=v1−v0)を意味するがこれは取り去っても(7)式は成立する。
故に 運動量 p は次式となる。
p = m(v1−v0) = mv1−mv0 = mv ・・・・・・(8)
質量と速度の積が運動の量と言うことは理解しやすいと思われる。重さの異なる物質のpが同じであれば、重い方は速度が遅く軽いのは早いということである。
同じように 力積 pf は次式となる。
pf = F t ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(9)
高いところから物体を落下させて地上で止まれば、時間の長短はあってもその時間は重力が働いたことになる。だから高いほど地上での衝撃が大きいことは日常経験していることである。力を加え続けるというのはスペースシャトルの発射等以外は常識的には想像しがたい。しかしはるか上空から落下する場合、つまり地球の重力が作用する範囲内での事ならばそれは可能である。
高度1万メートルから 1 kg の物体が落下することを考えてみる(空気抵抗等を無視する)。
このとき地上における 運動量と力積を求める。
【解】 (B)式(前出参考1)より落下距離 x は x = gt2 /2 = 10000 (m) より 落下時間t は
地上での落下速度 v は v = gt (m/s) より 9.8×45.17 = 442.7 m/s
これより 運動量 は mv = 1 kg × 442.7 m/s =442.7 kg・m/s
力 F は F = mg より F = 1×9.8 =9.8 kg・m/s2 、重力による力 9.8 kg・m/s2 が地上に落 下するまで 45.17 秒 の間 、加えられる事になる。
故に 力積 は Ft = 9.8×45.17 = 442.7 kg・m/s (当然 Ft = mv = 442.7 である)
これは 100 kg の物体を 1 m から落下させたと同じ衝撃力である。
参考 5. 運動量保存の法則
複数の物体があり、それらが相互に力を及ぼし合うとき、外部からの力が作用しなければ、運動量の総和は一定に保たれる。これを運動量保存の法則といい、次式で表される。
m1v1 + m2v2 + m3v3 + . . . =m1v1'+ m2v2' + m3v3' +. . . .
例題 速度 40 km/h で走っている質量 30 トンの貨車が前方の停車している 50トンの貨車に衝突した。この貨車にブレーキはかけていないものとして、衝突後の速度はいくらになるか。
【解】 衝突後の速度をv とすると m1v1 + m2v2 = m1v1' + m2v2' において
m1v1 =30×40、 m2v2 =0 、 m1v1' =30v 、 m2v2'=50v となる。
纏めると 30×40=(30+50)v、 故に v=40×30/(30+50)=1200/80=15 km/h
参考 6. 反発係数(はねかえり係数)
二つの物体A,Bが速度 vA、vB で衝突し、それぞれの速度が vA1 、vB1 となるとき
反発係数 e は次式で表される。
一方が壁や床などの動かない物体の場合、vB やvB1 はゼロだから(D)は次のようになる。
となる。そしてこの e の値により次のように分類できる。
e = 1 の場合を (完全)弾性衝突、
0<e<1 の場合を 非弾性衝突、
e = 0 の場合を 完全非弾性衝突 という。ボールが鉛直下向きに床に落下して跳ね返る場合の
はねかえり係数は高さの比で表される。
e = √h' /√h
h:最初の高さ(m)、h' :はねかえりの高さ(m)
質量も大きさも同じ球が衝突するビリヤードの場合は弾性衝突に限りなく近い。この場合はぶつける玉とぶつけられる玉は速度が入れ替わる。
参考 7. 放物運動
地上から斜め上方に角度θで物体を投げたときの、速度や位置の関係式は x - y 座標に於いて
次のようになる。初速度を v0 、重力加速度を g 、要した時間を t とする。
x 方向の速度 vx = v0 cosθ・・・・・・・・・・・・・・ (F)
y 方向の速度 vy = v0 sinθ − gt ・・・・・・・・・・・(G)
水平飛距離 x = v0 t cosθ・・・・・・・・・・・・・ (H)
高さ飛距離 y = v0 t sinθ−(1/2) gt2 ・・・・・・・・(I)
軌跡 y = x tanθ−(g/2)(x/v0 cosθ)2 ・・・・(J)
参考 8. 単振動
等速円運動をしている物体を真横から見ると物体は下に往復運動をしているように見える。これを単振動いう。
右図に於いて半径 A (m)、角速度ω(rad/s)、物体 P が等速円運動している。物体 P の y 軸上への正射 P1 の原点からの距離 y (m)と時間 t (s)との関係は、Q1 から動いたとすると
y = A sinωt・・・・・・・・・・・・・・・ (K)
A : 振幅、ωt(rad) : 位相(回転角)、
P1 が 1 往復する時間 T (s) を周期、1 秒間の往復回数f を振動数(Hz)である。
T = 1/f = 2π/ω, (ω=2πf)・・・・・・・・・・・・ (L)
P1 の速度 v は v = Aωcos ωt ・・・・・・・・ (M)
P1 の加速度は a = −Aω2sinωt =−ω2y ・・・・(N)
参考 9. 力と周期
単振動をする物体の質量を m とすると 力 F は F = ma より a = −ω2y を 代入すると
F = −mω2y
ここで mω2 =k (N/m) と置くと F = −ky となり、これより 周期 T は
参考 10. 単振り子
糸に重りをつるし、左右に振らせる振り子を単振り子という。糸の長さを
、重りの質量を m、鉛直線と糸の傾き角をθ、重りの水平方向の変位を x、糸の張力を S、m の下向きの力を R、糸と直角の方向の力を F とすると次の関係式が成立する。この振り子は力 F によって単振動をする。
F = −mg sinθ 、 sinθ=x/![]()
F = −mgx/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(P)
ここでいう仕事とは日常的に使用する意味とは異なり物理学的用語である。
この仕事の単位 ジュール(J)の定義は 「1 N の力で 物体をその力の向きに 1 m 動かす時の仕事量」である。故に( J )は( N・m )と同じ意味である。物を摩擦すれば、つまり運動により物体は熱くなる。
この機械的エネルギーと熱エネルギーの関係は長らく不明であったが、その関係を明確にしたのがジュール(1818〜1889 イギリス)である。力学的運動が熱に変わり、それらの間にはある一定の関係がある。それを示す定数を仕事当量といい、J で表す。ジュールは羽根車で水を撹拌し加えた動力と水の上昇温度を測定するなど、数多くの実験を行い、その値を求めた。現在では多くの追試実験から J = 4.1855 J/cal とされている。 一方熱量の単位(cal) は「純水 1 g を標準大気圧のもとで1 ℃上昇させる熱量」である。
この 1 cal は 4.1855 Jとなるということである(cal については3.6.2 参照)。 ジュール以外に多くの人々が色々な方法でこの仕事当量を求めたが、最終的に熱そのものが運動の一形態にすぎないことがわかったのである。熱を仕事に変えることができ、また逆に仕事を熱に変えることができる。故に仕事当量も単なるジュールとcal の換算係数の意味しかなくなった。熱も仕事も同じならば、単位をジュール(J)に統一して表せばよいということである。なお
W・s に関しては次の工率の項に述べる。
前頁参考7における放物運動に於いて 物体が運動しているとき、その物体が仕事をするエネルギーを運動エネルギー(E)といい、質量を m、速度を v とすれば次式で表され、単位は N・m となる。
Ek =(1/2)mv2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(10)
ボール(質量m)を地上から放り上げたとき、その高さ(h)が変化した分だけエネルギーが増加する。つまり位置エネルギー(Ep)が増加することであり、これは次式で表される。
Ep = mgh ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(11)
g は重力加速度であり、これが存在しないところでは位置エネルギーはゼロである。これらの力学的エ ネルギーの総和は不変である。初期速度を v0 として次式が成立する。
Ek + Ep =(1/2)mv02 ・・・・・・・・・・・・・・・・(12)
地上から 0.145 kg の ボールを初速 36.11 m/sで 45°の角度に投げたとき、最初の運動エネルギーと最高になったときの力学的エネルギーを比較してみる。
【解】(1)最初のエネルギーを求める
最初のエネルギーは位置ゼロであるから、 (10)式 のみのエネルギーとなる。
Ek =(1/2)mv02 =(1/2)0.145×36.112 = 94.53 J
(2)最大高さの時の位置エネルギー Ep を求める
最大高さに達する時間は高さ方向の速度がゼロの時であるから、
参考7 (G)式より vy =v0 sinθ−gt これより vy =0 として求める。
0 = 36.11×sin45−9.8 t より t =
2.6 秒
この時間より最大高さを求める。(I)式より y = v0t・sinθ −(1/2)gt2
y= 36.11×2.6 ×sin45−(1/2)9.8 ×2.62 =33.25 m
故に 位置エネルギー Ep は Ep = mgh =0.145×9.8×33.25=47.25 J
(3) 最高時の運動エネルギーを求める
最大高さに達したとき速度の方向はx方向(水平方向)のみであるから
Ek = (1/2)m(v0 cosθ)2 = (1/2)0.145×(36.11×cos45)2 =47.25 J
(4) 位置エネルギーと運動エネルギーの合計
Ep + Ek = 47.25 + 47.25 = 94.5 J
これは最初のエネルギーと同じであり、力学的エネルギーは一定であることが分かる
前節で述べたとおり「1 N の力で 物体を 1 m 動かす時の仕事」が[1 J ]である。その仕事をなすのに時間が長くても短くても 1 J であることに変わりはない。それが 1 秒間で為されたときの仕事量の単位が
[ J/s ]であり、これを [W] とする。故に前節の W・s の単位は J をs で割って s をかけるから J に戻って W・s=J となる。無意味なようだが、意味があるのが単位の単位たるゆえんである。
ワットは電力になじみがあるがこれに関しては 3.7.10 節で述べる。
質量 60 kg の物体を 5 秒間に 10 m 引き上げるとすれば必要な動力はいくらになるか。
【解】 力 F は F = ma (N) より 加速度 a を重力加速度 9.8 m/s2 に置き換える。60 kg を 10 m 引き上 げるから位置エネルギーの増加になる。故に(11)式を使用する。
Ep = mgh =60×9.8×10 = 5880 (N・m) となる。
これを 5 秒で行うので 5880 /5 = 1176 (N・m/s )
(N・m/s) は( J/s ) でありこれは (W) であるから、 1176 N・m/s = 1176
W となる。
円周上を一定の速さで動く物体の運動を等速円運動といい、1 秒間に回転する角度を角速度 ω という。
t 秒間に θ ラジアン回転する時の角速度 ω は ω = θ/t (rad/s) であり、これは周期T (一回転する時間 s ) で 円周 2π (rad)を割ると同じ値になる。
ω = θ/t = 2π/T ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(13)
故に半径を r (m) 、角速度をωとすると周速度(等速円運動の速さ) v は
T = 2πr/v から
v = 2πr/T = rω・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (14) となる。
単位時間当たりの回転数である。回転速度 n と周期 T とは次の関係がある。 n = 1/T
故に時間の単位数だけ種類があり、「1/s、1/min、1/h 、r/min、rpm、r/h、rph 」を使用してよい。
rpm は revolution per minute の略である。円周上の速度を周速度といい、これを問題にする場合は次の換算を行う。円の直径を
D (mm)とし、回転速度(回転数ともいう)を n (rpm)、周速度を v (m/min)とすると
v = πnD/1000 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (15)
等速円運動の速さ v は (14) 式 v = rω である。加速度は (6) 式から
ここで 円の場合は微少な速度に対しては Δv = v・Δθ が成立する。
∴
= v・Δθ/Δt 、 Δθ/Δt = ω であるから α は次のようになる。
α = vω =rω2 = v2/r ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(16)
また(16)式の v に(14)式を代入すると α = (2πr/T)2/r = 4π2r/T 2 となる
(2) 式 F = ma の a に (16) 式を代入して 遠心力 Fe は次のようになる。
Fe = mrω2 = mv2/r ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(17)
尚 向心力 (円の中心に向かう力)は遠心力と同じ大きさである。
音波や交流電圧のように同じ波形の振動が繰返されるとき、1 秒間の間に繰り返される波形の数であり、これを ヘルツ(Hz) という。ヘルツ(周波数)は主に音波や電磁波に用いられるが、同じ現象を物理や機械関係では振動数
といい単位は(1/秒)である。これらは単位時間における波形の数であり f で表す。
周波数の逆数が周期(波数)であり波数(周期)を T とすると f = 1/T である。
単位長の間に同じ状態が繰り返される時の波の数である。周波数は時間(秒)に対してであるが、波数(周期)は単位長さ(m)に対してである。周波数の逆数が波数
であり、T で表し、T = 1/f となる。
当然ながら波長をλ(m)とすると、波数σとの関係は σ = 1/λ となる。
また波の速さ v(m/s) は 次式のようになる。
v = λ/T = fλ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(18)
圧力は生活に密着している単位であるため、その種類は非常に多い。それぞれの単位をすべて Pa に切り替えるとなると大きな混乱が生じる。天気予報ではバールが、また工学関係では
kgf/cm2 が長期間使われてきた。
このようにそれぞれの分野で、もっとも都合の良い単位を使用していたのである。これらをパスカルに変更しろといっても抵抗は大きい。せっかく SI に取り入れられた単位であるが、パスカルは世界中できらわれている。アメリカは
lbf/in2 を使い、欧州ではバールが多用されている。我が国だけが 1999 年 10 月から計量法を改正し kgf/cm2 をパスカルに切り替えた。さて、圧力の単位は単位面積当たりにかかる力である。Pa は 1m2 当たりに 1 N の力が作用したときの圧力であり、大気圧(1バール、1気圧、1 kgf/cm2)などと比べると極めて小さい単位である。
1 Pa = 1 N/m2 = 9.869×10−6 気圧=1×10−5 バール
これは1 m2 に リンゴ一個を乗せた程度の小さな単位である。
1 kgf/cm2 =0.1 N/mm2 = 0.1 MPa 、 1 MPa =10 kgf/cm2
材料の強度などに MPa を使用しているが、いまだに kgf/cm2 やその他の換算に戸惑うことが多い。
圧力に関しては 1 kgf/cm2 = 0.1 MPa 、 1 MPa = 1 N/mm2 、1 MPa = 10 気圧
である。
通常 圧力計は大気圧を基準としてその差を表示し、これをゲージ圧(計器圧gauge pressure)という。
記号として Pe を用い、真の圧力はその表示圧力に大気圧を加えたものになる。絶対圧を表示するときはゲージ圧と区別するために abs の文字を追加する場合もある。ゲージ圧は主にガスボンベ、エアコンプレッサーあるいは、クリーンルームなど大気開放型の設備に使用される。絶対圧の表示が負圧になることはなく、負圧という言葉が出てくる場合はゲージ圧を扱っていることになる。圧力計の目盛りにゼロがあれば、それは大気圧を表していることになる。
(第五章12.(5)参照)
円筒型の容器に入れた水をぐるぐると回転させ、そのまま放置すると静止状態になる。何も抵抗がなければ慣性の法則により永遠に回り続ける筈である。しかし時間が経過するとともに静止してしまうのは粘性があるからである。これは液体の性質として最も基本的な物理量の一つであり、その測定法も毛管式、回転式、振動式、落体式、カップ式など多くの方式がある。液体の粘度も幅が広く、水を
1 とすれば蜂蜜は 100 となる。その単位は Pa・s であり、定義は右図から次のようになる。2枚の板間に流体を厚さyで満たして下を固定し、上の板に面に平行方向の力 F(N)を加えてこれを一定速度 u(m/s)で動かす。このとき板の力 F はその単位面積 A と速度 u に比例し y に反比例する。このとき比例定数を μ として
F = μAu/y ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(19)
と置くことができる。これより比例定数(粘性係数ともいう)は μ = Fy/Au となる。その単位は N・s/m2 であり、つまりは Pa・s であるが、次元は kg/m・s である。
動粘度は粘度を密度で割ったものである。密度の単位は kg/m3 であるから、動粘度の単位は
(kg/m・s)/(kg/m3)→ m2/s となる。粘度から質量の要素が消えている。長さを時間で割れば速度であるが、面積を時間で割ったものは何であろう。さしずめ面速度とでも考えておこう。
尚 これより小さい単位 cm2/s をストークス(st) といい、 1 m2/s =1×104 st である。
動粘度の測定は細管から一定時間に流れる量を測定して求める。