
HOME 第一章 心の技術 第二章 物質(Ⅰ) 第三章 単位 第四章ものづくり数学 第五章 物質量の比較 第六章 物質(Ⅱ) 第七章 ものづくり周辺 第八章 ものづくり開発事例 付 録 総目次
第四章 ものづくり数学 目次 4.1 実用数学とは 4.2 文章問題 4.3 y=ax→y=ux
4.4 三角関数 4.5 指数関数 4.6 対数関数 logay=x 4.7 数学あとがき 4.8 数学公式集
コーヒータイム(4)魔方陣と詰め将棋 執筆後記(第四章)

第四章 ものづくり数学
「数学は役に立つか」という問いには「役に立てられない」と答えるのが正しいと思われる。日常頻繁に使われる数学は圧倒的に四則演算程度であろう。それは算数であり、高級な数学と一緒に論じるから議論がかみ合わない。科学技術に役立っているとする数学はごく一握りの専門家が扱う領域であり、通常の科学技術においても四則演算が主流であろう。「数学はこんなに役立っている」として実際の応用例を紹介している本がある。しかしそれも、やさしい例が多く、数学というより算数に近い。複雑な計算式を常時使用しなければならない状況こそ「ものつくり」には問題である。生産工場で常に新しい数式が必要などというケースはほとんどないのである。なぜなら新しい数式を一つ完成させるためには多くの努力が必要だからであり、そういう作業は企業としてペイしないからである。例えばオームの法則一つにしてもそれを正しいとするために非常に多くの実験を必要としたのである。技術課題に対して新しい式を導くということはだいたい基礎研究に属することであり、公的研究機関の分野と思われる。数式を導く過程は難しくても最終的結果は極めて単純な式になり、数式が決まればそれを使用し続けるのであり、新しく開発を行う場合も大差はない。そしてただ単に完成した式を使うと言うことは単なる四則演算程度になるのである。難解で応用の難しい数学を多く学んで消化不良になるより、四則演算程度でもその使い方を徹底的に訓練する方が真に役立つと思われる。二次方程式程度でさえ現実には使用されることは殆どない。もっぱら使われるのはy=zx等のような関数なのであり、なぜか学校ではあまり教えてくれない。ゆえに本章ではこれを中心にして解説する。高等な数学は一部の学者に任せておけばよい。この章は「役立つ数学」をめざして解説した
数学七つの迷信
1. 数学は難しく、数学のできる人は頭が良い。
2. 数学は計算技術である。
3. 記号は文字ではなく、数式は言葉ではない。
4. 公理は絶対自明の理である。
5. 数学とは答えの決まった問題を解くことである。
6. 数学は頭の体操として人間に役に立つ。
7. 数学と政治は無関係。
「数学七つの迷信」小針あき宏
著、森 毅編、東京図書刊より