第二章 目 次 2.1 気体 2.2 液体 2.3 原子の世界 2.4 固体 2.5 物質の平衡
2.6 原子の崩壊
コーヒータイム(2)諺 編集後記(第二章)
物質とは何かを探求した最初の人はギリシアの哲学者達である。紀元前6世紀にターレスはすべての物質は水に由来するとした。これに対し同時代のアナクシメネスは空気が宇宙の根元的素材であるとする。
さらに前5世紀になるとヘラクリトスは火が物質の根源をなすとの説を唱えた。ついで前4世紀にエンペドクレスはこれら水、空気、火に土を加え、この4元素が組み合わさって様々な物質を構成するという学説を提唱する。どんな説を唱えようと当時は実験で確かめるすべがなく、単なる思考にずぎず、机上の空論でしかない。そんななかでもデモクリトスという自然学者は現在の原子の構成に近い原子論を提唱した。
「物質は単なる微少なそれ以上分割できない粒子(原子)からなり、それらの離合集散によって、すべての物質が抗される」とするものである。しかしこの画期的な考えは、その誕生が早すぎて、当時だれもこれを理解しなかった。そしてアリストテレス(前384〜322)はデモクリトスの原子論を激しく非難し、エンペドクレスの4元素説を養護、さらに修正して、熱、冷、乾、湿の4要素を加えた彼独自の4元素説を提唱した。これによって、もしかしたら卑金属が金に変わるかも知れないという考えが、ついに錬金術を生み出し、この誤った考えは以後約
2000 年間世界を支配する。あのニュートンでさえ錬金術にはまったのである。
しかし目的が間違っていたとはいえ錬金術師が行った様々な実験から少しずつ化学の真実の姿が見えてくる。1669年ドイツの錬金術師ヘニヒ・ブラントが燐を発見し、これが一里塚となりボイル、ラボアジェ等により元素であるための実験基準が設けられる。燐の発見から200年後メンデレーフは周期表を発表し、未発見の元素を予言する。そして現在、88の自然元素が知られ、23の人工元素が作られている。現在の周期表は
二章三節 図2.16 のようになっている。殆どの元素は単体で存在することはなく、他の元素と結合し分子を構成する。そしてそれらの形態は すべて気体、液体、固体のいずれかに属している。
古代ギリシアにおいて物質を構成しているのは水だ、いや空気だという議論から、およそ300 年近く立って(BC350年頃)、ようやくアリストテレスが
4 元素論を主張する。それでも実験手段は何もないから単なる経験による推論でしかない。その誤った説が延々2000 年続き、その間科学的法則などは何も発見されていない。それでも人々は道路や橋、巨大な建築物を造り、戦争の道具も開発した。人は経験の積み重ねだけでも物を造ることができる。しかしそれには限界がある。前ページの人物史の図をみると1500
年以降に多くの科学者が急激に輩出し、1800 年以降の産業革命はこれらの科学技術が実を結んだ結果である。この図を見るだけでは急に科学者が増えたようにみえるが、現代の進歩の速度からすれば、実にのんびりしたものである。たとえばボイルの法則(1660)というのがある。これにシャルルの法則を一緒にして、ボイル・シャルルの法則という。これだと何か同じ時期に発見された法則のように思えるが、シャルルの法則はボイルの法則から127年も後に発見されたものである。ボイルの法則は気体の体積は圧力に反比例するというものであり、シャルルの法則は1度の温度上昇で、気体の体積は1/273
増加するというものである。あえて言えばたったこれだけの発見にかくも長い期間を要したのである。1903 年、ライト兄弟が初めて動力で1分間、空を飛んだ。それからわずか24年後(1927)、リンドバーグは大西洋を横断飛行し、さらに42年後(1952年)には人が月に到着したのである。ライトの時代からわずか100年後の現在、ジャンボが大空を飛び回っていることを思えば、この落差は極めて大きい。科学は一部の局部的発見や法則だけでなく、科学技術全体が同時進行的に進まなければ順調な発展は望めない。ボイルの法則が発見された当時、まだ温度計さえ存在しなかったから、シャルルの法則など考えも及ばなかったであろう。1591
年にガリレオが原始的な温度計を発明してからセルシウスまで150年、これからさらにケルビンまで106年(1848)かかっているのである。科学技術は局部的に独立して存在したのではその利用価値は大きく制限される。
液体や固体は目に見えるが、空気は見えない。しかし息をするにも、火を燃やすにも、風を起こすにも空気が必要なことは大昔からすべての人が経験してきた。我々は常時その空気に触れているからである。そこに特別な知識がなくても科学者なら空気の性質についての研究は可能であったはずである。しかしアリストテレスの間違った自然観が強烈過ぎたせいか、空気に関する知識が少しずつ増えてきたのは図2.1にみるように
1600 年以降である。1638 年ガリレオの「力学対話」が出版され、そのなかにポンプで水を汲み上げるとき、水の重さの故に10m 以上は決して上がらないことが記されている。それを知っていたであろうトリチェリーは水銀を用いて真空をつくる。水の
10 mは水銀にすればその比重差により76 cm に相当するからである。図2.2のように 1m 程度の長いガラス管に水銀を満たし開口部を指で塞いで水銀槽の中に逆さにして立て指を離す。水銀は下がってきて76
cm で止まる。そしてガラス管上部に真空ができる。トリチェリーは大気圧が水銀を押し上げ、水銀の重さと釣り合うからとし、「真空嫌悪」ではないとした。これによりアリストテレスの「自然は真空を嫌う」という 2000 年来の主張は崩壊する。しかしこのことは当時の教会にとっては教義の根本を揺さぶる大事件であり、多くの人々は受け入れなかった。それでもこの真空存在の実験的証明により、デモクリトスの原子論が復活する道は開かれた。ゲーリケは空気ポンプを造り、マグデブルグの半球で真空の驚異をデモンストレーションする。その間パスカルは「パスカルの原理」を発見し、ボイルは空気が圧縮できることを発見しボイルの法則(1660)を確立する。
それは次のようである。
★ 温度が一定ならば一定量の気体の体積は圧力に反比例する★
極めて単純なことであるが、化学の歴史で法則と名の付く最初のものである。この間に温度計が発明され改良されていく。またラボアジェは化学変化によって質量の増減はないとする質量保存の法則を確立し、誤ったフロギストン説※1を追放して物質解明への門戸を開く。ラボアジェは土が元素でないことを示し、キャベンディッシュは水素と酸素から水を合成し、水が元素でないことを証明する。そしてボイルの法則が発見されてから実に127年後(1787年)、次のシャルルの法則が発見される。
★圧力が一定のもとでは、一定量の気体の体積は、温度が 1 ℃ あがるごとに、0 ℃のときの体積 の 1/273 だけ増加する ★
この二つの法則を一つに纏めてボイル・シャルルの法則といい、次式で表される。
PV/T=一定・・・・・・・・・・・・・・・ (1)
P:圧力(気圧)、V:体積(L)、T:(絶対温度、273 + t ℃)
しかしこの式もこのままではまだその本領を発揮していないが、物質解明の第一歩として重要な位置を占める。ついでドルトンは原子説を発表(1803年)する。それを要約すると次のようになる。
★すべての物質は分割できない粒子(原子)からなり、原子には単一原子と複合原子(現在の分子)と がある。単体の気体粒子は個々の原子であり、化合物の気体粒子は個々の分子である。同種の原子は
形状、大きさ、重さが同じであり、同種の分子も形状、大きさ、重さは同じである。化学変化は原子 の結合または分離である。★
彼は不完全ながらも水素を1として他の元素の原子量を定める。この原子に量的導入を試みたことが大きな進歩であり、最終的には正しい原子量への算定に至る(1803
年にドルトンが定めた原子量を1818年にベルセリウスはさらに精密にした)。しかし酸素や水素の気体に分子の存在を認めなかったドルトンの原子説では水の合成さえ説明ができなかった。つまりドルトンの原子説は同じ時期に発表されたゲイ・ルサックの実験結果に基づく次の気体反応の法則と矛盾するのである(図2.3)。※1
※1 気体反応の法則によると水の合成における気体の容積比は水素 2、酸素 1、水 2 となる。これは実験値である。 しかしドルトンの原子説によると、水素
1、酸素 1、水 1 となり、前記法則と矛盾する。
★ 一般に気体が関係する化学変化では、反応する各気体の同温、同圧の体積の間には簡単な整数 比が成り立つ ★
この法則によると分割できない筈の原子が分割されてしまう。ドルトンは自説にこだわり気体反応の法則のほうが間違っていると非難した。これを解決するには当時発表されたアボガドロの仮説を用いる事であった。
★同じ圧力、同じ温度では、すべての気体の同体積中には同数個の分子が含まれる、単体の気体分子は原子数個
の結合の形で存在する ★
矛盾なく合理的に説明できる仮説であったが、単一気体に分子の存在を認めなかったドルトンはアボガドロの仮説そのものを拒否した。このアボガドロの仮説は実験に基づかない単なる推測によるものであったから、当時の未熟な学会においても顧みられることはなかった。その発表後、50年も後の1860年、カールスルーエで万国化学会議が開かれたとき、カニッツアーロがアボガドロの仮説を紹介することでこの説は脚光を浴びることになる。アボガドロの仮説によってのみ、それまで発見された事実を統一的に説明することができたのである。

アボガドロの仮説に於いて温度、圧力、体積が同じ条件において、分子の個数も同じとすれば、その気体を識別するには質量の比較が最も簡単である。すでに化学式も判明しており、ベルセリウスによって原子量も決定されていた。気体水素の分子構造はH2であり、H
の原子量は1であるからその分子量は2である。しかしこの2という数字だけでは単なる比較のための数字でしかない。具体的な質量を表すには、比が分かっているからこの数値にそのまま質量の単位をつけてしまえばよい。その質量の単位としてgが選ばれ、この単位を
1 molと呼ぶことになった。つまり原子量または分子量に g をつけた単位が 1 mol なのであるが、まだ 1 mol の単位のなかに原子または分子の数(これをアボガドロ数という)がどれだけになるのかは未定であり、それがおぼろげながらも数値として算出されるのはもっと先のことである。
しかし1 mol の定義によりその気体の体積は測定できる。そしてアボガドロの仮説は法則となり次のように書き換えることができる。
★ 0 ℃、1 気圧に於いて気体 1 mol の占める体積は 22.4 L である。★
0℃、1気圧を標準状態という。そしてボイル・シャルルの法則は 次のように書き換えられる。
PV=nRT ・・・・・・・・・・・・・(2)
P:圧力(気圧)、 V:体積(L)、 T:(絶対温度、273+t℃)、 n:mol数、 R:気体定数
気体定数Rは法則のとおり 0 ℃、1 気圧で22.4 L を占めるというときの値である。
P=1, V=22.4, n = 1 , T=0+273 =273 として計算すると
R = PV/nT=1×22.4/273 =0.082 atm・L / mol・T
PV/nT=R(定数=0.082) ということはこの式のP、V、Tが変化しても 1 molである以上この数値は変
わらないということである。図2.5は 1 mol の気体につい てP、V、T の関係を対数グラフで表したものである。標準状態の点Aは、この点が何処に移動してもこの 0.082 という数値は変わらない。
a 点もb点も 0.082 である。PV/T = 0.082 を グラフにしたのだからあたりまえのことである。
(2)式を理想気体の状態方程式という。 なぜ理想気体なのかといえば、実際の気体例えば水素とかネオンなどのわずかな種類の気体以外はこの式に厳密にはあてはまらないということである。つまりは現実に存在しない気体を想定するから理想気体であるが、そうではあってもこの式は絶対温度の設定や熱力学その他で大きな役割を果たすのである。
さて(2)式 PV=nRT において 物質の質量をW(g) とし、分子量を Mとするとnは n=W/M で表せる。従って (2)式は PV=(W/M)RT となり、これより分子量 M は
M=WRT/PV ・・・・・・・・・・・・・・・(3)
となる。この式から気体の分子量を求めることができる。ある気体についてW(質量)、T (温度)、P(圧力)、V (体積) が測定できれば M を求めることができる。
これは何も特別なものではない。混合気体についてそれぞれ独立に状態方程式が成立するということである。ゴルフボールとか野球のボールなどの固体を想像すれば、それを混合した物は特別に法則など設けなくても、体積や質量など独立に計算できる。これが気体になると次のような計算式をあらためて設けることになる。混合気体
A、B、C について それらのモル数n は
n= nA + nB + nC (添え字 n はそれぞれの気体の種類を表す)
全圧 P は P = PA + PB + PC
分圧は PA =〔na/(nA + nB + nC)〕P
要するに圧力もモル数も体積も いずれかの比が分かれば、他の比が求められるのである。
理想気体は現実の気体ではなく、あくまでも仮想の気体である。現実の気体は状態式に完全には一致せず、ずれが生じる、と一般的に説明される。それでも理想気体や気体定数が重要視されるのはなぜか。それについては
2.1.4 節で若干説明しているが、実在の気体とはどの程度の誤差を生じるかを表 2.1 に示す。実際にずれが大きくなるのは、極めて大きい100
気圧以上においてであり、炭酸ガスやアンモニアなどの特殊な例外を除けば、窒素、水素、空気、またヘリウムやアルゴンなどの単一原子分子などは常圧付近では理想気体とみなして良い。理想気体の状態式は
(1)分子の体積は無視する
(2)分子同士の引力も小さく衝突は一瞬である
(3)分子の運動は直線である
という前提にもとずいている。当然実在気体については高圧になり体積が小さくなればなるほど状態式から乖離していくのは当然でもある。それでこれに修正を加えた式が特に高圧蒸気に対して示されたのが、次のファンデルワールス式である(1873)。
(p + an2/v2)×(v−nb)=RT ・・・・・・・・・・(4)
ここでa,b は 各気体に特有の定数であり、a は分子間力(ファンデルワールス力)と関係し、b は分子の体積と関係する。分子の体積については、これ以上分子同士が近づけない体積でありそれはモル数に比例するからそれを vから引く(v−nb)。分子間の引力についてはちょっと難しいが、単位容積当たりのモル数の二乗に比例するであろうということである(n/v)2 。 これに物質固有の比例定数 a を掛けたものが圧力増加に寄与するとする。a 、b の値は実際の気体について実験によって求めることができ、それを表 2.2 に示す。
実験に基づいたボイル・シャールの法則を1860 年頃ボルツマン、マクスウェル、クラウジウス等が統計力学的に解明を行ったのが気体分子運動論であり、先の法則を理論的に証明した。容器に閉じこめられている気体は絶えず運動しており、壁に衝突している。この衝突で壁は常に力積(PDF、P92
参照)を受けそれが圧力となっている。これを熱運動という。単純な表現をすれば、温度とは物質を構成する分子や原子の平均運動エネルギーの激しさを表しているのである。このことを固体や液体では複雑すぎるので理想気体を図
2.6で考察したのが分子運動論である。前提条件として分子に大きさはなく完全弾性反射(PDF、P93 参考 6 参照)をし、分子間にも壁にも引力はないものとする。
気体分子運動論
まず始めに 1 個の分子が速度 v で壁に衝突するとき、分子の質量をm とすれば、その運動量は mv である。壁に当たって跳ね返り 1 往復する。このときの運動量の変化は mv−(−mv)= 2 mv となる。そして壁に与える力積も −2mv となる。この分子が1 往復する時間は
2 L/v であるから、これが 1 秒間に壁に衝突する回数は往復の距離で速度を割ることで得られ、v/ 2L となる。従って 1 個の分子が壁に及ぼす力積の大きさFは、運動量の変化 2 mv と回数の積となる。
F =2 mv×v/2L = mv2/L
そして容器の中の分子の総数を N とすれば、壁が受ける力積の総和
Fs は
Fs = N・mv2/L・・・・・・・・・ ・・(5)
となる。さらに容器の圧力 P は力を面積で割ったものであるから
P = Fs/A で表される。これらの関係から P を求めると P = N ・mv2/LA となり LA =V であるから
P = mv2・N/V ・・・・・・・・・・・(6)
となる。しかしこの式にはまだ仮定で不足している部分がある。それは分子が、あらゆる方向に、あらゆる速度で運動している筈である。まず方向については種々の考え方があるが、体積は
3 次元であり分子が壁 A に垂直なものだけが力を与えるのに有効であり壁 A に平行な横と縦は何の影響も与えない。故に圧力を及ぼす分子の数は全体の
1/3 とする。どんなに複雑な計算をしても最終的には 1/3 でよいということに落ち着くのだと考えよう。そして運動エネルギーは全体の平均でしかなく、また運動エネルギーは
mv2/2 で与えられるのでこれを E と置く。 故に(6)における分子の運動 mv2 は 1/3 となり さらに 2 倍されることになる。
mv2=(2/3)E として(6)式を整理すると
PV=(2/3)EN ・・・・・・・・・・・・・(7)
となり、これはつまり ボイルの法則(PV = 一定)である。温度が一定ならば、PV が一定であり、定数
(2/3)EN は温度で決まる定数となる。さらに(7)式はボイル・シャルルの法則(2)から、
PV =(2/3)EN =kNT ・・・・・・・・・・(8)
と置くことができる。 (8)式から k = PV/NT として 1分子の持つ平均運動エネルギーを求めることができる。理想気体の標準状態からそれぞれの数値は
P = 1.013×105 N/m2 、 V = 2.24×10−2 m3
N = 6.02×1023 個 (アボガドロ数)、 T = 273 K
これより k = 1.38×10−23 J/個・K となる。これはボルツマン定数と呼ばれるものである。
この数値は分子一個のものだから, 1 mol について計算すれば 、km = PV/T = 8.314 J/mol・K となる。
この km は要するに気体定数 R であり、理想気体の温度を 1 K 上げるためには 1 mol 当たり8.31 J のエネルギーが必要だということである。さらに(8) 式から
E =(3/2)RT ・・・・・・・・・・・・・・・(9)
として 1 mol の理想気体の平均運動エネルギーは E =12.5 T(J /mol) となる。
理想気体に近い気体(1 mol)ならどれも、これだけのエネルギーを与えれば確実に温度を1 ℃ 上昇させることができる。温度位置が変わってもそのことに変わりがない。つまり与えるエネルギー量と温度上昇が直線的に比例する。このような物質は他にないため
(9) 式は絶対温度の目盛りを決めるのに使われるのである。他の気体や液体、固体などを 1 ℃ に上昇させるためにはもっと多くのエネルギーが必要である。このE以上に費やされたエネルギーは温度上昇に貢献せず、簡単に言えば温度以外の内部エネルギーとして吸収し、蓄積される。言い換えれば理想気体の内部エネルギーは温度上昇にのみ使用され、絶対温度に比例するということである。
物質に熱を与えると温度が上昇する。これに要する熱量を比熱容量といい、通常物質 1 kg を 1 K(1℃上昇させるために必要な熱量であり、その単位は
J/kg・Kである。また 1 mol についての値をモル熱容量といい、単位はJ/mol・K である。
気体の場合は温度上昇につれて体積が一定の場合と増加する場合とがる。前者を定容モル熱容量 Cv とい、後者を定圧モル熱容量 Cp という。Cp の場合は体積増加による仕事をしたことになり、その分加える量が増加する。体積一定(Cv)の場合は圧力は上昇するが
仕事は何もしないのでその値は
Cv =(3/2)R =12.5 J/mol・K であることが(9)式から導かれる。圧力が一定場合、1 K の温度上昇した場合の状態方程式(PV = RT)は次のように書き換えられる。
P(V+ΔV)=R(T + 1)
これを整理すると PΔV = R となる。
これから体積増加に使用されるエネルギー は R であるから、Cp と Cv の間には次の関係が成立る。
Cp = Cv + R ・・・・・・・・(10)
従って 単原子分子の気体に対しては次のようにる。
Cp =(3/2)R + R =
(5/2)R = 20.8 J/mol・K
表2.3 はこれらの結果を良く表している。図 2.7 は 図 2.5 の一部を拡大し単位をSI 単位にえたものである。PV = RT の式やグラフからだでは当然ながら、この裏に隠れたエネルギーの動現象を知ることはできない。グラフ上におい点が上下に移動する場合は定容モル比熱容量の動となり、水平方向は定圧モル比熱容量の移動なる。グラフ上での点Aが何処に移動しても必気体にはエネルギーの変動が伴う。