第三章目次 3.1 国際単位系 3.2 法定計量単位 3.3 法定基本量 3.4 時空、力学関係単位
3.5 材料力学関連の単位 3.6 熱関連の単位 3.7 電磁気関連の単位 3.8 光関連の単位
3.9 放射能関連の単位 3.10 その他の単位 3.11 特殊な単位 3.12 非SI単位
3.13 各種単位換算表 3.14 SI単位関係史 コーヒータイム(3)青春 執筆後記(第三章)
多くの国々でまた各産業界や学術分野でそれぞれ都合の良い単位が独自に使われてきた。科学技術が発達し世界的交流が活発になると単位の不統一は商業や工業に大きな支障をきたす。フランス革命最中の
1790 年フランスのタレーランは国際間の単位統一を唱え、1795 年国民議会で長さをメートル、面積をアール、質はグラムgとした「メートル法」が承認される。そしてパリ学士院は赤道と北極間の子午線の長さ(ダンケルクからバルセロナまでの距離)を実際に測量し、その千万分の1を長さの単位とし、1メートルとする。この長さを表示する原器を白金で作り、これが「アルシーブ原器」と呼ばれるものである。しかし
1795 年に制定したメートル法(長さメートル、質量キログラム※1 はなかなか普及せず、時は流れて 1872 年、「長さ」の原器は子午線とは無関係に「アルシーブ原器」そのものを長さの原器と定めた。6 年間、命をかけて測定した子午線の長さは何だったのかということになるのだが、つまりは変化しない安定したものであれば、どんな長さを 1
m と定めてもよいのである。そして1875 年 19 カ国の批准を得て、メートル法の国際条約が締結される。さらにときは流れて 1889 年ついには質量の「アルシーブ原器」も水と縁を切り※2、「アルシーブ原器」そのものを質量の原器と定めた。しかし時を経るに従い科学技術や産業が発達し、たくさんの単位が乱立することになる。単に度量衡(長さ、体積、質量)の単位を取り決めただけでは一量一単位※3 に対応できなくなってきた。それで度量衡に電流、温度、光度の単位を加えた国際単位系(SI)が 1960年、国際度量衡総会※4で決議された。一量一単位の首尾一貫した単位系に整えたもので、改良されたメートル法であった。
※1 4 ℃ の水 1 dm3 の真空中の質量を 1 kg とした。後に厳密な測定でも、測定する人によって測定値に違いがで きた。
※2 4 ℃ の水 1 g は 1 kg であった、筈なのだ。しかし精密に測定すると 1 kg の水の体積は 1.000028 g となり、しかも各国での測定値も微妙に違う。ということで、やむなく水と離縁した。
※3 一量一単位とは、たとえば長さや質量などの物理量に m や kg のみを用い他の単位は認めないこと。圧力の単位は Pa であるが、表記法として
N/m2 も認めている。時間の単位はsであるが、これに min、h、さらにyとなると 一量に何単位もあることになる。
※4 略称 CGPM、メートル条約の全加盟国の代表によって構成される最高意志決定機関。6 年ごとに開催される。
SI とは、フランス語“Le Systeme Internationald' Unites”の略称である。そして現在のSI単位とは「7個の基本単位、2個の補助単位そして組立単位」で構成された単位系とされている(第一表)。これをもとに固有名詞のついた SI 単位として(第二表)が示されている。そして数の大小を表現する接頭語も決められた(第三表)。しかし SI 単位の定義は、はなはだあいまいである。SI単位の解説書には「km、mm、g、mg 等は SI の単位であるが、SI 単位ではない」という説明をしたものがある。これでは禅問答のようで何のことだかわからない。つまり km、mm が SI 単位でないというのは、組立単位を構成する要素に接頭語を含んだ単位を使用してはならないということである。例えば kg/cm3 は御法度であり、これは kg/m3 と基本単位で表し、kg/cm3 は μkg/m3 とすべしということである。しかし cm を単独で使用する場合には何ら問題はない。また圧力の単位 パスカルPa(kg/m・s2)は基本単位だけの組立であり、これが 100 kPa とか MPa となって接頭語がついても SI 単位に代わりはない。つまり SI 接頭語を組立単位の構成要素として取り入れてはいけないということである。第三表の「組立単位の表現」の項を見ればわかるように固有名詞のついた組立単位の中に基本単位以外(接頭語)は使用されていない。但し kg は接頭語を含んでいるが、これは例外として kg を基本単位としている。
現在の計量という言葉は、かつては度量衡と呼ばれていた。つまり、度=ものさし(長さ)、量=枡(体積)、衡=はかり(重さ)である。我が国では尺貫法が基本であったが、1921年(大正10)、「度量はメートル、衡はキログラム」とし、その定義を国際メートル原器、国際キログラム原器によると明示した度量衡法の改正が行われた。それぞれの分野で長い間慣れ親しんできた単位を、一貫性のあるものにするとはいえ、それを強引に行えばまた新たな混乱を生じかねない。故に各国ともSIの導入に長い年月がかかっている。
1951年(昭和26)6月7日、度量衡法は計量法と名前を変えて新しく公布され、翌年3月1日に施行された。それまで度量衡と名の付いた機関はすべて計量に変更された。1974年(S49)にはJIS
Z 8203「国際単位系及びその使い方」が制定され、そして1992年(H4)には SI を基本として取り入れた計量法に改正された。
SIを取り入れたとはいえ、まだ首尾一貫性のある単位とは距離があるようである。この法では物理量を「物象の状態の量」といい、塾度の高いものとして72量(第五表)を、また塾度の低いものとして 17 量(第六表)を政令で定めている(これは強制ではなく単なる推奨である。平成 11 年経済産業省令189号)。
特殊なものを除けば第五表で基礎的な単位は事足りる。しかし「塾度が高いとか低い」という意味がよく分からない。「使用頻度が低い」あるいは「特殊な用途」というならまだ理解できるが、「低い」というのはなにか「未熟な技術」と言われているような気がしてならない。
接頭語については 第三 表 をそのまま使用する。第五表においてアンダーライン(波)のある単位は SIで認めた物理量以外に計量法で追加した単位である。またアンダーライン(直線)のある単位は物理量として
SI 単位にはあるが、種類を追加した単位である。 第四表はSI単位と併用して良い単位が示されている。
72 量の物理量については、指定された単位以外は商行為としては使用禁止である。17 量(第六表)については政令で定めているが強制ではない。平成12 年からこの新しく制定された単位に全面的に移行し、指定以外の単位を用いて行う商行為等には罰則が設けられている。これらとは別に特殊な分野でのみSIと併用してよい単位が決められ(第七表)、さらに特殊な用途に限って使用が認められている非SI単位がある(第八表)。
第七表や第八表の単位を認めたのは、長年使用し身体にしみついた単位は簡単には捨てられないということであろう。たとえば血圧(mmHg)を強制的にPaにしてもあまりメリットがない。病院では酸素ボンベで同じ物理量として圧力を扱うがその単位Paと血圧とは技術的な結びつきがあるわけではない。血圧は独立的にその数値自体が問題とされるので、従来のままでよいということである。このような関係は第八表の単位すべてに言えることであり、狭い技術領域の中だけの問題であり、他との関連がないから従来の単位を使用しても問題はないということであろう。
(1) 一量一単位は守れない?
計量法の精神は「一量一単位」の筈である。しかしこれは言うは易く行うは難しである。SI単位を用いる際にも、質量にトン(t)を、体積にはリットル(L)を認めており、時間には分、時、日、そして角度には度、分、秒を追加している(第四表)。計量法ではさらに質量の基本単位にgを追加しているが、時間の日(d)は削除している。基本単位に複数の単位を認めることで組立単位は複雑さを増していく。
例えば 時間の単位に h、min、s を、そして質量の単位に t、kg、g とそれぞれが3種類になると、質量流量の単位は kg/s、t/h など9種類にもなる。だからといってこれをs(秒)だけに限定すると極めて不便なことになる。技術の範囲が広がるにつれ
「一量一単位」が簡単ではなくなってくる。やはりどこかに妥協点を見つけるしかないのであろう。
(2) 60 進 法
10 進法で統一できれば誰も異論はないはずである。しかし時間と角度だけはその歴史の重みから、捨て切れないでいる。この 60 進法が 10 進法と混在するためにややこしくなり、単位が増えることになる。これらを
10 進法に変えることは、SI の関係者にも抵抗が大きかったらしい。古代のメソポタミヤ時代から延々と続いてきた時間と角度だけは、生活と密着していることもあって、これを継承するしかなかったのであろう。5000
年来続いてきた単位だから捨てきれない。「首尾一貫」した単位という理想の実現はやさしいことではないようである。
1. 接頭語の使用
(イ)接頭語を二つ重ねて用いない。
(ロ)kg は基本単位であるが、これに接頭語つけてはいけない。kkg は t(トン)にする。
(ハ)時間、角度、比を表す単位には接頭語をつけない。
(ニ)接頭語は正の指数につける。 N/cm2 → 10 kN/m2
(ホ)指数は接頭語を含めた全体にかかる。 Gm2 =(Gm)2 (G×m2 ではない)
(へ) 大きい指数や小さい指数と接頭語を2重に使用しない。105 Mm → 100 Gm
2. 文字の使用について
(イ) 量記号は斜体とし、単位記号は立体文字とする。 (量)F = ma 、(単位)流量 m3/min
(ロ) 数字と単位記号の間には活字の幅またはその 1/2 の間隔をあける。
(ハ) 同じ記号で誤解を招かないよう記述する。
たとえば m(メートル)とm(ミリ)や h (時間)と h(ヘクト)など。
(ニ)体積の単位リットルに
は使用しないこと。lも数字の 1 と紛らわしいので出来るだけ大文字の Lを使用する。
(ホ) 数字の桁数が多い場合には,3桁ごとに 1/2 字分の空白を置いて読みやすくしてもよい(コンマによって区切ることはしない).
(へ) 積の形で表される単位は各単位を積の記号(・)で結びつけて表す。誤解の恐れがなければ積記号は省略してもよい。 例 N・m →
NM
(ト)商で表される単位は商の記号(/)あるいは負の指数を付けて表す。商記号は一個だけ使用する。
分母に複数の単位がある場合それらを( )でくくる。
例 J/K , JK−1 、 W/(m・K) , Wm−1K−1






