ものづくり技術手帳

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Ⅰ.ものづくりに必須の科学知識 Ⅱ.大人の科学知識 Ⅲ.科学技術リテラシー  Ⅳ.ものづくり技術手帳  

Ⅲ.科学技術リテラシー

(1)成人教育

来日した外人が新聞を読むホームレスを見て「字が読めるのになぜホームレスになるのか」といった。字が読めるのが当たり前の日本、だがそれが普通でない国もある。
リテラシー(literacy)とは識字率のことである。これに科学技術がつくと科学的なことの理解力というようなことになる。科学技術創造立国を標榜する我が国では、平成7年に「科学技術基本法」が施工され、それに基づき「科学技術基本計画」が策定された。現在は 2006 年から始まった第三期計画(5ヶ年)で大きな予算が計上されている。この基本計画の一部に国民全体の科学知識をレベルアップさせる方向が示されている。第 4 章 3 節 科学技術に関する国民意識の醸成(じょうせい) というなかに次のような文が示されている。
 科学技術に関する国民の関心を高めるために、初等中等教育段階における理数教育の充実に加え、成人の科学技術に関する知識や能力(科学技術リテラシー)を高めることが重要である。このため、科学技術リテラシー像(科学技術に関する知識・技術・物の見方を分かりやすく文書化したもの)を策定し、広く普及する。以下略。
つまり大人達すべてに理科を再教育しようということである。したがってその内容はとなると先に示した10 の質問に 100 点取れるような低いレベルになるのはやむを得ないことであろう。
「科学技術基本計画」という立派な(?)法律をつくり、成人の科学技術リテラシーを向上させようというのであれば、国会議員も自ら手本を示さなければならないであろう。先ほどの 10 の質問に全問正解できるように勉強し、出来なければ辞職するとかである。
現在の成人はともかく、これからの若い人には高校の物理、化学、生物、地学等の内容をバラバラにして再構成し充実した内容の理科総合とし3年間の必修科目にし、理系からの逃げ道を塞ぐことである。高校全入で義務教育と化しているから、多少レベルを落としてもこの方がよほど科学技術リテラシーが上がると思う。

   2.社員教育

倒産した会社(300社)の社長に対するアンケートがあった。倒産した理由を問うたものである。
一番目に挙げたのは、「社長自身の傲慢(ごうまん)さ」というものであり、二番目に挙げたのが「社員教育ができていなかった」というものである。それほど社員教育は重要なことである。一口に社員教育といっても内容は様々であるが、基本的にはその業種に見合った「社員の知識レベル」であろう。だが社員教育など簡単にできることではない。時間もかかり費用もかかる。次のようなケースになる可能性だってあり得る。
 たとえば社員の技術レベルがどうしても上がらない、このままではこれ以上会社を発展させるの は絶望的、何とかしなければと社長が思ったとする。それにはまず社長自身のレベルアップをと 思っても、高齢の社長ではさらに難しい。後継者になるような人物は見付からず、多少ましな人 物がいても「専門バカ」であり、全体を掌握して会社の行く末を考えるという器量はない。 先行き不安を抱えながら現状維持が関の山という状態が続く。そして社長の他界とともに会社も 運命を共にする
  私もかって社員教育に頭を悩ましたことがある。バブル景気が陰り始めたころ、私は会社の将来はもとより、自分の部署の行く末も考えていた。バブル景気真っ盛りのころは人不足で大卒を採用するなど夢のまた夢、通常ならとても採用できない人でも採用せざるを得なかった。そして特殊な会社の特殊な部署で部員達は潰しのきかない、いわゆる「専門バカ」になる。この状態でリストラにでもなったらどうするか。社員でいる間に少しでも基礎知識を学んで貰おう。そんな殊勝なことを考え、適当な書籍を買い与え自己啓発を勧めたが、そんなことがうまく行くはずもない。実現することもなく私自身が退職することになる。それからもずっと考え続けた。
理系の大卒であっても、高校の物理や化学を履修しているとは限らない。そして文系であろうと、理系であろうと年齢や職種に関係なく、「ものづくり」というより「仕事人」として高校程度の基礎をもう一度総合的に復習出来るような書物というのが存在すべきではないか。
まさに「科学技術リテラシー」のバージョンアップ版である。社会人になってから、いまさら数学の本、化学や物理の本を個別に購入して勉強するなど、とてもしんどい事である。誰でも読める一般的な技術の教養書、自己啓発書として一冊でカバーできるような、そんな本はできないであろうか。
「ものづくり」に関する理科的基礎事項ならこれ一冊でOKというような本、一人一冊、あるいは一部門にまたは会社に一冊備えておきたい本、そんな総合的な基礎技術書をと考えたのである。

Ⅳ. ものづくり技術手帳

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