3.1 国際単位系 3.2 法定計量単位 3.3 法定基本量 3.4 時空、力学関係単位
3.5 材料力学関連の単位 3.6 熱関連の単位 3.7 電磁気関連の単位 3.8 光関連の単位
3.9 放射能関連の単位 3.10 その他の単位 3.11 特殊な単位 3.12 非SI単位
3.13 各種単位換算表 3.14 SI単位関係史 コーヒータイム(3)青春 執筆後記(第三章)
1895 年、ウィルヘルム・レントゲンはそれまでの光線や熱線とは異なる放射線を発見した。それは真空管の中を電流が流れることによって発生するものであった。人体を通過するこの放射線は
X 線と名付けられ簡単な実験器具で再現できるため、またたくまに広がり翌年には医療その他の実用化へと向かった。
しかしそれに大きな危険がはらんでいたことを誰も知らない。1896 年ベクレルはウランが放射線を独りでに放出することを発見し、1898 年にはキューリ夫妻がラジウムとポロニウムが強い放射能を出すことを発見する。彼らはその功績でノーベル賞を受けたが、放射能のために命を失うことになる。知らないと言うことは恐ろしいことである。急激な放射線の応用が進む中、犠牲者が当然のごとく増えていった。つれて防護対策も為されてきたが、それは長い年月を要することになる。現在、放射線とは、電磁波または粒子線のうち、直接または間接に空気を電離する能力(共通の性質としてイオンや電子を発生させる)をもつものであると定義されており、α線、β線、γ線、中性子線、重荷電粒子線、X線 などが含まれる。このうちγ線、X線などは物質を通過する能力をもった電磁波であり、α線、β線、中性子線、重荷電粒子線は高速の粒子線であり、物質は透過しない。
不安定な原子核はα線、β線あるいはγ線などの放射線を出し、安定な原子核に壊変する。この能力を放射能という。放射能をもっている物質を放射性物質といい、自然界にある元素ではウラン、ラジウムなどがある。単位としては
1秒間に1個の原子が壊れ、放射線を放出する場合を1Bq としている。
放射能の最初の発見者ベクレルからつけられた。なお、ベクレル(Bq)が単独で使われることは少なく、単位体積当たりまたは単位重量当たりの放射能の強さ(放射能濃度)を表す
Bq/m3、Bq/s などがよく使われる。またCi(キューリー)という単位も使用されるが、その関係は次のようになる。
1 Ci = 3.7×1010 /s= 37 GBq であり、これは 1 g のラジウム(226 Ra)の放射能に等しく、1秒間に 370 億の崩壊をしていることを意味する。
ちなみに癌治療に使われる治療用コバルト 60 は 100 TBq = 1014 Bq = 2,702 Ci の放射能を持つ。
これは X 線やガンマ線を 1 kg の空気に照射したときの空気に発生する電気量である。つまり空気中にどれだけ電気をもった粒子を発生させられるかという空気を電離する能力の単位であり、放射線の電離作用の強さの尺度になる。X
線とγ 線に限って用いられるもので、ある容積の空気が電離される場合、その中に生じた正負いずれかのイオンの電荷 ΔQ の和をその容積中の空気の質量 Δm で除した値 X である。
ゆえに X = ΔQ/Δm であり、単位は クーロン/kg である。
また 1 レントゲンは 2.58×10−4 C/s に等しい。また単位時間当たりの照射線量を照射線量率という。
放射線防護上の基本的な線量であり、放射線が当たった物質が吸収した放射線のエネルギーで表される量である。吸収したエネルギーの測定はその物質の温度上昇を量れば分かるが、放射線の持つエネルギーが小さく、測定は不可能である。故に照射線量の測定値から、理論式あるいは実験式で求める。同じ放射線でも、物質が異なると吸収されるエネルギーが異なるため、吸収線量で放射線量を表示する場合は、対象となる物質を示す必要がある。物質 1 s 当たりに 1(J)のエネルギーが吸収されるときを 1 グレイ(Gy) とする。また ( J ) の基本単位の構成は m2・kg/s2 であり、これを kg で割るから Gy の単位は m2/s2 となる。尚 単位時間当たりの吸収線量は吸収線量率と呼ばれ、Gy/h、Gy/s などの単位で表される。
また人が自然界から人為的に浴びる量は世界で年平均 0.002 Gy 前後である。 1 Gy = 100 rad である。
放射線の人体への影響を表す基本的な放射線量である。放射線防護のために考えだされた量であり、吸収線量に生体への影響を考慮した係数を乗じたものである。従って単位は同じ J/kg であるが、使用する意味が異なるので別の名称を与えたとされる。これは測定される量ではなく、吸収線量と放射線の種類などから計算で求められる。人間に対する放射線の影響は、吸収線量が等しくても放射線の種類、エネルギー及び被ばく条件によって異なる。なお、X 線、γ線の影響を基準とするため、この場合、吸収線量と線量当量は同じ値となる。線量当量H(Sv)は、吸収線量を D(Gy)、線質係数をQ、分布その他の修正係数を N とすると、H = D・Q・N で表される。
* Q:放射線の種類やエネルギーとの関係で決められる量で X線、γ線、電子線、β 線などは Q =1、α 線の ように飛跡に沿ったエネルギーが濃密な場合は
Q = 20 になる。
* N:外部被ばくに対しては1である。
* D:放射性物質を体内に取り込んだ内部被ばくの場合であり、その期間に受ける線量である。放射性物質は徐々に体の外に排泄されるので、完全に輩出されるまでの間継続して被ばくすることになる。線量当量率の時間積分であり、成人で
50 年、子供の場合 70 年として計算する。この場合の H を預託線量当量という。
【 外部被ばくとは、X 線診断のように体の外にある放射線源(放射性物質等)から出る放射線を受け ることであり、内部被ばくとは、放射性物質で汚染されたものを飲み込んだり、汚染された空気を吸
ったりすることにより放射性物質が体内に入り、それによって受ける被ばくをいう。】
H の単位は D に対して Gy を適用した場合は Sv、D に対して rad を適用した場合は rem となる。
単位としては、ミリシーベルト(mSv)、マイクロシーベルト(μSv)が通常よく使われる。
日本では、天然の放射線を人間が1年間に浴びる量は 1 mSv(ミリシーベルト)程度である。
7 Sv 以上を全身に被爆すると100 % 命はない。なお線量当量率というのは単位時間当たりの線量当量のことである 。
カーマは、非荷電性の放射線(X線、ガンマー線、中性子線)が二次的に人体や物体に与える影響の単位である。照射を受けた物体から直接放出される2次荷電粒子の運動エネルギーの総量を物質の質量で割った量である。放射線が人体や物体に与える影響の指標には一般に照射線量が用いられる。カーマも照射線量の一種で、γ線、中性子線等、電荷を持たない放射線に適用される。γ線や中性子線が物質内で反応を起こすと、電荷を持つ粒子(電子、陽子)が生成され、身体に悪影響を及ぼす。
照射線量はどれだけ照射されたかであり、吸収線量はそれによりどれだけ吸収されたかである。さらに線量当量は吸収されたものの影響の程度であり、そしてカーマは吸収された放射線から二次的に発生する荷電粒子の量を問題にする。だから吸収線量と同じ単位
Gy である。