3.1 国際単位系 3.2 法定計量単位 3.3 法定基本量 3.4 時空、力学関係単位
3.5 材料力学関連の単位 3.6 熱関連の単位 3.7 電磁気関連の単位 3.8 光関連の単位
3.9 放射能関連の単位 3.10 その他の単位 3.11 特殊な単位 3.12 非SI単位 3.13 各種単位換算表
3.14 SI単位関係史 コーヒータイム(3)青春 執筆後記(第三章)
クーロンは 1785 年に精密なねじり秤を発明し、それにより「二つの電荷の間に働く力は、二つの電荷量の積に比例し、電荷間の距離の二乗に反比例する」というクーロンの法則
を発見する。これを式に表すとなぜか万有引力の式と同じ形になる。そしてこのときよりすでに 100 年も前にニュートンは万有引力の法則を発見しており、また
20 年まえから「電荷間に働く力は逆二乗の法則に従う」ということはプリーストリーやキャベンディッシュによって予言されていた。しかし予言はあくまで予言であり、それを実証し、確認しなければならず、それを行ったのがクーロンであり、彼の大きな功績となっている。その力 F は次の式で表せる。
F = k・q1・q2 / r2 ・・・・・・・・・・・・(36)
ここでkは比例定数である。当然電荷が + と − では引力となり、同種の場合は斥力となる。しかしこのときクーロンはまだ電荷量を決めていない。これが決められるのはおよそ
100 年後のことである。さて 1 クーロンとは(36)式においてr を 1 m としたとき F が 9.898755×109 N となる電荷の量(q)である。逆にいえば 1 クーロンの電荷量(q1,q2)を真空中で 1 m離したときに生ずる力が 9.898755×109 N になるということである※1。 また1クーロンとは「 1 アンペアの電流が 1 秒間 に運ぶ電気量」であり、この場合の単位は A・s となる。
【真空中での比例定数は k = 9.0×10 9 N・m2/C である。またこの内容は k = 1/(4πε0)であり、この ε0 は真空の誘電率 8.854×10−12 F/m である。】
※1 圧力の単位 Pa はやたらに小さい単位であるが、逆にこのクーロンはとてつもなく大きい単位である。 1 クーロンの電荷2個を 1 m 離しておいたときの力は地上で 100 万トンを落下させるときの力に等しい。同じ数式でありながら、万有引力はまたなんと小さい力であろう。1 トンの質量 2 個を 1 m 離しておいたときの引力は地上でわずか 6.8 mg を落下させたときの力にしかならない。
電荷が存在していればその周辺の空間が電気的に変化し、他の電荷に力を及ぼす性質の空間となる。この
空間を電界または電場(でんば)という。電界の強さを表すには単位正電荷に働く力であらわす。つまり「真空中において 1 クーロンの電気量を有する無限に小さい静止している帯電体に働く力が
1 ニュートンである電界の強さ」である。言い換えれば電荷 q から r だけ離れた距離に 1 クーロンの電荷をおくとき受ける力である。その電荷に働く強さをEとし、電荷をq(C)、静電気力を F(N)とすると次式が成立する※2。
E = F/q ・・・・・・・・・・・・・・・・・(37)
故に電解の強さ E の単位は N/C となる。これを V/m でも表せるのは次による。つまり前節のデータから 1 C = 1 A・s = 1 W・s /V =
(J/s)・s/V = 1 J/V である。 これより N/C は NV/J となり、さらに J は N・m であるから、 N/C は V/m
という単位と置き換えることができる。これは上図のように「1 m 離れた電極に 1 V の電圧を掛けたときの強度」だから V/m である、と理解した方が早い。
※2 これはベクトル量である。通常文字の上に矢印を付けて表示する。
電圧とは「電気を流す圧力のようなもので、電気を水の流れにたとえると、電圧は水の落差[水圧]に相当
する」というのが、電圧の説明でよくなされる。ここではもっと高尚な説明をしよう。電荷が電界中を移動する場合、仕事をする。その仕事は電界の強さに比例し、どこを通ってこようと最初と最後の位置できまる。最後の位置とは電位ゼロである。故に任意の点における電気的な圧力の値をその点の電圧または電位といい、任意の2
点間の差を電位差という。V を電圧とか電位差というのはこの理由による。この場合の電位差 V は仕事を W (J)、電荷をq(C)、とすると次式で表される。
V = W /q ・・・・・・・・・・・・・・(38)
単位は J/C であり、これを(V)とする。いかめしい定義では「1 V は 1 A の直流の電流が流れる導体の2 点間において消費される電力が 1 Wであるときのその2点間の直流の電圧」となる。これは 1 V = W/A ということであり、後に述べるように V = IR である。
電圧を生じさせる能力のことであり、特に電池において陽極と陰極との間の電圧が起電力となる。電池にはすべて内部抵抗rがあり、電池の起電力をEとして、電池に外部抵抗Rを接続したとき、その回路に流れる電流Iと電池の端子電圧Vとの関係は次のようになる。
E = RI + rI = I(R + r)=V + rI
もし内部抵抗がゼロであれば、抵抗のほとんどない太い銅線で短絡すれば、無限に電流が流れて銅線が発熱し、瞬時に電池が消耗してしまう。 電池の起電力
Eは端子電圧 V より常に大きい。
二枚の金属板を向かい合わせ、それに正負当量の電荷を蓄えるものをコンデンサーという(右図)。これに電池から正負の電極を繋ぐとコンデンサーには電荷が帯電する。このときの帯電量
q は電圧 V に比例する。このときの比例定数を C とすると次式が成立する。
q = CV ・・・・・・・・・・・・・・・・(39)
この比例定数Cを静電容量という。単位は C/V であり、F(ファラッド)で表現する。これもまた大きな単位であり、通常のコンデンサーはずっと小さいので
μF(マイクロファラッド、 10−6 F)やpF(ピコファラッド、10−12 F)を使用する。
平行平板をコンデンサーとするとき、その間に絶縁体を挟むと蓄えられる電気量が大きくなる。極板の面積をS(m2)とし、極板の間隔を d (m)とすると電気容量 C(F)は 次式で表される。
C =εS/d ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(40)
ここで ε を 誘電率といい、単位は (F/m)である。誘電率とは分極のしやすさ (蓄える電気量の大きさを示す) のことをいい、絶縁体としての性能を評価する一つの基準となる。一般的には、誘電率より比誘電率
εr =ε/ε0 がよく用いられ、これは無次元量となる。真空の誘電率 ε0 は 8.85×10−12 F/m である。ちなみに空気のεr は 1 、アルミナは 8.5、雲母は 7.0 、水 81、紙は 2.3 等である。
各種材料の比誘電率(20℃)
アルミナ 8.5 雲母 7.0 蛍石 6.8 鉛ガラス 6.9 ソーダガラス 7.5
砂 2.5 大理石 8
クラフト紙 2.9 ボール紙 3.2 天然ゴム 2.4 シリコーンゴム 8.6
パラフィン 2.2
アセトン 20.7(25℃) トルエン 2.4 ベンゼン 2.3 チルアルコール 32.6 液体アルゴン
1.5 液体チッソ 1.45 水 80 空気 1.0005
SI の電流の定義は力で表現しているが、別の言い方をすれば 1 秒間に 1 C の電荷が流れたときの電流の強さが 1 A である。導線に電池をつなぐと電流がながれる。このとき電流
I と電圧 V は比例し、その関係は次のように書ける。
V = RI ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(41)
これをオームの法則といい、R は導線の物質の種類、長さ、太さ、温度等で決まる定数であり、電気抵抗または単に抵抗という。その単位は Ω であり、V/A である。
この抵抗 R は 導線の断面積 S に比例し長さ L に反比例する。故に R は次のように書ける。
R = ρL/S ・・・・・・・・・・・・・・・・・(42)
ここで ρ は 抵抗率(または電気抵抗率)といい、単位は Ω・m である。この逆を電気伝導率といい、
単位は 1/Ω・m となるが、Ω の逆数は次項(3.7.9)に述べるようにジーメンスなので 電気抵抗率の単位はS/m となる。水関係の電気伝導率は値が小さいので
μS/cm を用いる。(5 章 13 及び 6 章 2.2 参照)
直流回路で電流を妨げるものは抵抗だけである。しかし交流回路ではインダクタンス(3.7.16 参照)やコンデンサー(3.7.5 参照)が抵抗になる。これをインピーダンスといい、記号 Z で表す。
これは「1 アンペアの直流の電流が流れる導体の 2 点間の直流の電圧が 1 ボルトであるときのその 2 点間の電気のコンダクタンス」と定義されている。抵抗器の性能をあらわすもう一つの値として、その電流の流れやすさを示すものであり、単位は S : ジーメンス である。要するに コンダクタンス G は定義から G =I/V であり、また R = V/I の関係から 電気抵抗の逆数である。ここでは直流だけについて述べているが、交流の場合はアドミタンスといい、インピーダンスの逆数であり、記号は[Y]、単位はやはり(S)である。
電熱線が発熱するメカニズムは自由電子が電界を移動するときに電気的エネルギーが熱に変わることである。電界を電荷が移動するときなす仕事W
は W = qV (38 式)である。そして抵抗 R の導線に電流 I が流れるとき t 時間に移動する電荷の量 q は q = It である。故に前式は次のようになる。
W = Q = VIt ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(43)
W を使用すると紛らわしいのでここでは Q を使用する。これは運動エネルギーであるが、これがすべて熱に変わる。(43)式において V の単位は(J/C)であり、It はクーロン(C)であるから、(43)式は
(J/C)×(C) =(J) となりジュール(J)の単位である。これを単位時間の仕事で表したのが電力 P である。故に電力 P は「1 V、1 A で 1 秒間の電流のなすエネルギー」であり、これを 1 W と定める。
ゆえに P(W)は次のように表せる。 P = Q/t = VIt/t = VI より
P = VI ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(44)
またオームの法則を適用すれば P = RI2 = V2/R となる。そして 1 W の単位は次のようにも書ける。
1 W = 1 A・V = 1 J/s = 1 N・m/s = 1 kg・m2 /s3 となる。 電気ヒーターや電灯になじみのある単位 Wは電気関係の単位として一般的であるが、何も電気関係だけに限らない。1 秒間に 1 J の熱量の発生または仕事をする単位であり、熱効率または仕事率でもある。
1820 年、ジュールが発見した電熱に関するジュールの法則であり、1 W の発熱量 Q(cal)は 1 W = 1/4.2=0.2389 cal となる。
1 W = J/s、 1 J = 1 W・s = 1(J/s)s = 1 J 。 W・s=J なら、 W・sの単位など作らなくても
J だけで良さそうなものであるが、なぜか これが使用されている。電力量は W・h と時間が表面に表れているが、次元的にはこれは消えて単なるエネルギーの単位であることを覚えておこう。電力は時間当たりのエネルギーであり、電力量といえば消費した時間内のエネルギーの総量である。それらの関係は次の式で表される。
電力量(Q)= 電力(P)×時間(T)
16 世紀頃、静電気のみが電気だと考えられていた時代、電気と磁気は互いに関連のない異質のものとされていた。しかし1820 年エルステッドは電流が磁石に力を及ぼすことを発見するとすぐに、アンペールは「右ねじの法則」※1 を発見し、さらに 2 年後「アンペールの法則」※2 を発見する。磁界は動いている電荷(電流)が作り、その磁界は周囲の磁石や電流に力を及ぼす。このように電界と磁界には切っても切れない関係があり、またその関係も極めて近い類似性がある。物体のもつ磁気の主原因は電子であり、それが自転して磁界をつくる。しかしすべての物体は電子を含んでいても、それらが全部磁石になるわけではない。これはそれぞれの電子が逆向きの自転によって互いに打ち消し合うからである。ただ
鉄、コバルト、ニッケルなどは例外であり、そのため強い磁性を示す。電界との大きな違いはそれぞれの電子がNとSの両方の磁極をもっており、片方だけの磁極を取り出すことは絶対にできないことである。しかし単一の磁極があると仮定した場合、電荷と同じような関係があり、クーロンの法則が成立する。力の大きさを
F(N)、磁荷を m、m′(Wb)、磁極の距離をr(m)とするとき次の式が成り立つ。
F =kmm′/r2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(45)
これを磁気に関するクーロンの法則という。比例定数 k は真空中または空気中では 6.33 ×104 N・m2/Wb2 である。ここで磁荷(磁気量)の単位(Wb 、ウェーバ)は、次のように定義される。「真空中で1メートル離れた等しい強さの二つの磁極がおよぼしあう力の大きさが 6.33×104 N であるとき、それらの磁極の強さ(磁気量)を1ウェーバとする」。1クーロンの電気量の力に比べればこの磁気量の力は小さいが、それでも1 Wb の磁気量が及ぼしあう力は、地上において 6460 kgの質量
を落下させるのと同じ力となる。
※1 「電流を右ねじの進む方向に流すとき、右ねじを回す方向と同じ方向の磁界が生じる」という法則。
※2 3.7.12 の図を参照。
以上は電界との対比において定義した磁極の強さであるが、これとは別に磁力線を対象にした定義がある。磁極 m を中心とした半径 r の球面には磁力線が放射状にでている。磁極が強ければ磁力線は多く、弱ければ少ない。この磁力線は途中で切れたり分岐もしない。故にこの磁力線の数を対象に考えれば、球体の大きさには関係しなくなる。磁極の近くでは密であり遠くに行けば粗になるだけである。故に磁界の強さは単位面積あたりの通過磁力線により、つまりその密度により定義すればよい。しかし磁力線は媒質の透磁率によって変化するのでその影響をなくするためには、磁極の強さ
m そのものを磁束という概念に置き換えるのである。つまり磁界の強弱に比例して磁力線の本数が決められているとき任意の断面積を貫く磁力線の数を磁束とするのである。その量記号は
Φ が使用される。そしてコイルの場合はその中を通る磁束が変化するとコイルには誘導起電力が生じる。コイルの巻き数をn、時間Δt(s)の間に磁束の変化がΔΦ(Wb)のとき生じる誘導起電力をV(V)とすると次の関係が成立する。
V = −n ΔΦ/Δt ・・・・・・・・・・・・・・・・(46)
この式をファラデーの電磁誘導の法則という※3。これによって磁束(Wb)を定義すれば「一回巻きの閉回路と鎖交する磁束が一様に減少して、1 秒後に消滅するときに、その閉鎖回路に 1 V の起電力を生じさせる磁束」となる。この定義からすれば
Wb は V・s と同じであり、また J/A という単位にもなる。
また 3.7.14 項で説明する磁束密度の定義から 磁束(Wb) の単位は T・m2 (T:テスラ、磁束密度の単位、)でもある。故に磁束 φ は次のようになる。
φ = BS ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (47)
※3 力の大きさはファラデーの法則だが、力の方向はレンツの法則による。
電気力に対して電界を考えたのと同じように磁力が働く空間を考え、これを磁界または磁場という。空間のある点の磁界は、そこに N 極の磁荷を置いたときに単位磁荷当たりに働く力で表される。この場合の磁界 H の中に置かれた磁荷 m(Wb)に働く力を F(N)とすれば、次式で表現できる。(F, H はベクトル量)
H = F/m ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(48)
これは電界の強さの場合の式(37)と同じ形式であり、(48)式から H の単位は当然 N/Wb である。
これがまた A/m で表すことができるのであるが、それは電流がつくる磁界から導くことができる。
次図において 1. 及び 2. における H は 電流に比例し距離 r に逆比例する。3. のソレノイドの場合は単位長さ当りの巻き数 n と電流 I との積になり、コイルの径には関係しない。いずれも H の単位は A/m となる。そしてこれらはすべて磁力線の方向は 1. の 右ネジの法則に従って発生する。A/m = N/Wb であるから、これを言葉で表現すれば 「1 A/m の磁場中に 1 Wb の磁荷を置くと 1 N の力を受ける」 となる。
前項の定義により磁界 H(A/m)がコイルの断面積 S(m2) を貫く磁束を Φ(Wb) とすれば それは次のようになる。 μ0 は真空中での透磁率である。
Φ = μ0HS ・・・・・・・・・・・・・・・(49)
(49)式を変形すれば μ0 H =Φ/S となり、 μ0 H の単位は定義から(Wb/m2 )でなければならない。
これを B で表せば
B = μ0 H ・・・・・・・・・・・・・・・(50)
となる。B は磁束密度であり、この単位(Wb/m2 )を T(テスラ)と称し、一般的に多く使われている。
この B の単位はまた N/A・m で表せるがそれは次のことから説明できる。 B(Wb/m2 )中の Wb は J/Aであり、これは N・m/A と表せる。故にWb/m2 の Wb を N・m/A で置換すると磁束密度の単位は
Wb/m2 =(N・m/A)/m2 から N/A・m となる。
μ は 透磁率であり、「磁力線をどれだけ通しやすいかを表したもの」である。文字通り解釈すれば通しやすいとなるが、これは誤解をまねく。磁力線が金属を通しやすいかそうでないかは図解しないと理解しずらい。右図(A)の場合は棒磁石の両端に透磁率の小さいアルミ板をおいた場合の磁力線を示してある。この場合磁力線はなにもない空気中の場合と同じで何の変化もない。磁力線はアルミ板を通過してしまう。
(B)の場合は透磁率の非常に大きい鉄板を置いた場合である。N または S 極の反対側は磁力線が全くない。つまり鉄板によって磁力線が遮蔽されている。しかし鉄板の両端からは鉄板の内部を磁力線が通って、つまり通りやすいために両端が磁極となったように磁力線がでる。透磁率の大きい物質は磁力線を吸収して自ら磁極を強くする。故に透磁率を堅苦しく定義すれば「磁界 H (A/m)中におかれた強磁性体が磁化して、磁束密度 B (Wb/m2) をもつとき、B/H を透磁率μという」となり次式で表現される。
μ = B/H ・・・・・・・・・・・・(51)
しかし、これではちょっとわかりずらい。右下の図の説明の方が理解がし易いと思う。この図のように磁性体例えば総長さ L(m)の鉄芯にコイルを巻き(巻き数N)、これに電流
I(A)を流すと鉄心中に磁束φ(Wb)が生じる。そしてこの磁束φは次式で表される。
φ = μANI/L ・・・・・・・・・・・(52)
つまり磁束φ は 透磁率 μ、断面積 A、巻き数 N、電流 I に比例し長さ L に逆比例する。鉄芯がない場合は空気中(真空中)の透磁率となり、この場合は μ を μ0で表す。
透磁率 μ は物質に固有な値であり、その単位は(51)式から(N/A・m)/(A/m)=(N/A2 )である。また(52)式から μ=φL/ANI と変形して μ の単位は( Wb/m・A)となり、(Wb)は(N・m/A)であるから、( Wb/m・A)=(N・m/A)/(m・A)=(N/A2)となる。また μ の単位は 以後の項で述べる H(ヘンリー、インダクタンスの単位、次項参照)を用いて H/m と書くこともできる。
尚 真空の透磁率μ0 は μ0 = 4π×10−7 N/A2 である。
さて二本の長い導体が平行に並んでいる場合に互いに及ぼし合う力Fは次式で表せる。導線の長さ L(m)、電流をそれぞれ I1、I2 (A)、導線の間隔を r(m)とするときF(N) は
F =(μ0 /2π)I1 I2 L / r ・・・・・・(53)
ここで μ0 は真空中(空気中も同じ)の透磁率であり、その値は μ0 = 1.256637×10 −6 N/A2 である。
故にμ0/2π は 2.0×10−7 (N/A2 )となる。
(53)式において電流も長さも距離もすべて 1 とすれば当然 F = 2.0×10−7(N/A2)となる。これはすなわち 先の(3.3.4)で述べたアンペアの定義と同じである。
つまり、アンペアの定義は真空の透磁率 μ0 を
1.256637×10−6 N/A2 になるように決めたということである。
なお真空中の透磁率で磁気材料の透磁率を除したもの、つまり真空の透磁率を 1 として他をその比率で表したものを比透磁率 μs という。 μs =μ/μ0 であり、当然これは無次元量である。
インダクタンスの単位ヘンリー(H)の定義は「毎秒 1 Aの 割合で電流が変化するとき、1 V の誘導起電力を生じさせる閉回路のインダクタンス」となっている。これには自己と相互がある。
右図において コイル2がない場合、時間Δtの間にコイル1の電流Δiを変化させると、誘導起電力Vが生じ、これを自己誘導といいこの場合は次式が成立する。
V = −L(Δi/Δt)・・・・・・・・・・・・・・・ (54)
ここで L を自己インダクタンスという。
右図において、コイル 1 のスイッチをオンオフすると、コイル 2 にも電流が流れる。コイル 1 の代わりに磁石をコイル 2 のなかに出し入れしても同じように電流が流れる。コイル
1 の電流の変化により磁束が変化し、コイル 2 に作用する。この場合、時間 Δt の間に電流が Δi だけ変化したとすれば、コイル 2 に生ずる起電力 V は次式で表せる。
V = −M( Δi /Δt)・・・・・・・・・・・・・・・ (55)
この現象を相互誘導といい、 M (または L12 )は相互インダクタンスという比例定数である。
この原理はトランスに応用されている。