第六章 目次 6.1 空気 6.2 水 6.3 元素単体と無機化合物 6.4 有機化合物
コーヒータイム(6)プラシーボ コーヒータイム(7)宗教と教義 執筆後記(第六章)
地球を覆っている空気は密閉されているわけでもないのに、地球から逃げていくことはない。それは小さな分子であっても地球の引力の影響を受けるからである。地表では大気の圧力を受け、当然地表で一番大きく上空に行くほど小さくなる。これらの大気構造のデータを図示する場合、殆どが等分目盛を使用して作成されるが、高度の範囲
1〜1000 km を一つの図表で表現すると地表付近は目盛が小さく不明になる。
逆に目盛を大きくすれば高度範囲は 100 km 程度になり、全体が分からなくなり、二つの表を併用することになる。これを避けるため対数を使用し、製作したのが下の図であり、一つの図で全体を把握できる。
(対数目盛については 4章6節参照)
大気の構造を大きく分けると地上から対流圏、成層圏、中間圏、熱圏となる。

対流圏
地上から上空 10 km までが対流圏であり、水蒸気は殆どここに存在し、空気と対流することで様々な気象現象が生じる。そして地球の大気全量の
75 % がこの圏内に存在する。また対流圏では上空に行くほど温度が降下し、その割合(気温減率)は 6.5 ℃/km であるが、これは地域によって大きく異なる。この対流圏とその上の成層圏との境には対流圏界面があり、これ以上は温度の低下はなくなる。雲もこれ以上は存在しない。
ジェット機はこの対流圏の上限を飛び、そこは気温 −50 ℃、気圧 0.0268 MPa(0.26 atm)、空気密度は 0.41 kg/m3 である。
成層圏
成層圏は雲の上であり、常に晴天の世界である。この層の発見当時(1902 年)は対流はなく温度一定で安定しているということで成層としたようであるが、わずかな対流がある。成層圏の下部は温度が
−60 ℃ 程度の低温が続き、図に見るように上部に行くほど温度が上がり、0 ℃ 近くにまで上昇する。成層圏にはオゾン層があり、このオゾンが太陽光線を吸収し温度を上げる原因となる。オゾン層といっても、その量は極めてわずかであり、全体の気体密度が低いから、地上の密度に換算すると、わずか数
mm の厚さにしかならない。それでもこのオゾンは紫外線を吸収し地上の生物を保護する役目をする。オゾンホールとして問題にされるのはこの層である。
中間圏
成層圏の上、50 km からは中間圏であり高度に逆比例して気温が下がっていく。これは紫外線の吸収物質がないためである。中間圏の入り口では平均約
−2.5 ℃ の温度が高度とともに減少し、最終的には −92.5 ℃ となり、大気圏では一番低温となっている。ここの気温減率は小さく対流は多少あっても比較的安定である。
図で見ると表面的には急激な減少に見えるが、これは対数表示だからであり、目盛の数字からすれば極めてゆるやかである。高度 80 km で温度低下は止まり、今度は逆に上昇し始める。この境目が中間圏界面となる。中間圏の上層には電離層としてのD層があり、昼に存在し夜は消える。
熱圏
高度がおよそ 100 km から熱圏となる。高度と共に温度が上昇していくが、これは大気の密度が低く熱容量が小さいためにわずかな熱源で温度が上昇するためである。ゆえに温度が高くてもエネルギーは小さいから人体に触れても熱さは感じない。熱圏の大気の分子は太陽からの電磁波のエネルギーを吸収して電離し、このイオンが電離層を形成する。熱圏にはE層、F1層、F2層(夜間はF層となる)が存在し、電波を反射吸収する。また密度が低いために真空状態であり、磁気圏で加速された電子などが熱圏の大気の分子に衝突して電離させ、オーロラという現象を生じさせる。つまりオーロラは、酸素や窒素の原子や分子が出すスペクトルである。
高度と気圧
高度と気圧の関係を図示するとおよそ上図のようになる。高度が上がると共に気圧は比例して下がるような感じを受けるが、データはかなりへそ曲がりである。これを前ページの図1に記入することも可能であるが、かえって煩雑になる。故に図1では高度と気圧を目盛り線の左側に並べた。あまり必要としない高度の大きい所では読み取りづらいが、数値が小さいほど精度良く読み取ることができる。これも対数目盛の特徴である。
電離層
電波は直進するのであり、それが球面の地球の遠方で受信できるはずはなかったが、実際は受信できた。この原因を推定したのはケネリーとヘヴィサイドであり、上空に電波を反射する電荷の層があるとした(1902年)。そしてこれを実際に確かめたのはアプルトンであり(1924年)、位相のずれの強弱から計算した結果は地上
80 km 近辺にあることがわかった。これがD層でありさらに上空にも電離層が存在した。
電離層は酸素や窒素などの分子や原子が太陽光線や宇宙線により電離したイオン層の領域である。高度約 80 km から 500 km の間に存在し電子密度の違いによって、下から
D 層(80 km)、E 層(100〜120 km)、F1 層(170〜230 km)、F2層(200-500 km)の 4 つに分けられる。
上の層に行くほど電子密度は大きい。
日常で空気に重さを感じることはない。しかし空気にもわずかだが重さ(1 m3 当たり 1 kg)がある。そしてその組成は 表 1 のようである。地球を取り巻く空気の総量は少なく見積もっても 3×1016 トン であり、殆ど無尽蔵である。故に空気から窒素、酸素その他の成分を採取し、工業材料として利用される。
発見は 1772 年ダニエル・ラザフォード※1 とされているが、このときは空気の中に燃えない気体が存在することを確かめただけである。N2 を得るには硝石(KNO3)やチリ硝石(NaNO3)などからも分離できるが工業的には空気を冷却して作る。窒素の沸点が −195.8 ℃、酸素の沸点は −182.9 ℃ なので空気を液化し、沸点の差を利用して分離する。実験室的には亜硝酸アンモニウムを加熱分解する。
NH4NO2 → N2 + 2H2O
液体窒素は優れた冷却剤となる。根粒バクテリアが空気中の窒素をアンモニアに合成し植物に供給するが、工業的に同じことを行うにはそれ相応の設備を必要とする。植物や動物など生命体にとって窒素は必須であるが、工業的にも重要な元素である。最大の用途は化学肥料(尿素、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム)であり、1913
年にドイツのハーバーがアンモニア合成法を開発した。また化学工業に使用される硝酸(爆薬その他)の製造はアンモニアを原料とするオストワルド法によって作られる。
※1同じイギリス人であるが、原子核を発見したアーネスト・ラザフォードとは別人である。前者は化学者、後 者は物理学者である。
地殻で最も多く存在する元素である。空気中の酸素は植物に由来することは前述したが、これを最初に見つけたのはプリーストリー(1771年)である。彼は密閉した容器内で蝋燭を燃やし、炭酸ガスを満たした状態にして植物を入れた。しかし植物は死なずに生き続けた。その後、そこにネズミを入れると死ぬはずのものが生きており、蝋燭も燃えた。植物と動物の密接な関係を示す最初の実験であった。しかし彼はまだこれを元素とは認識しなかった。酸素の性質を明らかにしたのはラボアジェ(1772
年)である。彼は燃焼実験により質量の増減を調べ、当時の常識とされたフロギストン説の矛盾を明らかにした。 現在の空気中の酸素は植物が光合成によって作り出したものとされている。
酸素は酸化反応にあずかる物質であるが、その反応に必ず酸素が存在するという事ではない。原子から電子が奪われる反応をすべて「酸化」というのである。酸素の同素体にオゾン
O3 がある。これは不安定であり昼に多く夜は少なくなる。0.1 ppm 以上は有害とされ、室内で使用する機器類(コピー器、ブラウン管等)からも発生し、それらは放出量が規制されている。
酸素の工業的生産は窒素と同じく 空気を約20 MPa(200 気圧)に圧縮し、断熱膨張させると液体となる。実験室的製法は過酸化水素水に酸化マンガンを加える。
2 H2O2 → 2H2O + O2
酸素は酸化剤として、またロケット燃料、製鋼、金属溶接、医療など多方面に利用される。
空気成分は窒素と酸素のみとされていた時代、レイリーはアンモニアから分解して得た窒素より、空気から得た窒素が重いことに気づく。1894 年、レイリーとラムゼーはこの原因をつきとめ、アルゴンを発見する。空気分留の副産物であるアルゴンは約 1 % 存在し、希ガスと称されるが珍しくはなく、ボンベに詰められ安価で販売されている。不活性ガスであるアルゴンの用途はガス入り電球、整流管、溶接、レーザー等である。
ヘリウムは太陽光のスペクトル分析により地球上に存在しない未知の物質としてロッキャーにより発見された(1868 年)。そして約30年後の 1895 年、ラムゼーはウラン鉱石から発生するガスは未知の気体であるとし、クルックスはこれがヘリウムと同じスペクトル線を示すことを発見する。なぜウラン鉱石なのかは不明であったが、放射性元素が放出するα線がまさにヘリウムの原子核そのものであることが、1907 年ラザフォードによって発見される。工業的には北アメリカの天然ガスから分離する。用途は超低温実験用寒剤、浮力ガス、気体レーザーなどである。その他の希ガス(キセノン、クリプトン、ネオン)は放電燈や放電管に使用されるが、酸素や窒素を大量に製造する際の副産物として得られる。
窒素や酸素以外にも存在するもの、それを発見したのはヘルモント(1624 年)であり、空気様のものをガス(気体)ということを提案した。当時はまだ空気を元素としていた時代だから、どんな気体も空気と考えられていた。ファラデーが
1823 年に気体を液化する方法を考案し、これをさらに工夫して 1835 年にティロリエルがドライアイスを造った。地球上の最低気温より低い温度(CO2 の昇華温度、−78.5 ℃)を実現したのはこのときが最初である。工業的製法は炭酸カルシウム(石灰石)を焼くと得られるが、天然ガスや石油精製の副生ガス、アンモニア合成の副生ガスなどから製する。実験室的な製法は石灰石や大理石に希塩酸を加える。
CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + H2O + CO2
炭酸ガスの用途は飲料、食品工業、化学工業原料、冷媒(ドライアイス) 電気・電子工業、凍結保存用など多岐にわたって利用される。
空気には表 1 の物質だけでなく地域によっては、粉塵、煤煙、車の排気ガスなどが含まれる。故に1968 年(S45 年)に「大気汚染防止法」が制定され、以後何回も改正され最終の改正は H16 年である。規制または抑制される物質の対象は (1)ばい煙 (2)揮発性有機化合物 (3)粉塵 (4)自動車排出ガスの 4 種類である。
空気中の水分は重要な意味があり、6.1.3で詳述する。
二酸化炭素は地球温暖化の原因か
すっかり悪役にされてしまったCO2であるが、実際は「濡れ衣」ではないか。
空気中にわずか 0.035 % しかないのに、それが数%増えたところで温暖化の主役になるのだろうか。そもそもの始まりは NASA に所属するジェームズ・ハンセン氏が科学雑誌「サイエンス」に投稿した論文が発端である。無名の彼を有名にした「温室効果ガス」という仮説は世界を駆け巡り科学を離れて、完全に政治問題となった。発表から
10 年後「地球サミット」が開かれ、国連の下部組織 「IPCC」 が組織され、ついに「京都議定書」に至る。 そして(IPCC)のメンバーであるリンゼン氏はアメリカ議会で次のように証言した。「京都議定書は科学的でない、仮に破滅的温暖化が起きるとしても、この議定書はそれを防げない」。もともと
0.035 % しか存在しない炭酸ガスをわずか削減するために多大の犠牲を払う、しかも大量の排出国(アメリカ、中国、インド等)が参加しないのでは、効果の程は知れている。仮に
CO2 が原因でなく、少数意見のように「太陽活動が地球の温暖化を左右する」、あるいは「CO2より雲や雨の原因である水蒸気が最も大きく影響する」などということであれば、人間の力ではどうにもならないことである。右図のように太陽に比べれば地球
の大きさは 110 分の 1 であり、さらに大気圏は地球の直径の 5 % 程度の厚さ(層)しかない。太陽原因説や水蒸気説は素人的にも説得力がある。これが事実とすればCO2 を削減するのはドンキホーテよりもっと愚かな行為をすることになる。そもそも地球は温暖化しているのかという、最初の前提からして批判が多いのであるが、逆に「温暖化はかえって好都合」という説さえある。大量の氷が溶け出すとして問題視されるグリーンランド、この地名はもともと緑の大地であったからこの名前があるという。たとえ温暖化がCO2 増加の原因でないとしても、CO2 を削減するということは、直接的にも間接的にも化石燃料の無駄使いを減らすということになる。それはそれで環境保全など有効手段であるが、「CO2 が原因」と断定してしまうと省エネ対策が横にそれる恐れがある。省エネだエコだといって様々な製品が作り出されるが、その多くはその製品を作り出すためにすでに
CO2 を排出しており、トータル的には全然エコになっていない。排出量を±ゼロにするのに10 年以上かかり、それからが本当のエコになるというのでは技術的に問題である。かって「錬金術」というのがあり、間違った考えであるが当時、殆どの人がそれを正しいと信じていた。あのニュートンでさえ、かなりの時間をそれにつぎ込んだようである。間違った考えとはいえ、錬金術により生み出した結果はすべてが無駄になったわけではない。それらのいくつか、ほんの少しだが後の化学の進歩にある程度の貢献をしたことになる。だがそれは極めて多くの犠牲を伴った結果である。
CO2 を減らす努力は「錬金術」のそれと似ていないであろうか。「不都合な真実」のゴアや「IPCC」がノーベル平和賞をもらい、この理論はお墨付きを貰ったようなものである。だが所詮
人間が決めることである。この賞を選定した委員長でさえ「議論を呼ぶのは承知の上」と表明しているのであり(2007/10/13 読売新聞)、ノーベル賞だから絶対正しいというわけではない。これをビジネスチャンスにして巨利を得ようと企む人々も当然ながら出現する。科学を離れて完全に政治問題と化した地球温暖化問題、これに反対する科学者の意見はメディアや雑誌から拒否されている。危機感を煽り、温暖化研究といえば何にでも億単位の予算が付く、研究者にとってもこれほど旨い話はない。まさに「皆で渡れば怖くない」図式である。まだまだ続くであろう「温暖化問題」、行き着く先は税金の無駄使いに終わらないであろうか。
空気が水と接触している以上空気中には必ず水分(0〜3%)が存在する。湿度として環境に及ぼす影響は大きく、生活上または工学的に対処法が種々検討されている。その一つとして利用されるのが「湿り空気線図」であり、図3のように縦軸に絶対湿度、横軸に乾球温度を目盛ったグラフである。この二つのデータが基本となり、湿球温度、露点温度、相対湿度(0〜100%)、エンタルピー、さらに蒸気圧等のデータが算出できるのでそれを一つの図にまとめたものである。通常は図3のように目盛が等分に設定されているがこれだと低温部の詳細が見えにくい。ここでは縦軸を対数目盛に変更したものを
238頁 図4 に示す。 エンタルピの線が曲線になるが、特別な問題はない。(等分目盛と対数目盛の違いはすでに 4 章 6 節 で述べている。)
グラフの見方
図4 において乾球温度 25 ℃、相対湿度 55 % の状態点を任意に選んだ点Aとする。この状態点からエンタルピの線に沿って湿度 100 %
の交点Bから下に降りればF点で湿球温度 18.5 ℃、左に平行移動したC点から下に降りればE点で露点温度 15.3 ℃ が得られる。さらにエンタルピ線に沿って左上に上がりD点でエンタルピ値(53
kJ/kg)が、A点から右に平行移動すればG点で絶対湿度(0.0109 kg/kgDA)[DA は dry air 乾燥空気の略]が、H点からはAの状態点における水蒸気分圧(1.75
kPa)が得られる。またこれは露点温度における飽和蒸気圧でもある。(この水平線上にある温度と湿度の組み合わせすべてが同じ絶対湿度や水蒸気分圧を示す)。
状態点Aが移動して別の状態点に移れば元のA位置のデータとの差からその変化量を求めることができる。図表によっては mmHg や Kcal、また絶対湿度も質量や容積を基準にしたりと単位が種々使われるので十分注意しなければならない。次に空調や調湿関係で使用される用語について簡単な説明をしておくことにする。
乾球温度tと湿球温度tw:乾球温度といっても、普通の気温のことである。二本のガラス棒状の湿度計(乾湿球温度計)に由来する言葉であり、湿球温度とは温度計の感温部に湿った布を巻き付けた場合に示す温度である。乾球と湿球の温度が等しい場合、湿度
100 %である。
乾き空気:文字通りの水分を全く含まない空気である。現実には存在しないが計算の便宜上仮定として用いる。
湿り空気 :現実にはすべての空気のことであり、湿分を含む通常の空気である。その量は 3 % 未満であるが、水分の保有するエネルギーは空気に比較すれば非常に大きいので、そのわずかな変動が空気全体の保有エネルギーに影響を与える。湿りの程度は相対湿度で表現する。
飽和空気:空気中の水分は温度によって含まれる上限が決まっており、これ以上含むことのできない状態の空気を飽和空気という。この飽和状態における蒸気圧を飽和水蒸気圧(Psu)という。この状態に達していない空気を不飽和空気という。(温度と蒸気圧に関しては第2章2節2を参照)
相対湿度 ψ:水蒸気量は温度によって、飽和する量がきまる。その水蒸気圧力(Psu)を基準にして、任意の空気中の湿分の水蒸気分圧(Pw)を比率で表したものである。 ψ=(Pw/Psu)×100
絶対湿度 x:空気中に含まれる湿分(Mw)を乾き空気の質量(Ma)との比を kgで表したものである。従って単位は kg(H2O)/kg(DA)となり、次のような式になる。 (DA は dry air の略)
x = 水蒸気の質量/乾き空気の質量 = Mw /Ma・・・・・・・(1)
Ma は 1 kg とすることができるから簡単な式であるが、この場合の湿分量 Mw は次の過程を経て得られる。空気 1 kgの中に含まれる水蒸気量の含有率 Hp は湿り空気の全圧をP とし、湿分の分圧をPw とするとそれは次のようになる
HP=Pw /(P−Pw)・・・・・・・・・・・・・・・ (2)
しかしこれだけでは質量としての値を得ることはできない。そこで別の比率として分子量とモルの関係を調べる。水の分子量は 18.015(g/mol)であり、湿分量
Mw の mol 数をn とすると
Mw = 18.015n・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (3)
ここで空気の質量 Ma は 1 kg(1000g)であるから(1)式は
x=18.015 n / 1000=0.018015n ・・・・・・・・・・(4)
となる。ここで n を求めるには空気の分子量も必要となる。空気の平均分子量は 28.967(g/mol)であるからその mol 数は 1 kg を基準としているゆえに、1000(g)/28.967(g/mol)=
34.522(mol)となる。そしてこの湿分量の mol 数 n と空気 1 kg の mol 数の比は(2)式の分圧の比と同じである。故に
n/34.522 =Pw /(P−Pw)・・・・・・・・・・・・・・・(5)
これから n= 34.52 Pw /(P−Pw)となり、この n の値を(4)式に代入すると
x = 0.018015×34.52 Pw /(P−Pw)=0.622 Pw /(P−Pw)・・・・・・・・・(6) となる。この(6)式を分解してみれば
x = 18.015 Pw / 28.967(P−Pw)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (7)
となり、水の分子量に水蒸気分圧を掛けたものを空気の分子量に空気の分圧を掛けたもので割ったら乾き空気 1 kg 当たりの水蒸気量(絶対質量)が求められる。しかし(6)や(7)式を示されただけではなぜ
1 kg 当たりになるのかは想像できないかもしれない。この(6)式において空気の全圧Pは 101.3 kPa(大気圧)であり、水蒸気の分圧Pw(kPa) が得られれば、絶対湿度を求めることができる。この場合圧力の単位の種類は問わない。(単位molについては2章1.3や3章3.7を参照。)
比較湿度φ:飽和度ともいう。絶対湿度 x と飽和空気の絶対湿度 xs の比で表し、φ=(x/xs )100 となる。相対湿度と比較湿度の値は殆ど同じであるが、全く同じではない。絶対湿度の計算式(6)から
x/xs は x/xs =Pw(P−Psu )/Psu (P−Pw) となり、相対湿度との差は明確である。つまり相対湿度の Pw/Psu に(P−Psu )/(P−Pw)を掛けた値になるが、Psu とPw の違いが数値に影響する。
露点温度: 簡単にいえば、空気中の水蒸気が結露を生じる温度である。空気線図において湿度 100 % と乾球温度との交点における温度である。前ページのグラフの見方参照。
比エンタルピー h :零度以下の温度でもすべての物質は熱エネルギーを持っている。熱エネルギーがゼロになるときは絶対零度つまり −273.15 ℃ であり、それ以上ならなにがしかの熱エネルギーがある。
故に熱エネルギーが負の空気は存在しないのであるが、便宜上 0 ℃ を基準とするのでそれ以下はマイナスとされる。そこで湿り空気のエンタルピーとはこの空気の持つすべての熱エネルギーである。空気を
0 ℃ からその温度に達するまでに要した熱量(空気量×比熱)であり、水が蒸発するために要する蒸発熱とやはり 0 ℃ からその温度に達するまでに要した熱量(水分量×比熱)である。
空気の比熱(定圧比熱容量)は 1.006 (kJ/kg・K)であり、水の蒸発熱(0℃基準)は 2501(kJ/kg)である。そして蒸気の比熱は
1.0805(kJ/K・kg)であるから h は
h = 1.006t +(1.0805t + 2501)x ・・・・・・・・・・・・・・・・(8)
比エンタルピーの比とは乾き空気を単位としているからであり、比容積や比重量の比も容積や体積を基準にしている故の比である。
比重量(kg/m3)、比体積(m3/kg):比重は「ある物質の質量と、それと同体積をもつ水(4℃)の質量との比」であり、質量の比だから 単位がなく無名数である。一方比重量とはその物質の
1 m3 当たりの質量であり、これは密度と同じ である。比体積は比重量の逆数であり、1 kg当たりの体積である。
乾き空気の比重量は 1.293 kg/m3 であり、湿り空気は勿論湿り度により異なるが、一般に 1. 2 kg/m3 とする。水の分子量は空気の平均分子より軽いので湿り空気は乾き空気よりも軽くなる。
