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第五章 物質量の比較

第五章 目次   5.1 長さ   5.2 質量   5.3 時間   5.4 面積   5.5 体積   5.6 速度   5.7 電磁波  
5.8 エネルギー  5.9 温度  5.10 熱伝導率   5.11 音圧   5.12 圧力  5.13 電気抵抗率  5.14 密度
5.15 濃度(%)   5.16 濃度(pH)   5.17 粘度    5.18 ヤング率   5.19 粒度   5.20 価格  
コーヒータイム(5)擬態   第五章 執筆後記

5.10 熱伝導率 (W/m・K)

熱伝導率のように組立て単位が複雑になると、最大最小の範囲は極端に狭くなる。最小の熱伝導率はフロン12の0.007 W/m.K であり、最大は銀の 428 W/m.K である。ダイヤモンドは 1000 以上らしいが、それがどんなに大きな数字でも、その性質を利用する用途は不明である。
伝熱とは温度差のある物体間に熱の移動が生じる現象であり、それには放射、対流、伝導の三つの基本形態がある。実際の熱移動の場合はこれらが単独であるいは複合して生じる。(参考:3章6.4節)
熱伝導率の小さい材料は断熱材として利用される。断熱の反対が放熱であるが、これには必ずしも熱伝導率の高い材料が使われるとは限らない。最終的には空気か水などの液体に放出するからである。しかし高速増殖炉(原子力発電)では熱の取り出しや冷却材として水のような流動性があり、水より軽い溶融した熱伝導率の高いナトリウム(148 kw/m.K)を使用している。   フロンとはメタンやエタンなどの水素を塩素やフッ素で置換した物質の総称である。
    フロン12 の化学式 は CCl2F2 である。

1. 熱伝導率

熱伝導において単位時間(s)に移動する全熱量Q(W)は通過する面積をA(m2)とすると次式が成立する。       qA ・・・・・・・・・・・・・・・・・(H)
は熱流速であり、単位は(W/m2)である。理論的な説明は抜きにして、ここで少し乱暴な設定をしてみる。熱流は温度差が大きいほど流れやすい、つまり温度差()に比例する、また壁面が厚いほど熱流は阻害される、つまり厚さ()に逆比例する。さらに熱流は材質に固有のものであり、それを数値で表したのが熱伝導率λである。これらを纏めて λT/ とする。これに面積Aを掛ければ(H)式になるが、これは必要に応じて考えればよい。
これが フーリエの法則 の簡単な表現である。(参考:3章6.4節) 多層熱伝導 多層の場合
  右図は厚さも種類も違う平行平面壁を3枚密着させた多層の断熱材である。断熱材の厚さをL1L2L3 、 とし、熱伝導率を
λ1λ2λ3 、とする。また各断熱材は密着しているから、境界面は同一温度とみなし、それぞれの温度はθ1θ2θ3 、とする。
また各壁を伝わる熱量を123 、とすると各壁面では次式が成立する。
   1λ1θ1θ2)/1
   2λ2θ2θ3)/2
   3λ3θ3θ3)/3
しかし この 3 層を一層とみなし、全体の熱伝導率を λa とし、
全体の厚さを La とすると 全移動熱量
   λaθ1θ4)/aλaΔθ/a   となる。
ここで λa は次式で与えられる。
  λaa /(1 /λ12/ λ2 + /3 / λ3
断熱材が何層になっても同じ方法で見かけの熱伝導率を求めることができる。

2. 熱伝達率

図表Iに示されている気体類の熱伝導率はそれら気体の静止状態での数値である。対流が熱伝導の一形態であり、それは流体に関するものであるが、流体どうしの熱移動は計算し得ない。対流による熱伝導を論じる場合は、固体と接触している流体との関係のみである。ラジエーター、ボイラー、配管内などであり、それらとの接触面における係数が熱伝達係数または熱伝達率(記号h)として論じられる。もちろん熱伝導率が基本となっている。これらの熱伝達は固体と流体の境界層の熱移動であるから、h は固体の形状、流体速度などによって大きく変化し、物性値ではなくあくまで係数である。しかし状況が一定であれば、熱伝達率も定数に近いと考えるのである。 熱伝達率については第三章 6 節 5 を参照。


紙の容器で沸騰 例題 紙の容器に水をいれ、バーナーで加熱して料理を作る。この場合紙が燃えないで料理ができることを計算で確かめてみる。紙の厚さは 0.2 mmで、180 ℃に耐えるものとし、その熱伝導率は水に濡れているとして 0.5(w/m・K)とする。燃焼ガスの温度は1100℃、
水側の h1=2330 (w/m2 ・K)、
炎側の h2=93 (w/m2 ・K) とする。

 このときの紙の熱流速 は 次式で計算できる。
   q={1/(1/93.0 + 0.0002/0.5 + 1/2330)}(1100−100)=86355.8 W/m2
これから炎が当たっている側の紙の表面温度θは次式により求められる。
     =93.0(1100−θ)=86355.8 より
     θ=171.5 ℃
ぎりぎり炎に耐えていることがわかる。 熱伝導率