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第五章 物質量の比較

 第五章 目次   5.1 長さ    5.2 質量    5.3 時間    5.4 面積    5.5 体積    5.6 速度  
 5.7 電磁波   5.8 エネルギー    5.9 温度    5.10 熱伝導率    5.11 音圧    5.12 圧力  
 5.13 電気抵抗率    5.14 密度  5.15 濃度(%)   5.16 濃度(pH)   5.17 粘度    5.18 ヤング率
 5.19 粒度     5.20 価格    コーヒータイム(5)擬態   第五章 執筆後記

5.8 エネルギー (J)

「エネルギー」とは「物質を動かす能力」のことである。そしてエネルギーには様々な形容詞がつく。曰く、運動エネルギー、位置エネルギー、内部エネルギーなどであり、さらに、熱、光、電気、化学などがつく。エネルギーにはいろいろな形態があるから、名称もそれだけ多いが本質は同じものである。

1. 熱力学の第一法則(エネルギー保存則)

エネルギーは形を変えるだけで決してなくならない。家畜の持つ力も、人の力も元はといえば食物から得られる熱エネルギーである。蒸気機関も電動機も違うように見えてもその元は同じである。これに気がついたのは19世紀半ばであり、マイヤー 、ジュールおよびヘルムホルツ等によりほぼ同時期に発見されている。この思想は発展し熱力学第一法則という基本原則となる。対象を大きく考えれば地球は太陽により、常に1.74×1014 kw のエネルギーを受け取る(7章6節17、太陽定数参照)。このエネルギーを保存したままでは地球の温度は限りなく上昇する。地球が現在の温度に保たれているのは受けたエネルギーと同じ量を宇宙に放出しているからである。地球の平均温度は 15 ℃(283K)とされているが、これにより放射する電磁波(波長 0.02 mm 程度の赤外線)のエネルギーが受けたエネルギーと同量になるからである。地球外にエネルギーを放出できるのは電磁波以外にない。何らかの理由で地球の温度が高くなるとそれに応じてエネルギーの放出も多くなり温度が下がる。逆に下がりすぎればエネルギーの放出が少なくなり温度は上昇する。地球の平均温度を何 ℃ に保てるかは、「温室効果ガス」といわれる水蒸気(雲)やメタン、炭酸ガス、その他の浮遊物質である。

2. 熱力学第二法則

  物体が落下するように、熱エネルギーも高から低へと流れる、これが第二法則である。これに例外はなく熱を全く遮断する材料はない。故に熱機関において熱は必ず放散されるから、工率 100 % の機関は存在しない(第二種永久機関)。エントロピー増大という表現もあるが、熱は流れるが、なくなるわけではない。エネルギーは全体として保存されているのである。ついでにいえば、理論的にも実際にも絶対零度は実現できないというのが熱力学第三法則である。

3. 質量保存の法則

エネルギー保存則と同じように質量も亦、化学反応において減ったり増えたりすることはない。1774年ラボアジェが発見したものであり、当時フロギストン説という誤った説が1世紀にもわたって支持された時代である。化学変化は物質と物質の離散集合であり、そこに質量の変化はないとしたのである。化学反応であればそこに熱量の増減は当然に発生する。それに質量は関係しない。ところが mc2 という式を化学反応熱に適用し、その熱量に相当する分の質量が減少するから、質量保存則は厳密には成立しないと説く人がいる。しかしそれが事実としても通常の質量測定では全く測定できない微少な量である。測定できないものは存在しない、つまり質量の減少はないとするのが科学の立場である。それで何の問題もなく、この式を持ち出して云々する必然性は全くない。質量がエネルギーに変換されれば、膨大なエネルギーになることは計算で明らかであるが、それが可能なのは天然の放射性元素U235などが分裂する場合の核反応においてであり、量子の世界のことである。計算可能だからとして円周率を何億桁も算出するのと同じであり、それを通常の化学反応の熱量に置き換えてみても意味はない。 エネルギー